英語の「一人称」を説明する。「二人称」と「三人称」もついでに理解しておこう。単純明快かつ、一目瞭然の表も理解の助けになるだろう。
一人称・二人称・三人称の代名詞のことを「人称代名詞」と呼ぶ。人称代名詞には、その働きにより「主格」「所有格」「目的格」の3つの種類がある。その他にも「所有代名詞」と「再帰代名詞」についても説明する。
文法は理解するだけでは宝の持ち腐れ。それらの使いこなし方も紹介する。更に、文法用語をしっかりと理解したい方向けに、「人称とは?」「代名詞とは?」「目的語とは?」など、「*」がついている用語を掘り下げて解説する。
さあ、始めようか!
目次
1. 英語の「一人称」とは?
1.1. 「一人称」は「I」と「We」
「一人称」とは、「自分」(話し手)のことだ。英語の「I」と「We」を「一人称」と呼ぶ。「I」(私)は一人称の「単数形」、「We」(私たち)は「複数形」である。
なお「人称*」には、「一人称」の他に「二人称」と「三人称」がある。それらについては下記「2. 英語の「二人称」とは?」と「3. 英語の「三人称」とは?」で説明する。
1.2. 「一人称」の「人称代名詞」
一人称の「代名詞*」は、その働きにより「主格」「所有格」「目的格」の3種類に分けられる。
- 主格:文の主語として使われる代名詞(一人称は「I」と「We」のみ)
- 所有格:名詞の前について、「だれだれの〜」という所有を表す代名詞(一人称は「my」と「our」のみ)
- 目的格:「だれだれを」「だれだれに」のように「目的語*」として使われる代名詞(一人称は「me」と「us」のみ)
「一人称」の「代名詞」は以下のように整理される。なお、これら「人を表す代名詞」のことを「人称代名詞*」と呼ぶ。
1.3. 「一人称」の「所有代名詞」
「一人称」の「所有代名詞」は「mine」(私のもの)と「ours」(私たちのもの)の2つ。
「一人称」の「人称代名詞」の「所有格」である「my」(私の)および「our」(私たちの)は、後ろに名詞をおかなければならないが、「所有代名詞」は単独で使うことができる。
人称代名詞の所有格と所有代名詞の違いは以下の通り。
Is this your car? (これはあなたの車ですか?)
–(答え) Yes, this is my car. (はい、これは私の車です。) (「my」は「人称代名詞」の「所有格」)
–(答え) Yes, this is mine. (はい、これは私のものです。) (「mine」は「所有代名詞」)
1.4. 「一人称」の「再帰代名詞」
「一人称」の「再帰代名詞*」は「myself」(私自身)と「ourselves」(私たち自身)の2つ。
「再帰代名詞」は下記の2つの使われ方がある。
- 目的語*として使われる場合:
I looked at myself in the mirror. (私は鏡の中の私自身を見た。) - 強調するときに使われる場合:
I will do it myself. (私が私自身でそれをやります。)
2. 英語の「二人称」とは?
2.1. 「二人称」は「you」
「二人称」とは、「相手」(聞き手)のことだ。英語の「you」を「二人称」と呼ぶ。二人称の「you」は、「単数形」(あなた)も「複数形」(あなたたち)も「you」のまま形は変わらない。
2.2. 「二人称」の「人称代名詞」「所有代名詞」「再帰代名詞」
「二人称」の「人称代名詞」「所有代名詞」「再帰代名詞」は以下の通り。
二人称については、人称代名詞の主格、所有格、目的格のすべてと所有代名詞について、単数形と複数形とが同じ形になることに注意して頂きたい。
3. 英語の「三人称」とは?
3.1. 「三人称」は「I」と「you」以外の全て
「三人称」とは、「自分」(話し手)と「相手」(聞き手)以外の全てだ。英語では「he」「she」「it」「Taro」「My cat」「they」「Taro and Hanako」「those books」など、人だけではなく、「物」や「事」もすべて「三人称」である。
3.2. 「三人称」の「人称代名詞」「所有代名詞」「再帰代名詞」
「三人称」の「人称代名詞」「所有代名詞」「再帰代名詞」は以下の通り。
人称代名詞の「it」の所有格「its」は「it’s」ではない。「it’s」は「it is」の省略形なので注意して頂きたい。また、「it」の所有代名詞は存在しないことも注意して頂きたい。
なお、「三人称」については、別途コラムで詳細に説明するので参考にして頂きたい。
4. 英語の「人称代名詞」「所有代名詞」「再帰代名詞」の使い方
英語の「人称代名詞」「所有代名詞」「再帰代名詞」について、ネイティブ・スピーカーの使い方を紹介する。ビジネスでよく使用される定型表現ばかりなので、明日から早速使って頂きたい。
それぞれの例文には、是非一緒に学んで頂きたい文法項目を取り上げている。詳細を知りたい場合は、リンクをクリックすればそのコラムに移動する。また、文型も記載しているので参考にして頂きたい。
4.1. 人称代名詞の使い方
4.1.1. 主格
人称代名詞の主格(主語として使われる人称代名詞)の例文を紹介する。
一人称:
- (単数) I work for Google. (第1文型/現在形)
(訳: 私はグーグルで働いています。) - (複数) We are working on a project in Germany. (第1文型/現在進行形)
(訳: 私たちはドイツのプロジェクトに従事している。)
二人称:
- (単数) You will be a good manager. (第2文型/未来)
(訳: あなたはよいマネージャーになるでしょう。) - (複数) Are you visiting the client today? (第3文型/未来)
(訳: あなたたち(あなた)は、今日その顧客を訪問しますか?)
三人称:
- (単数) He is going to show you our products. (第4文型/未来)
(訳: 彼は我々の製品をあなたに見せる予定です。) - (単数) She is going to make the client happy. (第5文型/未来)
(訳: 彼女はクライアントをハッピーにするでしょう。) - (単数) What time is your train? – It leaves at 10 am. (第1文型/未来)
(訳: あなたの電車は何時ですか? – それは午前10時に出発します。) - (複数) They have become good leaders. (第2文型/現在完了)
(訳: 彼ら/彼女らはよいリーダーになった。)
4.1.2. 所有格
人称代名詞の所有格(「だれだれの〜」を意味する人称代名詞)の例文を紹介する。
一人称:
- (単数) This is my colleague who works at our London office. (第1文型/関係代名詞)
(訳: この方は、弊社のロンドン事務所で働いている私の同僚です。) - (複数) Our products are better than competitors’. (第2文型/比較級)
(訳: 我々の製品は競合他社のものより良いです。)
二人称:
- (単数) Your opinion was the most helpful to us. (第2文型/最上級)
(訳: あなたの意見は我々にとって一番役に立った。) - (複数) Your cooperation would be highly appreciated. (第2文型/受け身)
(訳: あなたたちの(あなたの)協力は大変ありがたいです。)
三人称:
- (単数) His/Her cellphone needs charging. (第3文型/動名詞)
(訳: 彼/彼女の携帯電話は充電が必要です。) - (単数) The computer looks as if its battery died. (第1文型/仮定法)
(訳: このコンピュータは、そのバッテリーが切れたかのように見える。) - (複数) Pointing out the sample, he explained their products. (第3文型/分詞構文)
(訳: サンプルを指し示しながら、彼は彼らの製品について説明した。)
4.1.3. 目的格
人称代名詞の目的格(「だれだれを」「だれだれに」を意味する人称代名詞)の例文を紹介する。
一人称:
- (単数) Will you do me a favor? (第4文型/助動詞)
(訳: お願いを聞いてくれませんか?) - (複数) Can you show us the way to your office? (第4文型/助動詞)
(訳: 我々にあなたの事務所までの道を教えてくれませんか。)
二人称:
- (単数) Shall I help you? (第3文型/助動詞)
(訳: お手伝いしましょうか?) - (複数) We would like to invite you to the conference. (第3文型/助動詞)
(訳: 我々はあなたたちを(あなたを)会議に招待したいです。)
三人称:
- (単数) You mustn’t forget to call him today. (第3文型/助動詞)
(訳: あなたは今日彼に電話することを忘れてはいけません。) - (単数) Do I have to report to her every day? (第1文型/助動詞)
(訳: 私は毎日彼女に報告しなければなりませんか?) - (単数) You should give it a try. (第4文型/助動詞)
(訳: あなたはそれを試してみるべきだ。) - (複数) May I invite them to the party? (第3文型/助動詞)
(訳: 私は彼らをパーティに招待してもいいですか?)
4.2. 所有代名詞の使い方
「〜のもの」を意味する所有代名詞の例文を紹介する。
- Is this book yours or mine? – It’s hers. (第2文型)
(この本はあなたのものですか、私のものですか? – それは彼女のものです。) - We are meeting a friend of ours tomorrow. (第3文型)
(私たちは明日私たちの友達と会います。) - I don’t have a car, so he lent me his. (第4文型)
(私は車を持っていません。だから彼が私に彼のものを貸してくれました。) - We will follow this plan of theirs. (第3文型)
(私たちは、この彼らのプランに従います。)
4.3. 再帰代名詞の使い方
再帰代名詞の「目的語」として使用される場合と、「強調」として使用される場合の例文を紹介する。
- I enjoyed myself. (目的語)(第3文型)
(私は楽しみました。) - I visited the client by myself. (目的語)(第3文型)
(私は私一人でクライアントを訪問しました。) - Let’s fix the computer ourselves. (強調)(命令形)
(私たち自身でコンピュータを直しましょう。) - Please help yourselves. (目的語)(命令形)
(ご自由にお取りください。) - You have to do it yourself. (強調)(第3文型)
(あなたはあなた自身でそれをやらなければなりません。) - He/She introduced himself/herself to the other guests. (目的語)(第3文型)
(彼/彼女は他の招待客に彼/彼女自身を紹介した。) - The presentation itself wasn’t so bad, but it was too long. (強調)(第2文型)
(プレゼン自体は悪くなかったが、長すぎた。) - They don’t know what they should do themselves. (強調)(第3文型)
(彼らは、彼ら自身でも何をすべきかわからなかった。)
5. 「そうだったのか!?」の英文法用語解説
上記の説明の中で出てきた文法用語のうち、「*」のついたものについて説明する。
5.1. 「人称」とは?
「人称」とは「人の称号」のことであり、「話し手」(一人称)と「聞き手」(二人称)と「話し手と聞き手以外」(三人称)という役割を区別するための文法用語だ。「一」「二」「三」は人数を表しているのではなく、ただの番号である。
5.2. 「代名詞」とは?
「代名詞」とは「名詞」の「代わり」となる語(「代わりの名詞」)のことだ。
例えば、あなたの会社が携帯電話を売っているとして、それを表現する場合、「We sell cell phones.」(私たちは携帯電話を売っています。)という。「We」は、あなたの会社で働く全ての従業員、もしくは会社を表す「代わりの名詞」だ。このような「代わりの名詞」を「代名詞」と呼ぶ。
なお、英語の「代名詞」については、別途コラムで詳細に説明するので参考にして頂きたい。
5.3. 「人称代名詞」とは?
「人称代名詞」とは、「人の代わりを表す名詞」を意味する。しかし、実は「人称代名詞」は、「人」だけを表す代名詞ではない。
三人称は、話し手(一人称)と聞き手(二人称)以外の、話に上がってくる人・物・名詞で表せる出来事などの語句を指す。三人称の人称代名詞には「it」が含まれるが、「it」は通常、人の代名詞ではない。「人称代名詞」といえども、「人」だけではなく「物」や「事」の代わりを表すことがある。
5.4. 「目的語」とは?
動詞の後で「〜を」「〜に」などの表すときの「〜」を、動詞の「目的語」という。例えば下記の例文では、「baseball」のことを、動詞「play」の「目的語」という。
I play baseball. (私は野球をします。)
前置詞の後にくる名詞を、前置詞の「目的語」という。例えば下記の例文では、「desk」のことを、前置詞「on」の「目的語」という。
There is a book on the desk. (机の上に本があります。)
なお、英語の「目的語」については、別途コラムで詳細に説明するので参考にして頂きたい。
6. まとめ
- 「一人称」とは、「自分」(話し手)のこと。英語の「I」と「We」を「一人称」と呼ぶ。「I」(私)は一人称の「単数形」、「We」(私たち)は「複数形」だ。
- 「人称代名詞」は、その働きにより「主格」「所有格」「目的格」の3種類に分けられる。主格は、文の主語として使われる。所有格は、名詞の前について「だれだれの〜」という所有を表す。目的格は、「だれだれを」「だれだれに」のように「目的語」として使われる。
- 「二人称」とは、「相手」(聞き手)のこと。英語の「you」を「二人称」と呼ぶ。二人称の「you」は、「単数形」(あなた)も「複数形」(あなたたち)も「you」のまま。
- 「三人称」とは、「自分」(話し手)と「相手」(聞き手)以外の全て。人だけではなく、「物」や「事」もすべて「三人称」だ。
- 「人称代名詞」の他に、「〜のもの」を意味する「所有代名詞」と、「〜自身」を意味する「再帰代名詞」がある。
- 一人称・二人称・三人称の代名詞をまとめたのが以下の表だ。
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