英語の学習を習慣化して続けるには、「やる気」や「モチベーション」を維持しなければなりません。
脳科学(神経科学)研究により、人間の「やる気」や「モチベーション」は「ドーパミン」という物質が支配していることがわかっています。また、「ドーパミン」は学習の効率性にも大きな影響を与えると言われています。
「根性」ではなく、「科学的」に自分の「やる気」や「モチベーション」、「学習の効率性」をコントロールして、英語学習のつらさから解放されましょう!
目次
1. 英語学習の「やる気」を引き出す「ドーパミン」とは?
人間の「やる気」や「モチベーション」は「ドーパミン」という脳内の神経伝達物質によってもたらされます。
人間は「ドーパミン」が分泌されると快楽を感じ、再びそれを味わうために、「ドーパミン」が分泌された原因となった行動を繰り返すようになると言われています。
英語学習においても、この「ドーパミン」を分泌させ続けることができれば、「やる気」を維持することができ、学習を継続できるということです。
英語の学習を「無理なく」継続するために、「ドーパミン」を継続的に分泌させるいくつかのヒントをご紹介しましょう。
2. 英語学習で「ドーパミン」を出すための仕掛けとは?
ドーパミンは「報酬」への期待を感じたときに分泌されます。脳科学者の澤口俊之氏は、「ドーパミンが分泌されると、モーティベーションも能力も最大限に発揮され、パフォーマンスをあげるには最適な状態となる」と指摘しています。
例えば、英語を学習することで、すぐに結果が出ればドーパミンは分泌されます。そしてまた学習しようという意欲につながります。しかしながら、英語の学習はすぐには結果は出ません。ジムに行ってマシンで筋力トレーニングを1日中やってもすぐには筋肉はつかないことと同じです。すぐに結果が出てこないのでドーパミンが分泌されにくく、続けることが難しくなるのです。
英語の学習でドーパミンを出すには、学習の結果をすぐに求めるのではなく、学習によって下記のことが感じられるような仕掛けを作ることが重要です。
- 達成感・自己肯定感
- 学ぶ喜び
- 英語力が向上している実感
- 褒められることの喜び
英語学習によって、このような感覚を得ることができれば、ドーパミンが分泌され快楽を感じ、また英語を学習しようという「意慾」「やる気」に繋がります。
「達成感・自己肯定感」を得るための仕掛け
人は英語を学習することで「達成感」や「自己肯定感」を感じると、脳内にドーパミンが分泌されて快楽を感じます。そうすると、また英語を学習しようという「やる気」が出てきます。
「短期的な目標」を設定しよう!
1日、1週間、1ヶ月などの短期的な目標を設定し、それをやり遂げることで達成感を感じるようにすると学習が継続しやすくなります。
例えば「TOEICで900点を取る」という最終的な大きな目標を明確にすることは重要ですが、それだけではドーパミンは分泌されにくくなります。このような最終的な目標に加えて、なるべく「具体的」で、自分が必ず「達成できる」小さな目標を立てて、それを「達成」していくことでドーパミンが分泌されやすくなります。
1日、1週間、1ヶ月単位でやることを決め、それをコツコツをこなしていくことで小さな「達成感」を感じられるようにすればドーパミンが分泌され、学習する「やる気」が出てきます。
「学習仲間・ライバル」を作ろう!
同じ目標を持つ学習仲間を作り、助け合い、競い合いつつ一緒に学習することで自己肯定感を感じられるようにすると学習が継続しやすくなります。
例えば、仕事で疲れて今日は英語の勉強はしたくないとき、学習仲間はやっているので自分も頑張ろうと思い勉強する。そのことで自己肯定感によるドーパミンが分泌されます。
また、学習仲間に教えるという行為は、自分の理解の促進に役立ちますし、何よりも自己肯定感につながります。
学習仲間と競い合い、テストの点数などで勝ったときもドーパミンが分泌されます。最近の京都大学の研究では、がっかりしたときもドーパミンが分泌されることが発見されました。挫折克服のためだと考えられています。学習仲間にテストなどで負けたときでもドーパミンが分泌されるということです。
「学ぶ喜び」を得るための仕掛け
人は英語を学習することで「学ぶ喜び」を感じると、脳内にドーパミンが分泌されて快楽を感じます。そうすると、また学習しようという「やる気」が出てきます。
「英語を学ぶ」喜びを感じよう!
英語を勉強している中で、新しい発見をしたときなど、「学ぶ喜び」を感じたときはドーパミンが分泌されます。
例えば、文法の勉強で、学校では教えてくれなかった “will” と “be going to” のニュアンスの違いを知ったときや、発音の勉強で、”I have to go.” をネイティブは「ガラゴウ」と発音すると知ったときなど、「へー、そうなんだ。」と面白みを感じられればドーパミンが分泌されます。
ドーパミンが分泌されれば「また英語を勉強しよう」という「やる気」が起きます。
「英語で学ぶ」喜びを感じよう!
どうしても英語を学ぶ喜びを感じられないという人もいるでしょう。その場合は、英語で学ぶ喜びを感じるようにできませんか?
例えば、スティーブ・ジョブズを尊敬しているのであれば、彼に関するPodcastを聴くようにします。そうすると興味があるので集中して聞きます。人間の脳は興味があることを優先して記憶に定着してくれます。集中しているので尚更英語の学習効果が高くなります。そして、何よりもそこから何らかの学びがあればドーパミンが分泌されます。
仕事の情報収集を英語で行うこともおすすめです。興味を持って英語を読み(聞き)、学ぶことで英語の学習効果も高まり、また英語で情報収集しようという意欲につながるドーパミンが分泌されます。
「英語力が向上している実感」を得るための仕掛け
人は英語を学習することで「英語力が向上している実感」を得られると、脳内にドーパミンが分泌されて快楽を感じます。そうすると、また英語を学習しようという「やる気」が出てきます。
しかしながら、英語を学習していても、英語力が向上している実感はなかなか得られません。なぜなら、英語力は短期間ではなかなか向上しないからです。加えて、自分では学習の効果が分かりづらいからです。したがって、ある程度時間的間隔を空けて客観的なテストを受けるか、もしくは第三者から評価を受けること、そして英語を使う実践の場を増やすことをお勧めします。
例えば、3ヶ月に1回IELTSなどの英語のテストを受けてみる。客観的なテストの点数が伸びていれば、ドーパミンが分泌され学習を継続する意欲が高まります。上記で述べたように、点数が下がってがっかりしてもドーパミンは分泌されます。
ちなみに英語のテストは、IELTSなどの「読む・聞く・書く・話す」の4技能を測定するテストをお勧めします。注意しなければならないのは、テストの対策に走らないこと。テストはあくまで目安だと思って、英語を総合力を上げることに注力しましょう。そうすればテストの結果も効率的に上がっていきます。
英語の講師に3ヶ月に1回程度、客観的に英語力の評価をしてもらうことでドーパミンが分泌されるきっかけを作れます。その評価が良くても悪くてもドーパミンは分泌されます。
また、仕事などで実際に英語を使う機会を意識的に増やすことも重要です。実践の場で「相手の言うことが理解できるようになった」や「言いたいことが結構言えた」などの成功体験はドーパミンを分泌される最高の機会だといってもいいでしょう。
「褒められることの喜び」を得るための仕掛け
人は英語を学習することで「褒められることの喜び」を感じると、脳内にドーパミンが分泌されて快楽を感じます。そうすると、また英語を学習しようという「やる気」が出てきます。
子どもは親に褒められると、褒められたことをもっとやります。それは褒められることでドーパミンが分泌されるからです。これは子どもも大人も同じです。人間は誰でも褒められて育つのです。
例えば、よく褒めてくれる英語の講師を見つけることです。ちなみに The English Club の講師は「褒め上手」ばかりですので、是非試してみてください。
3. 「ドーパミン」の「やる気」以外の驚くべき効果とは?
「ドーパミン」は「やる気」以外にも英語を学習する上で重要な「集中力」や「記憶力」を向上させ、かつ「ポジティブ」な感覚を与えることで学習効率を向上させると言われています。
「幸福感」が高まり「意欲」が増す
人が「楽しい」「嬉しい」と感じるのは「ドーパミン」が分泌されていることが影響していると言われています。この気持ちが継続することが「意欲」につながります。
「集中力」が向上して「効率性」がアップする
「ドーパミン」が分泌されると、「意欲」が出てくることで、「集中力」や「記憶力」も向上し、学習の「効率性」もアップすると言われています。
「ポジティブ」な感覚を与える
「ドーパミン」が分泌されると、「ポジティブ」な感覚になります。「ポジティブ」になることで活力が満ち溢れ学習効率が上がると更に「ドーパミン」が分泌されます。
科学的な観点からの「やる気」とは、脳内物質の「ドーパミン」によってもたらされるものであり、これが足りない、もしくは十分に作られないと「やる気」は起きません。「やる気」が起きないと「集中力」や「記憶力」も低下し、気持ちも「ネガティブ」になり、学習効率が上がらないということになってしまうのです。
「やる気」が起きない一番の原因は「ドーパミン」が足りない状態になっているからです。
4. 英語学習のために「ドーパミン」を出す方法とは?
英語を学習する「やる気」を引き出すためには、「ドーパミン」を分泌させることが非常に重要なのです。その「ドーパミン」を分泌させるいくつかの方法を紹介しましょう。
十分な睡眠を取る
睡眠不足はドーパミンの分泌に悪影響をおよぼします。米ペンシルベニア大学は、「睡眠時間6時間が2週間続くと、集中力は低下し、徹夜明けと同じパフォーマンスになる。」という研究結果を発表しています。
集中力が上がらないと学習の効率性が低下し、自己肯定感が下がることで更にパフォーマンスが落ちる。という負のスパイラルに陥りやすくなります。質のいい睡眠を取ることでセロトニンが活性します。セロトニンとは思考の切り替えを司る脳内物質ですが、セロトニンが整うとドーパミンなど他の脳内物質も整います。そうすると「やる気が起きない」問題も改善されていきます。
体を動かす
ドーパミンは活動することで分泌します。精神科医の樺沢氏は、「例えば10分歩くだけでもドーパミンは分泌しますが、できれば1日20分程度の早歩きなどの軽い運動に加えて、45分程度の軽く汗をかくぐらいの運動を週に2~3回行うこと」を勧めています。
また、樺沢氏は「座り続けているだけではドーパミンが分泌しません。脳の働きは低下するだけですから、1時間以上座っていると、やる気が減退するのは当然なのです。勉強中にやる気が出ないときは、10分か15分の散歩をするだけでも違ってきます。」と指摘しています。
リラックスする
脳は緊張していると疲れます。お風呂に入ってのんびりするなど、リラックスするとセロトニンが分泌されます。そうするとドーパミンなど他の脳内物質も整います。一方で、心配や不安は脳を緊張状態にするため、緊張が持続すると脳疲労を起こしやすくなると樺沢氏は言います。
瞑想する
これは、上記の「リラックスする」にも関連することですが、「瞑想にもドーパミンを分泌する効果があるという研究結果も発表されています。」と指摘するのは精神科専門医の伊藤直氏です。
瞑想を行うと人間の脳はガンマ波と呼ばれる脳波量が増加します。ガンマ波は脳の高次機能と深い関係があり、集中力や記憶力の向上や幸福感を高める作用があると言われています。
好きな音楽を聴きながら勉強する
マギル大学研究チームの「好みの音楽はドーパミン生成を促進させる効果がある」という論文が「ネイチャー」電子版に掲載されました。
伊藤直氏は、「好きな音楽を聴いているときには、脳内からドーパミンが分泌されることでランナーズ・ハイに似た感覚になる。また、音楽を聴くことで、自己効力感の向上にもつながる」と指摘しています。
ドーパミン生成に必要な栄養素を摂取する
ドーパミンの原料について伊藤直氏は以下のことを指摘しています。
「ドーパミンの原料となるのはタンパク質です。その中に含まれる必須アミノ酸のフェニルアラニンとアミノ酸のチロシンが合成されて作られています。タンパク質が豊富な食べ物は心身の疲れを軽減させると言われています。フェニルアラニンとチロシンを多く含む食品には、牛肉、豚肉、大豆、バナナ、卵、チョコレート、コーヒー、牛乳などがあります。また、最近では腸でもドーパミンの分泌が行われるという研究も発表されているので、食物繊維や乳酸菌の摂取も重要であると考えられます。」
なお、英語を続けるコツについては「英語を続けるコツ|最強のやる気を引き出す内発的動機付けとは」にも詳細を説明していますのでこちらも是非読んでみてください。
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