ホーム > ブログ > TOEIC試験とは|初心者が知るべき基礎知識!内容・コツ・注意点
公開日:
2020.01.27
更新日:
2020.03.06

TOEIC試験とは|初心者が知るべき基礎知識!内容・コツ・注意点

TOEIC(トーイック/トイック)について、初心者の皆さま向けに、勉強を始める前に必ず知っておきたい「概要」と「内容」、そして「コツ」をわかりやすく解説する。加えて、初心者だからこそ知っておくべきTOEICの「不都合な真実」もお伝えしよう。

皆さまの今後のTOEIC勉強にお役に立てば幸いだ。

1. TOEIC(トーイック/トイック)の概要

TOEIC(トーイック/トイック)とは「Test Of English for International Communication」の略称だ。直訳すると「国際的な意思疎通のための英語のテスト」となる。「TOEICテスト」と呼ばれることがあるが、TOEICの「T」は「テスト」の「T」なので、本来「TOEICテスト」と呼ぶのはおかしい。

日本でのテスト運営を担当するIIBCのウェブサイトには、TOEICは、「オフィスや日常生活における英語によるコミュニケーション能力を幅広く測定します。」とあるが、受験者は、就職活動のために受験する大学生や、業務で英語が必要なフルタイム勤務者が一番多い。

TOEICの受験者数は日本で年間約245万人(2018年)にのぼる。世界では160カ国で年間約700万人が受験しているというが、受験者数では日本が断トツ1位で、2位が韓国。韓国では年間200万人以上が受験しているということなので、日本と韓国で445万人以上となり、この2カ国だけで64%以上(約3分の2)を占める。

TOEIC国別受験者数

TOEICのテストプログラムの開発は、アメリカのプリンストンに拠点を置く「ETS」(Educational Testing Service)が行っている。日本でのテストの運営は「財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会」(IIBC)が担当している。

2. 5種類のTOEIC

一口に「TOEIC」といっても、実は下記の通り5種類のテストがある。大きく2つに分かれるが、「TOEIC Tests」が「本流」であり、「TOEIC Bridge Tests」は初・中級者用で、「本流」の「TOEIC Tests」への「橋渡し」(Bridge)のテストと考えていい。

TOEICの種類

最も一般的で、一番普及しているのはTOEIC Listening & Reading(L&R)で、このテストの受験者が総受験者数の9割以上を占める。一般的に「TOEIC」といった場合は、この「L&R」だと思っていい。英語を「聞く」(Listening/リスニング)能力と、「読む」(Reading/リーディング)能力を判定する。1979年から実施されている。

TOEIC日本受験者数

TOEIC Speaking & Writing(S&W)は、英語を「話す」(Speaking/スピーキング)能力と、「書く」(Writing/ライティング)能力を判定するテストだ。年間の総受験者数は4万人にも満たず、全く普及していないと言っていいだろう。2007年から実施されている。

TOEIC Speakingは、TOEIC(S&W)の「Speaking/スピーキング」(話す)だけのテスト。以前は「Writing/ライティング」(書く)だけのテストもあったが、今なない。全く普及しなかったことが原因だろう。

TOEIC Bridge Testとは、IIBCによると「英語学習初級者から中級者を対象とした、日常生活における活きた英語の力を測定する」とのこと。2001年から実施されている。こちらも、Listening & Reading(L&R)とSpeaking & Writing(S&W)がある。L&Rの方は、年間の総受験者数が17万人弱で年々減少している。しかも、約17万人のうちの約98%が団体受験なので、一般には全く普及していないと言っていい。S&Wは2019年から開始されたので受験者数の公表はまだされていない。

3. TOEICの基本

本コラムでは、一般的に「TOEIC」と言われている「TOEIC Listening & Reading」(TOEIC L&R)についての詳細を説明する。これから、TOEIC (L&R)のことを「TOEIC」と呼ぶことにする(別途記載がない限り)。

まずは、TOEICの基本の「き」からご説明しよう。

3.1. TOEICの英語力評価方法

TOEICは、大きく2つのセクションに分かれている。前半はリスニング・セクションで英語を「聞く」力を測定し、後半のリーディング・セクションで「読む」力を測定する。

TOEIC評価方法

それぞれのセクションは、5〜495点の5点刻みの点数(スコア)で評価され、合計10〜990点の5点刻みで評価される。

3.2. TOEICの問題数・時間と問題形式

リスニング・セクションは45分間で、Part 1〜4までの問題数100問。リーディング・セクションは75分間で、Part 5〜7までの100問。トータル2時間で200問の問題を解くことになる。ちなみに途中休憩はない。

TOEIC問題数と時間

問題は全てマークシート方式で、問題や選択肢など、全て英語で書かれている。したがって英文を日本語に訳したり、日本語を英語に訳したりする問題は出ない。

3.3. TOEICの受験情報

  • TOEICは年10回(1・3・4・5・6・7・9・10・11・12月)全国約80都市で実施。
  • 受験料は6,490円(税込)で、一度納入された受験料は返金してくれない。
  • インターネットで受験申込をすると、1年後のテストが5,846円(税込)の割引価格で受験できる。
  • 受験の申し込みは、インターネットの他、コンビニ端末でも可能。
  • 支払方法は、インターネットでのクレジット払い、コンビニでの現金支払の他、楽天ペイでも可能。
  • 受験料の領収書は、TOEIC申込サイトから発行の手続きが可能。
  • 受験についての詳細情報やインターネットでのお申し込みは、IIBCのサイトから。

4. TOEICの点数と英語力のレベル

TOEICの点数はどの程度を目標とすべきなのだろうか?

4.1. TOEICの平均点

2019年12月に行われたTOEIC(受験者数87,245人)の平均点は595.4点(リスニング・セクション:327.6点/リーディング・セクション:267.8点)だ。

TOEIC平均点

過去1年間で行われた10回を見ると、最低が578.4点で、最高が597.5点だ。平均点以上を取ろうと思ったら600点が目安になる。

4.2. TOEICと英検の比較

TOEIC(L&R)は、英語を「聞く」能力と「読む」能力を測るテストだ。一方で、英検(実用英語技能検定)は、「聞く」「読む」に加えて、「話す」「書く」能力も測る。したがって、単純に比較はできない。

下の表は、文部科学省が公表している資料の一部だ。TOEICの「L&R」と「S&W」の合計点と英検の級を比較している。ちなみに、TOEIC(S&W)の満点は400点だ。

TOEICと英検の比較

履歴書にかけるのは英検2級からだろう。その場合、TOEIC(L&R)では550点がとりあえずの目標になりそうだ。

4.3. ビジネスパーソンのTOEIC目標点数

IIBCによると、調査した企業の約半数が、採用や昇進・昇格、海外出張・赴任者選抜でTOEICの点数を要件もしくは参考にしているそうだ。それらの点数の平均は以下の通り。

企業が求めるTOEIC点数

また、同じくIIBCが別途調査した、企業が社員に期待するTOEICの点数の平均は以下の通り。

社員に期待するTOEIC点数

ちなみに、韓国のサムスンは新入社員に900点を要求しており、課長に昇進するには920点が要件だと言われている。それに比べると日本企業が要求する点数はかなり低いと言えるだろう。この差が、企業の競争力の差につながっているのではないだろうか。

日本企業の中にも、職種によって860点や900点以上を要求するところも多くなってきている。今後、要求される点数の平均点も高くなっていくことは避けられないだろう。

5. TOEICのリスニング・セクション

次にTOEICのテストの内容を見ていく。まずはリスニング・セクションだ。リスニング・セクションは4つのPart(パート)に分かれている。それぞれの概要は以下の通り。

リスニングセクション概要

5.1. Part 1:写真描写問題

Part 1の写真描写問題は、問題用紙に載っている1枚の写真についての音声が4つ流れるので、写真を正しく説明しているものを選び、マークシートに記入する形式の問題だ。

音声は1回だけ流れる。当然だが、4つの音声の英文は問題用紙に印刷されていない。問題用紙には写真のみが載っている。

Part 1は全部で6問ある。したがって、問題用紙には6枚の写真が載っている。

Part 1 の例題

Part 1の問題を1つご紹介する。比較的簡単な問題だ。

TOEIC_Part1写真

上の写真が問題用紙に載っており、下記の4つの選択肢が音声で流れる。英語を聞き取る力を測る問題なので、これらの選択肢は問題用紙には記載されていない。

(A) She’s filing papers.
(B) She’s using a photocopier.
(C) She’s turning on some lights.
(D) She’s closing a cabinet.

答えは (B)(彼女はコピー機を使用している。)だ。解答用紙のマークシートの (B) を塗りつぶせばよい。この様な問題が6問出題される。

なお、この問題は「TOEICテスト公式問題集」から抜粋した。以下のPart 2〜7の問題も同様だ。

Part 1 の注意点とコツ

電球
  • 迷っている時間はない。最後の選択肢 (D) が読み上げられてから、次の問題の音声が流れるまで約5秒しかないので、じっくり考えずに素早くマークシートを塗りつぶしていかないと間に合わない。
  • 4つの選択肢が読み上げられる前に、写真を見る時間を確保すること。このPart 1の問題は、聞き取れなかったら、考えても答えは出てこない。考える(迷っている)時間を省き、次の問題の写真を見る時間を死守しよう。そうすれば余裕もでてくる。
  • 英語の「なまり」に慣れておくこと。流れる音声の英語(Part 1〜4)は、イギリス英語、アメリカ英語、カナダ英語、オーストラリア英語の4種類ある。それぞれの発音の特徴に慣れておく必要がある。Part 2〜4も同様だ。

5.2. Part 2:応答問題

Part 2の応答問題は、最初に発言または質問の音声が流れ、続けてそれに対する3つの応答の音声が流れる。最初の音声に対する応答として、最も適切なものを3つの中から選び、マークシートに記入する形式の問題だ。

音声は1回だけ流れる。問題用紙には何も印刷されていない。

Part 2は全部で25問ある。

Part 2 の例題

Part 2の問題を1つご紹介する。

最初の音声:

How many tables did you reserve?

応答の音声:

(A) Twelve of them.
(B) At the post office down the street.
(C) No, not right now.

答えは (A)(12のテーブルです。)だ。解答用紙のマークシートの (A) を塗りつぶせばよい。

この様な問題が25問出題される。

Part 2 の注意点とコツ

電球
  • 迷っている時間はない。最後の選択肢 (C) が読み上げられてから、次の問題の音声が流れるまで約5秒しかないので、じっくり考えずに素早くマークシートを塗りつぶしていかないと間に合わない。
  • 音声が流れ始める前に集中すること。マークシートを塗りつぶしている途中で次の問題の音声が流れると集中できない。次の問題の音声が流れる時には音声を聞くことに集中できるように、前の問題の塗りつぶしは余裕を持って終わらせておくこと。

5.3. Part 3:会話問題

Part 3の会話問題は、2人もしくは3人による会話の音声を聴き、その後に流れる質問の答えを4つの選択肢から選び、マークシートに記入する形式の問題だ。

音声は1回だけ流れる。4つの選択肢は音声では流れない。問題用紙には、質問と4つの選択肢が印刷されている。会話は印刷されていない。

1つの会話に3つの問題が出る。全部で13の会話が出題されるので、Part 3は全部で39問ある。

Part 3 の例題

Part 3の問題を1つご紹介する。比較的簡単な問題だ。

会話の音声:

男: Excuse me, I’m sorry to disturb you – I came to use a library computer, but I forgot my library card and I can’t log on without it.
女: Oh, that’s alright. Let me look up your account in our database. Do you have any other identification with you?
男: Well, I have my driver’s license. It has my name and address on it.
女: Okay, that’s fine. I’ll give you a password so you can access the computer now, but you won’t be able to use it after today.

問題用紙(質問だけ音声でも流れる。選択肢は流れない。):

1. What does the man want to do?
(A) Sign up for membership
(B) Use a computer
(C) Make a telephone call
(D) Borrow some materials

2. Who most likely is the woman?
(A) A librarian
(B) A security guard
(C) A software developer
(D) A salesperson

3. What does the woman say she will give the man?
(A) An application form
(B) An Internet address
(C) A business card
(D) A temporary password

1. は (B)(コンピュータを使う)、2. は (A)(図書館員)、3. は (D)(パスワード)が正解だ。解答用紙のマークシートの該当箇所を塗りつぶせばよい。

この様な問題が13会話(39問)出題される。

Part 3 の注意点とコツ

電球
  • 迷っている時間はない。問題用紙に印刷されている質問が読み上げられてから、次の質問の音声が流れるまで約7秒しかない。その間に、4つの選択肢を読み、正解を見つけ、マークシートを塗りつぶさなければならない。
  • 会話の音声が流れる前に問題に目を通しておくこと。そうすることで会話の内容が想像できるので解答しやすくなる。しかし、前の会話の最後の質問の音声が読み上げられてから、次の会話の音声が始まるまで約13秒しかない。その間に、4つの選択肢を読み、正解を見つけ、マークシートを塗りつぶし、次の会話文の3つの問題に目を通す必要がある。
  • 今流れている音声を聞き取ることに集中すること。全てのリスニング問題に共通することだが、比較的長い英語を聞いていると、聞き取れなかった部分が気になり、それ以降全く理解できなくなることがある。それを避けるには、今、まさに聞いていることに集中することだ。聞き取れなかったところについて考えても理解できるはずはない。時間の無駄だ。
  • 固有名詞は無視すること。人名や会社の名称など、固有名詞が聞き取れなくて混乱してしまう受験者が多い。固有名詞についての質問は出ないので、聞き取れなくても焦らないように慣れる必要がある。
  • イギリス英語、アメリカ英語、オーストラリア英語、カナダ英語が入り混じった会話が出題されるので、それぞれの英語の発音の癖(なまり)にも慣れておく必要がある。
  • 問題用紙に掲載された図表を見ながら解答しなければならない問題も何問か出題されるので慣れておく必要がある。

5.4. Part 4:説明文問題

Part 4の説明文問題は、1人によるアナウンスやナレーションなどの説明文の音声を聴き、その後に流れる質問の答えを4つの選択肢から選び、マークシートに記入する形式の問題だ。

音声は1回だけ流れる。4つの選択肢は音声では流れない。問題用紙には、質問と4つの選択肢が印刷されている。説明文は印刷されていない。

1つの説明文に3つの問題が出る。全部で10の説明文が出題されるので、Part 4は全部で30問ある。

Part 4 の例題

Part 4の問題を1つご紹介する。比較的簡単な問題だ。

説明文の音声:

Anwei! Thank you so much for helping set up for the party after last night’s theater performance. I couldn’t have done it without you, and the spicy dish you brought was delicious! You have got to tell me where you found the recipe! Everyone really liked it, and it didn’t look too complicated. Anyway, I guess I’ll see you Monday. I think we have rehearsal together for Elia Grande’s new play. I’m really excited to get started.

問題用紙(質問だけ音声でも流れる。選択肢は流れない。):

1. Why is the woman calling?
(A) To express her gratitude
(B) To ask for a favor
(C) To discuss an assignment
(D) To report some good news

2. What does the woman imply when she says, “You have got to tell me where you found the recipe”?
(A) She wonders if some ingredients are local.
(B) She would like to make the dish herself.
(C) She needs a restaurant recommendation.
(D) She cannot find a recipe in a cookbook.

3. Why is the woman looking forward to Monday?
(A) She is going to see a play.
(B) She is taking a friend to lunch.
(C) Some results will be available.
(D) A new project will start.

1. は (A)(感謝の意を表すため)、2. は (B)(自分でその料理を作りたい)、3. は (D)(新しいプロジェクトが始まる。)が正解だ。解答用紙のマークシートの該当箇所を塗りつぶせばよい。

この様な問題が10説明文(30問)出題される。

Part 4 の注意点とコツ

電球
  • 迷っている時間はない。Part 3同様、質問が読み上げられてから、次の質問の音声が流れるまで約7秒しかない。その間に、4つの選択肢を読み、正解を見つけ、マークシートを塗りつぶさなければならない。
  • 説明文の音声が流れる前に問題に目を通しておくこと。そうすることで説明文の内容が想像できるので解答しやすくなる。しかし、前の説明文の最後の質問の音声が読み上げられてから、次の説明文の音声が始まるまで約13秒しかない。その間に、4つの選択肢を読み、正解を見つけ、マークシートを塗りつぶし、次の説明文の3つの問題に目を通す必要がある。
  • Part 3同様、固有名詞は無視すること。人名や会社の名称など、固有名詞が聞き取れなくて混乱してしまう受験者が多い。固有名詞についての質問は出ないので、聞き取れなくても焦らないように慣れる必要がある。
  • イギリス英語、アメリカ英語、オーストラリア英語、カナダ英語のいずれかの英語で出題されるので、それぞれの英語の発音の癖(なまり)にも慣れておく必要がある。
  • 問題用紙に掲載された図表を見ながら解答しなければならない問題も何問か出題されるので慣れておく必要がある。

6. TOEICのリーディング・セクション

次にリーディング・セクションの内容を見ていく。このセクションでは一切音声は流れない。リーディング・セクションは3つのPartに分かれている。それぞれの概要は以下の通り。

リーディングセクション概要

リーディング・セクションはPart毎の時間的な区切りはない。1つのPartが終わり次第、次のPartに取り掛かる。また、どのPartから初めてもよい。Part 6や7から始める方もいる。

リーディング・セクションは、リスニング・セクション以上に時間がない。最初の頃は、100問全てを解くことは不可能だと考えていい。最後の1〜2分は、解けなかった問題のマークシートを適当に塗りつぶす時間にしたい。

迷っている時間はない。とはいっても、取れる問題は取りこぼさないことだ。リーディング・セクションは、「速さ」と「正確さ」という相反する2つのことを両立させることが一番重要である。

6.1. Part 5:短文穴埋め問題

Part 5の短文穴埋め問題は、1センテンス(1文)の抜けているところに入る単語や語句を、4つの選択肢から選びマークシートに記入する形式の問題だ。30問出題される。

Part 5 の例題

Part 5の問題を1つご紹介する。

The _______ version of the budget proposal must be submitted by Friday.

(A) total
(B) many
(C) final
(D) empty

(C)(最終の)が正解だ。解答用紙のマークシートの該当箇所を塗りつぶせばよい。

この様な問題が30問出題される。

Part 5 の注意点とコツ

電球
  • 迷わずに、そして素早く次々解いていくこと。Part 5は、他のリーディングの問題と比べて、時間をかけても結果が変わらない問題が多い。つまり、わからない問題は時間をかけても無駄になる可能性が高いということ。Part 6や7は、時間をかければかけるだけ正解率が上がるタイプの問題なので、Part 5は早めに切り上げて 6と7にできるだけ時間をかけよう。
  • 問題のタイプは大きく分けて2種類。一つは品詞(名詞や動詞など)を問う文法の問題と、もう一つは意味を問う問題だ。したがって問題のセンテンスを読むときは、文法と意味の両方を意識する必要がある。
  • 問題のセンテンスを読む回数をなるべく減らすこと。意味が理解できないとセンテンスを何回も読むことになる。それが時間のロスにつながるので、なるべく1〜2回で理解できるようにしていく必要がある。

6.2. Part 6:長文穴埋め問題

Part 6の長文穴埋め問題は、メールや案内などの長めの文章の抜けているところに入る単語や語句、一文を、4つの選択肢から選びマークシートに記入する形式の問題だ。

一つの文章に4つの問題が出る。全部で4つの文章について解くので、全16問解くことになる。

Part 6 の例題

Part 6の問題を1つご紹介する。

For the first time, the Oakville Library is conducting a survey to learn how it can better ____1____ the needs of the public. The information gathered from the survey responses will help guide ____2____ five-year plan. ____3____ . The survey can be completed online at www.lakvillelibrary.org/survey. Visitors can also pick up a ____4____ of this form at the circulation desk on the first floor. Library patrons are strongly encouraged to complete the survey. The Oakville Library is open Monday to Friday from 10:00 A.M. to 8:00 P.M. and Saturday and Sunday from 1:00 P.M. to 5:00 P.M. For more information, call 555-0130.

1.
(A) met
(B) meet
(C) meeting
(D) meetings

2.
(A) its
(B) his
(C) your
(D) theirs

3.
(A) The questions are the same as those used five years ago.
(B) Patrons of the library are welcome to the event.
(C) Membership will be renewed after five years.
(D) This plan covers programming, services, and materials.

4.
(A) placement
(B) showcase
(C) magazine
(D) copy

1. は (B)(動詞の原型)、2. は (A)(その)、3. は (D)(この計画はプログラムの作成、業務全般、資料を対象にしています。)、4. は (D)(部)が正解だ。解答用紙のマークシートの該当箇所を塗りつぶせばよい。

この様な問題が4長文(14問)出題される。

Part 6 の注意点とコツ

電球
  • じっくりと考える時間はない。しかし、あまり焦ると英語が頭に入ってこない。なるべく正確に早く読む能力が試される。特に、繰り返し読むことが時間ロスの一番の原因となる。1〜2回読んで理解できるようにしていきたい。
  • 問題の種類は大きく分けて2種類ある。品詞(名詞や動詞など)を問う問題(文法問題)と、意味を問う問題だ。それら2つのことを意識しながら読んでいく必要がある。ちなみに、上記の例題では、1.が品詞を問う問題。2.と3.は意味を問う問題である。
  • 英文を最初から読みながら回答していくこと。例題の3.の問題のように、全体の文脈から、1文全てを選択させる問題も出題されるため、穴が空いている前後を読むだけでは対応できない場合が多い。

6.3. Part 7:読解問題

Part 7の読解問題では、新聞などの記事やeメールなどの文章の内容について、2〜5問の問題を解くことになる。文章は1〜3つが1セットとなっており、問題は4つの選択肢の中から正解を選び、マークシートに記入する形式だ。

文章のセットは15程度。全部で54問出題される。

Part 7 の例題

Part 7の問題を1つご紹介する。

1つの文章について2つの問題を解くシンプルで簡単な問題だ。

TOEIC_Part7問題

1. Who most likely is Mr. Burris?
(A) Ms. Goldblatt’s assistant
(B) A department store salesperson
(C) An employee at Browning’s
(D) A delivery person

2. What does the document indicate about Ms. Goldblatt?
(A) She is ordering a new black dress.
(B) She will receive a discount.
(C) She will visit Browning’s on November 14.
(D) She is attending a special event on November 5.

1. は (C)(Browning’sの従業員)、2. は (B)(割引を受ける)が正解だ。解答用紙のマークシートの該当箇所を塗りつぶせばよい。

この様な問題が、文章のセットで15程度。全部で54問出題される。

Part 7 の注意点とコツ

電球
  • 英語の量と問題の量がとにかく多い。このPart 7を最後にやる人がほとんどだと思うが、全てを解こうと思わないで頂きたい。The English Clubでの経験では、700〜800点程度取れるようになってやっと全部解ける(全問題に取り組める)ようになる方が多い。
  • とは言いつつ、正確さと速さの両立を目指すこと。「いかに正確に速く解くか」は、TOEICの全問題に共通した課題だが、特にPart 7では最重要なことだ。
  • 設問を読み、選択肢をざっと見てから、文章中のその答えのあるところを探す(スキャンする)こと。文章を最初から全部読んでから問題を解くやり方では、いつまで経っても高得点は望めない。
  • 最後に、解けなかった問題のマークシートを塗りつぶす時間を確保しよう(1〜2分)。

7. TOEICの不都合な真実

TOEICにとって不都合な事実がある。ここではTOEIC初心者の皆さまに特に知っておいて頂きたい2つのことをご紹介する。

7.1. TOEICで高得点をとっても仕事で使えない!?

TOEICで高得点を取っても仕事で使えないということが、多くの企業の人事・研修担当者の頭を悩ませてきた。どういうことか説明しよう。

下記は、ETSが作成したものをIIBCが日本語に訳した資料の一部で、IIBCのウェブサイトに掲載されているものだ。この資料によると、TOEICで730点以上を取得できれば、「どんな状況でも適切なコミュニケーションができる」とある。

TOEICスコアとコミュニケーションレベル

しかし、現実はどうか。下のグラフは、雑誌「President」が行なった英語に関するアンケートの一部だ。「英語で簡単な商談や取引ができるようになるまであと何年かかると思うか?」という質問を、ビジネスパーソン1000人に聞いた結果をまとめている。

TOEICについてのアンケート

TOEICで730点以上(990点以下)を取得している方たちの答えが一番下にある。そこを見ると、46.7%の方が「簡単な商談や取引は可能」とのことだが、残りの半数以上の方が、未だ「簡単な商談や取引もできない。」と答えているのだ。

ETSとIIBCによると、TOEIC 730点以上をとれば、「通常会話は完全に理解でき、応答もはやい。」「業務上も大きな支障はない。」はずなのに、現実では業務上支障が出ている方は半数以上いることになる。ETS/IIBCの資料の記述は信じてはいけない。

なぜこのようなことが起こるのか?理由は、TOEICは「聞く力」と「読む力」しか判定できないからだ。「話す力」と「書く力」は判定できない。聞くことはできても、話すことができないので、「簡単な商談」もできないのだ。

「簡単な商談」もできないのであれば、頑張ってTOEICで730点を取る意味は全くない。あなたはそう思わないだろうか?

7.2. TOEICに特化した学習は非効率!?

脳科学(神経科学)研究から、英語の「聞く力」と「読む力」のみを測るTOEICに特化した学習は非効率であることが明らかになっている。どういうことか説明しよう。

TOEICは、「聞く力」と「読む力」という「インプット」の能力を測るテストだ。したがって、TOEICの点数を上げたい人は、当然「聞く」ことと「読む」ことに特化して学習する。しかし、その「インプット」に特化した学習が非効率であると科学的に証明されている。

雑誌「サイエンス」に掲載された、米パデュー大学のカーピック博士の研究結果によると、「インプット(読む・聞く)よりもアウトプット(書く・話す)を繰り返す方が、脳回路への情報の定着を促進する」とのこと。つまり、私たちの脳は、情報を何度も入れ込む(インプット)よりも、その情報を何度も使ってみる、想起する(アウトプット)ことで、長期間安定して情報を保持することができる性質をもっているのだ。

人間の脳の性質から、TOEICの点数を効率的に上げるには、「インプット」だけを繰り返すのではなく、「アウトプット」を取り入れた方が効率的だということ。

8. 初心者の皆さま向けおすすめTOEIC学習法

音読

TOEICで高得点を取っても話せないので仕事で使えないこと、そしてTOEICに特化して英語を学習することは非効率であることを説明してきた。しかし、それでもTOEICで高得点を取らなければならない方も多いだろう。就職活動を控えている方や、会社からTOEICの点数を要求されている方などだ。

その様な方は、まずはTOEICの点数にこだわり過ぎないようにして頂きたい。点数を目標にするのは構わない。しかし、あまり固執し過ぎると非効率な学習になってしまう。

つまり、TOEICの点数に固執した「聞く」「読む」ことだけに特化した学習をしていると、かえってTOEICの点数は伸びない。TOEICには関係のない「話す」「書く」学習も取り入れることによって、効率的にTOEICの点数も上がっていく。遠回りをしているようで、実はその方が近道なのだ。加えて、「話せないから仕事で使えない」という問題も解消される。

TOEICはあくまで英語力を測る一つの指標に過ぎない。それ自体が目的にはなり得ない。TOEICを目的にしてしまうと、上記のような様々な弊害が出てくることをご理解頂きたい。

効率的なTOEICの学習方法については、その詳細を説明したコラムを順次アップしていくので是非参考にして頂きたい。

9. TOEIC(トイック)とは?|まとめ

祝福
  • TOEICは5種類あるが、その中の「TOEIC Listening & Reading(L&R)」が一般的に「TOEIC」と呼ばれている。このコラムでも「TOEIC L&R」のことを「TOEIC」と呼ぶ。
  • TOEICの全世界での受験者数は年間約700万人。日本では約245万人、韓国では約200万人。これら2つの国で約3分の2を占める。
  • TOEICはリスニング・セクションとリーディング・セクションの2つのセクションに分かれており、それぞれ100問ずつ、合計200問の問題を2時間で解くテスト。10〜990点の点数で評価される。
  • リスニング・セクションは、「写真描写問題」「応答問題」「会話問題」「説明文問題」の4つのパートに分かれている。パートごとの問題形式、注意点やコツを是非参考にして頂きたい。
  • リーディング・セクションは、「短文穴埋め問題」「長文穴埋め問題」「読解問題」の3つのパートに分かれている。パートごとの問題形式、注意点やコツを是非参考にして頂きたい。
  • ETSとIIBCによると、TOEICで730点以上を取得できれば、「どんな状況でも適切なコミュニケーションができる」そうだが、実際は、730点以上取得しても簡単な商談もできない方が半数以上いる。
  • また、脳科学研究から、「聞く」「読む」という「インプット」のみの能力を測るTOEICに特化した学習は非効率だということが証明されている。
  • TOEICの点数に固執した「聞く」「読む」ことだけに特化した学習をしていると、かえってTOEICの点数は伸びない。TOEICには関係ない「話す」「書く」ことも学習に取り入れることによって、効率的にTOEICの点数も上がっていく。「話せないから仕事で使えない」という問題も解消される。
  • TOEICの点数を効率的に上げていく学習方法については順次コラムをアップしていくので是非参考にして頂きたい。
無料eBook
『英語独学完全マニュアル』
presented by The English Club
英語コミュニケーション力を
独学で効率的に習得する科学的学習法の全て(全79ページ)

英語は独学が基本です。しかし、「自分の学習方法が正しいかどうか…」不安に思っていませんか?本書は、英語の学習方法についてお悩みの皆さまに、第二言語習得研究と脳科学(神経科学)研究の知見に基づいた真に効率的な英語学習法をご紹介する解説書です。

無料eBookの主な内容

  • 単語・文法・発音の効率的な基礎力強化方法
  • インプット(読む・聞く)能力向上のための英語脳作りトレーニング法
  • アウトプット(話す・書く)能力向上のためのリハーサル・トレーニング法
  • 学習計画の立て方と効率性を上げるための学習習慣

そろそろ本気で英語を習得したいとお考えの方におすすめです。また、「英会話スクールに通っているけど思うように上達しない…」「TOEICで高得点を取ったけど話せない…」などでお悩みの皆さまも是非ご一読ください。

無料Email Newsletter
presented by The English Club
英語学習をサポートするニュースレターを配信中!
是非ご購読ください!
月曜日
「英語の名言」
火曜日
「英語の語源」
水曜日
「英語の発音」
木曜日
「ビジネス英語」
金曜日
「英語のプレゼン」
土曜日
「英語学習FAQ」
この記事が気に入ったら
「いいね!」しよう
執筆者プロフィール
小柳 恒一
  • 1999年ロンドン大学大学院ロンドン・ビジネス・スクールにてMBA取得。1997年TOEFL630点取得。2003年TOEIC990点取得。2004年米国公認会計士試験合格。2010年4月中小企業診断士登録。
  • 2000年よりリーマン・ブラザーズ等にて13年以上M&Aのアドバイザリー業務に携わる。
  • 2010年より中堅・中小企業を対象とした事業継承M&Aコンサルティング事業を開始。
  • 2013年よりThe English Clubの前身となるEnglish Tutors Network事業を開始。
英語は学習方法で決まる。
徹底して科学的根拠にこだわったThe English Clubの英語学習法は、
今までにない効率的な英語習得を目指します。

CONTACT

本気で英語を学びたい方は下記の電話番号、
お問い合わせフォームよりご連絡ください。

TOP