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公開日:
2024.05.29
更新日:
2024.06.11

英語を話せるようになるには?ペラペラになる方法を科学で解明

英語を話すためにはどうすればいいのでしょうか?TOEIC高得点でも話せない。オンライン英会話も効果がない。瞬間英作文やカランメソッドは疲れるだけ。とお悩みの方向けに、英語をペラペラと話すための科学的な方法をやさしく解説します。

【本気で英語を話せるようになりたいと思っている方向けです。】

なお、「英語を話せるようになるには?」を知るためには、英語を話せない理由を理解することも重要です。日本人が英語を話せない理由は「英語が話せるようになりたい?話せない理由の検証が対策の鍵!」で詳しく説明しています。

1. 英語を話せるようになるための【第二言語習得研究】

卒業の帽子

「人が言葉を話す」とは科学的にどういうことなのでしょうか?第二言語習得研究と脳科学(神経科学)研究から「話す」を科学します。そして科学的な視点から、日本人が英語を話せるようになるためには何が必要なのかを、英語を学習している皆さま向けにわかりやすく解説します。

1.1. 第二言語習得研究が解明する「話す」プロセス

第二言語習得研究では、「第二言語(≒外国語)は、インプット(聞く・読む)されたものを知識として定着させ、最終的にアウトプットにつなげていくプロセスを経て習得される」と考えられています。このプロセスは「認知プロセス」と呼ばれています。

「認知プロセス」を図式化すると下記になります。

理解-インテイク-統合

インプットしたものを理解して(「理解」)、それをより深く理解し体の内部に取り入れ完全に自分のものにし(「インテイク」)、無意識的かつ瞬間的に自由に使えるようにして(「統合」)、アウトプットにつなげていくということです。

上記の「認知プロセス」を単純化すると下図になります。わかりやすくするために、「理解」を「インプット」に含め、「統合」は「インテイク」に含めています。

input_intake_output

単純化すると、聞いたり読んだり(インプット)して理解した第二言語(私たちにとっての英語)を、「インテイク」を通して、話したり書いたり(アウトプット)できるようにしていくということになります。

話せるようになるためには、「インテイク」(「統合」を含む)がカギとなることがわかると思います。つまり、英語を話せるようになるためには、読んだり聞いたりして理解した英語を「より深く理解し、かつ体の内部に取り入れ完全に自分のものにし、そして無意識的かつ瞬間的に自由に使えるようにする」必要があるということです。

それでは、まずは「インプット」と「アウトプット」の脳内のプロセスを説明し、そのあとで一番重要な「インテイク」の方法について説明します。

なお、第二言語習得研究については「第二言語習得研究|徹底検証!日本の英語学習の問題点と解決策」にもその概要について説明しています。

1.2. 脳内の「インプット」のプロセスと「アウトプット」のプロセス

読んだり聞いたりした英語を理解(インプット)するためには、頭の中で下記の①と②のことを無意識的に、自動的にできるようにしなければなりません。


① 単語の発音を聞き取って、もしくは単語を読んで、その意味を理解する。
(同時に) 聞いた文、もしくは読んだ文の構文や文法構造を解析し理解する。

一方で、英語を話す(アウトプット)するためには、頭の中で下記の③から⑤のことを無意識的に、自動的にできるようにしなければなりません。


③ 適切な単語を選ぶ。
(同時に) 構文・文法に沿って組み立てる。
(同時に) 適切な発音・イントネーションを選び発話する。


ここで注意したいのは、インプットのときとアウトプットのときの脳内のプロセスは全く異なるということです。これは、英語を「聞いて理解する能力」を向上させる方法と、英語を「話す能力」を向上させる方法は全く異なるということです。英語を話せるようになるには、英語を話すための脳内プロセスを鍛える必要があるのです。

それだけではありません。英語を話すため(アウトプット)の脳内プロセスを鍛えることに加え、聞いたり読んだりして理解した英語を「インテイク」しなければなりません。

1.3.「話す」カギとなる「インテイク」する方法とは?

英語を話せるようになるには、「インプット」した英語を「インテイク」を通して「アウトプット」できるようにしていくということでした。そして「インテイク」とは下記の意味でした。

「深く理解し体の内部に取り入れ完全に自分のものにし、
無意識的かつ瞬間的に自由に使えるようにする」

重要なのは、「インテイク」は単に「理解」するだけではないということです。「インテイク」とは、「理解できる」という「知識」を、「使える」という「知識」に変えることです。「理解できる」というのは、単に「知っている」という状態で、非常に「浅い」知識です。その「浅い」知識をより「深い」知識へ変えていくことで「使える」知識に変わっていきます。

「浅い」知識を「深い」知識にする方法は、「自分で考える」ことです。つまり、「自分で考え、間違い、再度考え、ついに正確に使えるようになっていく」という試行錯誤のプロセスを繰り返すことが「インテイク」につながっていく唯一の方法です。知っている知識を使える知識にするには、自分で汗をかいて考えるしかありません。

例えば、アメリカ人の友人に「私はあなたにこの本を読むことを提案する。」とメールを送りたいと思い、自分で一生懸命考え、下記の英文を作ってみました。

I suggest you to read this book.

でも、”suggest” の使い方が不安なので辞書で調べてみたら、” suggest” は 「to不定詞」はとらないとありました。「そうか」と思い、辞書の例文を見ながら、上記の英文を下記のように直してみました。

I suggest that you should read this book.

しばらくしたら、仕事で “suggest” を使う機会があったので、以前学習したことを踏まえて “suggest” を実際に使ってみました。このような思考錯誤を通して、ようやく “suggest” という単語が「使える」知識になるのです。

では、上記のような試行錯誤のプロセスを踏まずに、「私はあなたにこの本を読むことを提案する。」という日本語をグーグル翻訳で調べて答えを見つけた場合はどうなるでしょうか。答えはすぐに見つかるでしょう。そのときは「へー」と思って勉強した気にはなるでしょう。しかし、まず間違いなく、一晩寝たら全て忘れています。

自分自身で思考錯誤する場合と何が違うのでしょうか。グーグル翻訳で調べた場合、「自分で考える」ということをやっていません。人は簡単に得られた答えは頭に定着しません。したとしても、せいぜい「知っている」知識にしかなりません。「インテイク」にはならないので「使える」知識にはならないのです。

一方で、自分で考えたことは頭に定着しやすくなり、かつ、「インテイク」となり、「使える」知識にすることができます。「使える」知識にするのは、答えが重要なのではなく、答えを得るまでのプロセスが重要なのです。

1.4.「話す」カギとなる「サイレント・ピリオド」とは?

子供とことば

子どもには「サイレントピリオド」(Silent Period)という時期があります。日本語では「沈黙期」といいます。子どもはこの「沈黙期」に「インテイク」しているのです。

子供は1歳過ぎからことばを口から発するようになりますが、実際にことばを口から発する前に、頭の中で思考錯誤しながら話す練習をしているといわれています。沈黙はしていますが、頭の中では、両親などから聞いて理解したことばを、自分でアウトプットできるようにするために一生懸命考え、話すリハーサルをやっているのです。この「沈黙期」は、「インテイク」のための思考錯誤の時期と言えるでしょう。

大人が英語を話せるようになるためにも、この「沈黙期」は必要だと言えます。インプットして理解した英語を、自分で使えるようにするには、思考錯誤しながら話すリハーサルをする必要があります。そうすることにより頭に定着しやすくなり、口から出やすくなります。

間違った英語を作ってしまうこともあるでしょう。その間違うことも「インテイク」には重要です。なぜなら、それが間違いだと自分で気づけば、それが頭に定着しやすくなるからです。思考錯誤し、間違うことで「気づき」があり、それを繰り返すことで「インテイク」が促進するのです。

オンライン英会話などで実際に話す練習をすることも「インテイク」につながるのでは?と思った方も多いと思います。しかしながら、「沈黙期」を十分に取らずに、いきなり実際に話す練習をすることはおすすめしません。

理解不能

英語で話さなければならない状況になってしまうと、人は焦ってめちゃくちゃな英語が口から出てきます。そうすると講師が修正してくれますが、自分で瞬間的に考えためちゃくちゃな英語のほうが頭に定着してしまいます。第二言語習得研究でいう「化石化」という、間違いが頭に定着し、繰り返し同じ間違いを犯してしまうという現象です。

この「化石化」を避けつつ、効率的に話せるようになるには、まずは自分自身でじっくりと正確な英文を思考錯誤する「沈黙期」が必要です。スピードは後からついてきます。

ある程度正確な英文を作れるようになるまで、そして自分である程度間違に気付けるようになるまで、実際相手と話すよりも、「沈黙期」の時間を多く確保した方が効率的です。また、相手と実際話す機会を持つ練習を始めてからも、なるべく「沈黙期」の時間を確保した方が効率的です。

脳科学者の茂木健一郎氏は、第二言語(我々にとっての英語)の習得においても、「サイレント・ピリオド(沈黙期)で潜在的に進行している変化の方が、(実際に話すことによる変化より)習得の準備という意味においては実質的である。」と指摘しています。

2. 英語を話せるようになるための【脳科学研究】

脳

「英語脳」や「英語回路」ということばを聞いたことがある人も多いと思います。英語を話せるようになるには、この「英語脳」や「英語回路」が必要なのでしょうか?脳科学(神経科学)研究と第二言語習得研究の知見からそれらが必要な理由をわかりやすく説明します。

2.1. 「英語脳」「英語回路」とは?

「英語脳」とは、英語を使うときの「英語回路」のことです。「英語回路」が備わった脳を「英語脳」といいます。実は最近の脳科学研究により、この「英語回路」が実際に存在することが証明されています。

科学雑誌『Nature』に掲載された脳科学(神経科学)の論文や、新潟大学脳研究所教授の中田氏の実験結果により、日本語を使用するときと英語を使用するときでは、脳の別の領域が活動するという研究結果が発表されているのです。

つまり、日本語と英語の両方を流暢にペラペラと話せる人は、日本語のときは「日本語回路」、英語のときは「英語回路」を使って話していることがわかっているということなのです。

それでは、なぜ「回路」が別々なのでしょうか?そして、私たち日本人が英語を話せるようになるには、「英語回路」を作らなければならないのでしょうか?

なお、このコラムでは、英語を「話す」ときの「英語回路」についてのみ説明します。英語を「理解」する「英語回路」については、「英語脳|英語の思考回路とバイリンガル脳が必要な理由と作り方」をご参照ください。

2.2. 日本語を英語に訳しながら話せますか?

翻訳

「日本語回路」で英語を話すというのは、常に頭の中で日本語を英語に訳しながら英語を話すということです。英語を話すことが苦手な日本人のほとんどがやっていることだと思います。

しかし、このように「日本語回路」で英語を話そうとすると、必ず次のような問題が起こります。


問題①:訳すのに時間がかかり、スムースなコミュニケーションができない。
問題②:途中で「○○って英語でなんていうんだっけ?」でつまってしまう。


なぜこのような問題が起こるのか考えてみましょう。

上記2つの問題が起こる理由は、日本語と英語が全く異なる言語だからです。類似しているところは全くないといっても過言ではありません。言語というのは、基本の3要素である単語と文法(語順)と発音で成り立っていますが、それら3つが根本から全く異なります。それはそれぞれの言語の発生源が全く異なるからです。

特に語順が一番の問題です。中学のときに英語を日本語にするために、後ろから戻り訳すことを教えてもらいました。なぜ、後ろから戻り訳すのでしょうか?それは、後ろから戻り訳すと自然な日本語になるからです。

なぜ、英文を後ろから戻り訳すと自然な日本語になるかというと、日本語と英語とでは、全く同じことをいう場合でも、単語の並べ方(語順)が全く逆だからです。単語の並べ方が全く逆ということは、「思考の順番」が逆だということです。

これらのことが、頭の中で日本語を英語に訳しながらペラペラと話すことを非常に難しくしているのです。

2.3. 日本語を英語に訳しながら話すと理解してもらえない?

頭の中で日本語を英語に訳しながら話す場合、上記の2つ問題に加え、下記のような3つ目の問題もあります。

問題③:苦労して日本語から訳した英語を相手が理解してくれない。


この問題が起こる理由は二つあります。一つ目の理由は、日本語を英語に直訳すると、たとえ単語と文法が間違っていなかったとしても、ネイティブには理解できない不自然な英文になりがちだからです。

そしてもう一つの理由は、日本語と英語の「論理展開」が全く逆だからです。日本語は「起承転結」のように「説明 → 結論」の論理展開が普通です。しかし、英語では「結論 → 説明」で話さないと理解してもらえません。

たとえば、仕事の会議で自分の意見をいうときに、英語で「説明 → 結論」の論理展開で話すと、最後の結論を言う前にネイティブに割り込まれるでしょう。英語では「説明 → 結論」の論理展開は非論理的なので、ネイティブは我慢して聞いてくれません。

日本語の論理展開のまま、日本語を英語に訳して話していると、理解してもらえないばかりか、最悪の場合は頭が悪いと思われ、コミュニケーションが取れないばかりか、人間関係にも影響を及ぼす可能性もあります。

2.4. 英語を話せるようになるには「英語回路」が必要な理由

「日本語回路」で英語を話すには、つまり、頭の中で日本語を英語に訳しながら話すには、瞬間的に頭の中で下記のことをしなければなりません。

日本語の単語を英語の単語に瞬時に訳し、思考の順番を逆にして単語を英語の語順に瞬時に並べ替え、ネイティブが理解できる英文かどうかを瞬時に確認し、かつ、論理展開を瞬時に変えて、さらに、日本語にはない発音がいっぱいある英語の発音で話す。

上記のことを常に瞬時に頭の中で行いながら英語をペラペラと話し続けることは可能でしょうか?いいえ、不可能です。つまり、「日本語回路」で英語を話すことは不可能だということです。英語を話せるようになるには「英語回路」が必要不可欠なのです。

私たち日本人が、英語を流暢に話せるようになるには、英語回路を獲得し、その中で英語を使えるようにすることが必須です。その英語回路は日本語回路とは独立しているので、英語を使うときには日本語を介入させません(訳す必要はありません)。そして、英語回路には英語の思考回路や論理展開もデフォルトで備わっています(変換する必要はありません)。

なお、英語脳の作り方の詳細については「英語脳|英語の思考回路とバイリンガル脳が必要な理由と作り方」に書いています。

英語脳を強化するための具体的なトレーニング方法は「英語脳の作り方|8つの自動化トレーニングで英語回路を構築する」に書いています。

3. 英語を話せるようになるための【学習プロセス】

チェックリスト

英語を話せるようになるには、「インテイク」が重要なことがわかりました。そして、「英語回路」を獲得することが必要なこともわかりました。しかしながら、いきなり「インテイク」や「英語回路」を目指した学習を始めても効率的ではありません。

効率的に英語を話せるようになるには、学習のプロセスが重要です。「基本から応用へ」や「森を見てから枝葉を見る」などの効率的な学習の基本中の基本に加え、新しい第二言語(≒ 外国語)(私たちにとっての英語)を効率的に習得するための学習プロセスを紹介します。

英語独学の3ステップ

第二言語習得研究と脳科学研究の知見から導き出される最も効率的な英語学習プロセスは、①「基礎力強化」、②「英語脳作り」、③「実践力強化」 の3つのステップから構成されます。ここでは、「英語を話す」ことを中心に解説します。

3.1. 学習プロセス|ステップ ①「基礎力強化」

トレーニングしている人

新しい言語を話せるようになるには、まずは「単語」を覚えなければ何も始まりません。しかし、単語を覚えたところで、それを「文法」通りに並べられなければ、自分の言いたいことを正確に表現できるようになりません。文字で表現できても、それを「音」で表現できなければ英語を話せるようにはなりません。

つまり、英語を話せるようになるには、「単語」を覚えて、その並べ方(「文法」)と「発音」の方法を覚え、使えるようにすることです。言語を構成する基本要素は、「単語」「文法」「発音」の3つしかありません。まずはこの3つの基礎的な知識を習得することから始めます。

単語の学習は、まずは英単語の日本語訳を覚えるところから始めます。しかしながら、英単語を日本語で理解している限り使えるようにはなりません。最終的には、英語のネイティブスピーカーが持つ、その単語のニュアンスを獲得していくことが目標となります。それが「インテイク」になり、その単語を「使える」状態へとつながっていきます。

文法の学習は、まずは日本語との違いを意識しながら「理解」することから始めます。そして、思考錯誤を繰り返しながら「インテイク」することで「使える」状態にしていきます。

発音の学習は、まずは音源を真似るところから始めます。そして、うまく真似ることができないところは、口の動かし方や英語独特のリズムや音声変化を意識しながら繰り返し練習することで「インテイク」し、無意識的に発音できるところまで持っていきます。

3.2. 学習プロセス|ステップ ②「英語脳作り」

英語脳を持った人

「単語」「文法」「発音」の知識を覚えるだけでは、英語を話せるようにはなりません。それら3つを組み合わせて無限の文章を無意識的・自動的に、瞬時に作れるようにする必要があります。そのために、アウトプットの「脳内プロセス」を鍛え、そしてアウトプットの「英語回路(英語脳)」を作ります。

「アウトプット」の英語回路を作るトレーニングを始める前に、「インプット」の脳内プロセスを鍛え、「インプット」の英語回路を作るトレーニングを始めた方が効率的です。ある程度「インプット」の英語回路の強化が進んだ段階で、徐々に「アウトプット」の英語回路を作るトレーニングも同時並行的にいきましょう。

インプットの英語回路を強化する目的は、日本語を介入させることなく英語を英語のまま理解できるようにすることです。それに加えて、英語の語順で前から理解できるようにすることです。そして、アウトプットの英語回路を強化する目的は、自分の表現したいこと(言いたいこと)を、頭の中で日本語から英語に訳す作業をすることなく、直接英語で表現できる(言える)ようにすることです。

これらの目的を達成するためには、まずは中学・高校でやらされた「後ろから戻り訳して」理解することから脱却しなければなりません。そして、話せるようになるには、日本の英語教育で重視されている「訳す」ことそのものから脱却しなければなりません。

3.3. 学習プロセス|ステップ ③「実践力強化」

シミュレーションする人

英語を流暢に話せるようになるには、2つのトレーニングをしなければなりません。

1つ目は、基礎知識を「インテイク」し、かつ「アウトプットの英語回路」を強化することで「インテイク」した知識を自動的に使えるようにするトレーニングです。つまり、言語の3つの基本要素を組み合わせて無限の文章を作れるようにするためのトレーニングです。頭の中で英文を作る能力を磨き上げると同時に、自分の言いたいことを簡略化する能力も向上させます。

私たち日本人は、日本語では複雑なことでも表現できます。しかし英語では、その複雑なことをシンプルに表現できるようにすることも重要です。このような自分の言いたいことを簡略化する能力は、英語を流暢に話せるようになるためには必要不可欠な能力といっていいでしょう。

2つ目は、よく使用される表現や言い回しを覚えて使えるようにするトレーニングです。話すたびに英語の文章を最初から作ることは現実的ではありません。頻繁に使えわれるフレーズを覚えて使えるようにすることは、省エネにもなりますし、間違いも少なくなります。また、単語と文法が正しくてもネイティブにとって不自然な英語を作ってしまうリスクも避けられます。単語を変えれば色々使い回しがきく便利な言い回しも頭に蓄積しておくと、英語を話すときの流暢性も更に向上するでしょう。

しかし注意が必要です。このようなよく使う定型表現や言い回しだけ覚えても、自分の言いたいことを自由に言えるようにはなりません。英語を話せるようになるには、あくまで1つ目のトレーニングを通して、単語・文法・発音を組み合わせて無限の文章を作れるようになることです。定型表現などを覚えることは、あくまで補足的な学習だと思ってください。

なお、英語を効率的に習得するための学習プロセスについては「英語は独学!科学的知見に基づく超効率的おすすめ学習法と教材」で詳細を書いています。

また、無料eBook『英語独学完全マニュアル』では、学習プロセスに加えて学習方法の詳細も説明していますのでダウンロードしてみてください。

4. 英語を話せるようになるための【必要学習時間】

スケジュール

英語が話せるようになるには時間がかかります。それは、基礎知識を「インテイク」し、英語を話すときの「脳内プロセス」とアウトプットの「英語回路」を強化する必要があるからです。それではどうしても年単位の時間が必要です。

ゼロから英語を習得するには最低3000時間の勉強が必要です。これは The English Club が、アメリカ国務省の外交官養成局の資料や、The English Club の日本人英語講師20名のアンケート、中学・高校での英語教育方法や学習時間等情報を分析して出した結論です。

新入社員の英語学習時間シミュレーション

上図は大学新卒者が仕事で使える英語力(ここではTOEIC900点+自分の言いたいことを自由に表現できる英語力としています)を獲得するまでに必要な学習時間を説明しています。

大学卒業までの英語学習時間は、授業と自主学習を含めて1,500〜1,800時間。目標の「仕事で使える英語力」までは1,200〜1,500時間の学習時間が必要となります。

大学新卒者(上場企業)のTOEICの平均点は560点くらいです。TOEIC560点をTOEIC900点+自分の言いたいことを自由に表現できる英語力まで引き上げるには1,200〜1,500時間必要だということです。ご自身の場合に当てはめて、必要な学習時間について考えてみることをお勧めします。

1日1時間勉強しても1年で365時間にしかなりません。1日1時間半勉強すれば2年で1,000時間確保できます。これから英語の学習を始める方は、この程度の学習時間を確保する必要があることを覚悟していただければと思います。

なお、英語を習得するための必要学習時間については「英語習得には最低3000時間!達成するための11のコツと学習習慣」で詳細を書いています。

5. 英語を話せるようになるための【注意点!】

重要な点

英語を話せるようにならない理由を理解することは、話せるようになる近道にもなります。ここではポイントを解説します。

なお、「TOEIC」「オンライン英会話」「日本の英語教育」「瞬間英作文」では話せるようにならない理由については「英語が話せるようになりたい?話せない理由の検証が対策の鍵!」で詳しく書いています。

5.1. TOEICでは話せるようにならない!

悪い点

TOEIC(Listening & Reading)(以下「TOEIC」)は、英語の音声と文字をどれくらい「理解」できるかを判定するテストです。TOEICの点数を上げることだけを目標として勉強していると、「理解」はできるようになりますが、「話せる」ようにはなりません。

英語を「聞く」ことと「読む」ことだけをやっていても、「理解」できるという浅い知識が身に付くだけで、「インテイク」にはならないので「使える」ようにはなりません。また、「インプットの脳内プロセス」は鍛えることはできますが、「アウトプットの脳内プロセス」は鍛えることができないので、「インプットの英語回路」は強化できますが、「アウトプットの英語回路」は強化できません。結果、絶対にペラペラと話せるようにはなりません。残念!

5.2. オンライン英会話では話せるようにならない!

悪い点

オンライン英会話では、英語を入れずに出そうとしても話せるようになるはずがありません。講師から直してもらった英語はすぐに忘れてしまい、自分でとっさに考えたハチャメチャな英語が身に付いてしまいます。何年続けても効果が出ない人が多いのは事実です。

インプットの量が不足しがちになるので「インテイク」する機会も十分ではなくなります。講師と話すことによって「アウトプットの脳内プロセス」はある程度鍛えることができるかもしれませんが、自分で思考錯誤する機会がないので「インテイク」にはなりません。思考錯誤しないで瞬間的に自分で苦労して作ったメチャクチャな英語が「化石化」(インテイク)するので、いつまでたっても自分の言いたいことが正確に伝えることができません。結果、ペラペラと話せるようにはなりません。残念!

5.3. 日本の英語教育では話せるようにならない!

悪い点

日本の学校教育が採用している「文法訳読方式」の英語教育では絶対に英語を話せるようにはなりません。大学受験の英語が「文法訳読方式」をベースとしている限り、小学校から高校の英語教育を多少改革しても日本人は英語を話せるようにはなりません。

「文法訳読方式」は、文字を日本語に訳して理解することだけを重視しているので「インテイク」まで到達しませんし、そもそも「英語脳」を作ることを目標としていません。音声言語(発音)を全く無視しているので、音声の英語を理解するためのインプットの脳内プロセスも強化できません。英語を使う・話すということも完全に無視しているのでアウトプットの脳内プロセスも強化できません。結果、絶対にペラペラと話せるようにはなりません。残念!

5.4. 瞬間英作文では話せるようにならない!

悪い点

瞬間英作文は、日本の使えない英語教育の延長なので話せるようにはなりません。頭の中で日本語から英語に訳して話そうとしている限り、英語を流暢に話せるようにはなりません。日本の使えない英語教育と同じ間違いを犯さないようにしましょう。

頭の中で日本語を英語に訳して英語を話すということは、日本語の回路で英語を使うということです。いちいち頭の中で「訳す」ことをやっていたらスムースな会話はできるはずがありません。瞬間英作文は、訳して理解する「文法訳読方式」に飼い慣らされた日本人が編み出した、日本人を更に英語を話せなくする練習方法です。信じられない人は、英語を本当に流暢に話せる人に聞いてみてください。「英語を話すとき、頭の中で日本語を英語に訳していますか?」と。

5.5. カラン・メソッドでは話せるようにならない!

悪い点

カラン・メソッドは、スピード重視なのでハチャメチャな英語を作ってしまう可能性が高くなります。講師が教えてくれるフレーズはすぐに忘れ、自分で苦労して作ったメチャクチャな英語が「化石化」するので、いつまでたっても自分の言いたいことが正確に伝えられるようにはなりません。

カラン・メソッドとは、瞬発的に英文を口から出す練習です。講師の英語の質問に瞬発的に英語で答える練習です。つまったり、間違ったら講師がすぐに正解のフレーズを教えてくれます。

これも、インプットの量が不足しがちになるので「インテイク」する機会も十分ではなくなります。アウトプットの脳内プロセスはある程度強化できますが、思考錯誤しないので「インテイク」になりません。講師が教えてくれる正解のフレーズを覚えることが重要なのではありません。自分で英文を思考錯誤しながら作れるようにすることが重要なのです。それをやっていないので、「話せる」効果は非常に限定的になります。残念!

5.6. 通訳の勉強法では話せるようにならない!

悪い点

通訳になるための学習方法と、英語でコミュニケーションを取れるようにする学習方法は全く異なります。ちまたに溢れている通訳の方がすすめている英語学習法は、英語を使えるようになりたいだけの方には非効率になる可能性が高いので注意が必要です。

英語を流暢に話せるようになるには、英語を話すときには頭から日本語を排除しなければなりません。いちいち頭の中で日本語から英語に訳していたら流暢に会話はできるはずがないからです。しかし、通訳者は常に日本語と英語とを行ったり来たりする必要があります。つまり、通訳の頭の使い方は非常に特殊だということです。英語を話せるようになりたい方全員が、この特殊な頭の使い方をできるようにする必要はありません。英語も日本語も両方流暢に話せる人に、通訳が苦手な方が多いという事実がその証明になります。

なお、通訳の勉強法では話せるようにならない理由は別途コラム(準備中)で詳しく書いています。

また、英語を話せるようになるための具体的なトレーニング方法については、Amazon Kindle版『英会話の科学的上達法』にまとめてありますので興味のある方はご購入ください。

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そろそろ本気で英語を習得したいとお考えの方におすすめです。また、「英会話スクールに通っているけど思うように上達しない…」「TOEICで高得点を取ったけど話せない…」などでお悩みの皆さまも是非ご一読ください。

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執筆者プロフィール
小柳 恒一
  • 1999年ロンドン大学大学院ロンドン・ビジネス・スクールにてMBA取得。1997年TOEFL630点取得。2003年TOEIC990点取得。2004年米国公認会計士試験合格。2010年4月中小企業診断士登録。
  • 2000年よりリーマン・ブラザーズ等にて13年以上M&Aのアドバイザリー業務に携わる。
  • 2010年より中堅・中小企業を対象とした事業継承M&Aコンサルティング事業を開始。
  • 2013年よりThe English Clubの前身となるEnglish Tutors Network事業を開始。
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