TOEIC(トイック)のリーディグ・セクションでは「時間配分」が非常に重要だ。同じ英語力でも「時間配分」によって点数が大きく変動する。
また、「時間配分」を考えることにより、TOEICのリーディングで満点を取るために必要な英語能力や勉強法、そして対策やコツが見えてくる。
TOEICのリーディングで満点を取ることは決して難しいことではない。「時間配分」から見えてくる最重要課題は「基礎知識の強化」「英語脳の構築」「受験テクニックの習得」の3つだ。
このコラムは、TOEICリーディング満点への最速到達方法をご紹介することが目的だ。さあ、始めようか!
目次
1. はじめに|TOEIC学習をしている皆様へ
TOEIC(L/R)に固執した英語学習は「話せない」という大きな壁を作る。
一方で、とにかく早急にTOEICの点数を上げなければならない方々も多い。
「TOEIC高得点でも話せない」を避けるためにはどうすればよいのか?
答えは「4技能」を同時に向上させていくこと。
なぜなら、脳科学研究から、インプット(聞く・読む)のみを繰り返すよりも、アウトプット(話す・書く)を取り入れた方が学習効率が飛躍的に向上すると言われているからだ。
このコラムでは、「時間配分」とそこから見えてくる対策に加え、TOEICリーディングで効率的に満点を取るために、アウトプット(話す・書く)トレーニングを取り入れる勉強法もご紹介する。
2. TOEICリーディング対策|目標とする時間配分
TOEICのリーディング・セクションの特徴は、とにかく「時間がない」ということだ。時間を制するものはリーディングを制するといっていい。
TOEICのリーディング・セクションの理想の時間配分について、The English Clubが出した結論は以下の通りだ。これは、あくまで「満点を取るため」の時間配分である。
Part 5と 6については、高い正答率を保ちながら、それぞれ7.5分と8分で終わらせるのは、多くの方にとって大変厳しいと思う。しかし、この時間配分を最終的な目標にして頂きたい。
3. TOEICリーディング対策|Part 5〜7の特徴と対策
上記で提案した時間配分の根拠を、それぞれのPartの問題の特徴を指摘しながら解説する。そして、この時間配分を実現するために必要となる能力も説明する。
なお、それぞれのPartの例題は「TOEIC試験とは|初心者が知るべき基礎知識!内容・コツ・注意点」に掲載しているので参考にして頂きたい。
3.1. Part 5(短文穴埋め問題)|1問15秒が目標!
Part 5の特徴
Part 5の「短文穴埋め問題」は知識を問う問題だ。知識を問う問題は、「知っているか、知らないか」で勝敗が決まる。知らなければ時間をかけて考えたところで、わからないものはわからない。つまり、時間をかけても無駄だということだ。
Part 5は大きく分けて次の3つのタイプの問題がある。
- 文法知識を問う問題
- 内容理解(単語の意味)の問題
- 文法知識と内容理解の複合問題
文法知識を問う問題は、まさに「知識」を問う問題だ。問われている文法知識がなければ、問題の英文を何度も読んでも答えが出てくるはずがない。そのような場合は時間をかけずに次の問題に移ったほうがいい。
一方で、内容理解(単語の意味)の問題は、時間をかけて考えれば理解できる可能性がある。しかし、Part 5の英文は短文だ。短文のため、前後の関係から、問われている単語の意味を推測することが難しくなる。したがって、内容理解の問題でも、あまり時間をかけるべきではない。
知識を問う問題は1問15秒も必要ない場合も多いが、内容理解の問題は1問15秒以上かかる場合もあるだろう。平均で1問15秒を目指して頂きたい。
Part 5で問われる能力
Part 5で必要となる重要な能力は、単語と文法の「基礎知識」と「精読力」だ。まずは基礎知識を強化しないと何も始まらない。一方で、ここでは速読力はあまり関係ない。短い文(センテンス)が一つしかないからだ。その代わりに、英文を一回読んで正確に理解できる能力(精読力)が重要となる。
速読の重要性を解く人は多くいるが、実は速読よりも、一回読んで理解できる精読力の方が重要な場合が多い。なぜなら、中途半端に理解しながら速読して、理解できずに結局何度も読み返すよりも、若干遅くても一回読んだだけで正確に理解できた方が結局は時間がかからないからだ。短文を扱うPart 5は特に精読力が問われる。
3.2. Part 6(長文穴埋め問題)|1つの設問(4問)2分が目標!
Part 6の特徴
Part 6の「長文穴埋め問題」は知識と読解力を問う問題だ。知識を問う「知っているか、知らないか」で勝敗が決まる問題と、時間をかければかけるだけ正答率が上がる読解力の問題の両方が入り混ざっている。
知識を問う問題とは、Part 5と同じく、文法問題である。文法問題は、穴が空いているセンテンスだけを読めば解答できるが、問われている文法知識がなければ、いくら時間をかけて考えてもわからないことはわからない。
一方で、読解力を問う問題は、穴が空いているセンテンスだけを読んでも解答できない問題が多い。設問の文章を全部読む必要があるのだ。このような問題は、時間をかけて文章を何度も読めば正答を選べる可能性が高くなる。
文法問題の場合は、あきらめがつきやすいが、読解タイプの問題は、どの時点であきらめるかがポイントとなる。1つの設問を2分で終わらせることを最終的な目標として、あきらめるタイミングを決めて頂きたい。
Part 6で問われる能力
Part 6で必要となる重要な能力も「精読力」だ(単語と文法の基礎知識は当たり前)。
文法問題については、穴が空いているセンテンスだけを読めば解答できるので、Part 5の文法問題と全く同じと考えてよい。
一方で、読解力を問う穴埋め問題は注意が必要だ。文章全体の意味と流れが理解できていないと正答を選べない問題も多い。穴が空いている前後だけを読むだけでは正答率が極端に下がる。または、結局最初からもう一度読むことになり時間のロスにつながる。
つまり、Part 6の問題は、最初からじっくりと内容を理解しながら読みつつ、順番に穴を埋めていかなければならない。しかし時間がない。そこで「精読力」が重要になるのだ。繰り返し読むことは時間の浪費につながる。可能な限り一回で理解し、解答していけるようにしたい。
3.3. Part 7(読解問題)|1時間を費やすことが目標!
Part 7の特徴
Part 7は時間をかければかけるだけ正答率が上がるタイプの問題だ。そして、他のPartに比べて圧倒的に問題数が多い。そのため、このPart 7にどれだけ多くの時間を残せるかが、満点を取れるかどうかの重要なポイントとなる。
Part 7の問題の解き方はPart 5や6と全く異なる。Part 7はとにかく英語の量が多い。しかし、Part 5や6と違って、全ての英語を最初から読む必要はない。どんなに英語力が高い人でも、全部を読んでいたら全問題を解くことが不可能だろう。
Part 7は最初に問題を読み、その答えを探しながら英語を読むことになる。Part 5と6が目標通りの時間で終わらせることができ、Part 7に60分の時間を割くことができたとしても、時間がないことに変わりはない。どれだけ素早く答えを見つけられるかがポイントとなる。
Part 7で問われる能力
Part 7で必要となる重要な能力は「スキャニング」(Scanning)と「スキミング」(Skimming)という2つの読解スキルだ。皆さまも、日本語ではこの2つのことは普段の生活で普通にやっていることだ。しかし、英語でやろうと思うとなかなかできない。ある程度の練習が必要となる。
「スキャニング」とは、文章から特定の情報を探し出すためのスキルだ。「scan」とは「素早く見渡す」という意味である。
例えば、あなたが「TOEICのリーディング・セクションの時間配分」について知りたくて検索し、このコラムにたどり着いたとする。その場合、あなたは最初から一語一句丁寧に読むことはせず、スクロールしながらその情報を探すだろう。それが「スキャニング」だ。
一方で「スキミング」とは、一語一句丁寧に読んでいくのではなく、素早く、要点だけを押さえながら全体の大意を「すくい取る」読み方だ。「skim」とは「すくい取る」という意味である。
例えば、あなたがネットで興味のあるニュースを見つけたとする。しかし、そのニュースの配信元があまり信用できないところだったとする。あなたは最初から一語一句丁寧に読むことはせず、大体どのような内容なのかをサッと読むに違いない。それが「スキミング」だ。
なお、「スキャニング」と「スキミング」の詳細などの、英語のリーディング全般については、「英語のリーディング|速く正確に読む11のコツと5つの練習法!」を参考にして頂きたい。
4. TOEICリーディング対策|満点を取るための最重要課題
Part 5〜7のそれぞれの問題の特徴から、時間配分を決定し、その時間配分を達成するために必要とされる能力を説明してきた。それらを整理すると、TOEICリーディングで満点を取るための最重要課題は、「基礎知識強化」「英語脳構築」「受験テクニック習得」の3つに分けることができる。
4.1. 基礎知識の強化
言語の基本要素は「単語」「文法」「発音」の3つしかない。新しい言語を習得するということは、「単語」を覚えて、その並べ方(「文法」)と「発音」を学習すること以外にない。それら3つの基礎知識を強化することがTOEIC学習の第一歩だ。
「単語」の強化方法
単語については、4,000語(レマ単位)を最終目標にして頂きたい。少ないと思うかもしれないが、TOEICで満点を取るのにそれほど多くの単語を覚える必要はない。しかし、注意点は2つある。1つ目は、使用頻度が最も高い4,000語を覚えること。2つ目は、重要語は深く覚えることだ。
TOEICの単語についての詳細は「TOEIC英単語の勉強法|初心者おすすめ単語帳・覚え方・注意点!」を参考にして頂きたい。
「文法」の強化方法
文法については、まずは基礎を「体系的」に学習して頂きたい。基本的には、英語の習得は「勉強」ではなく、繰り返しが重要な「学習」だ。しかし、文法だけは「勉強」の要素が強い。基礎的な知識から順番に積み上げていくことで最も効率的に習得できる。土台が穴だらけなのにもかかわらず、TOEICのPart 5や6の文法問題を繰り返し解いたとしても、満点どころか平均点も取れない。
文法学習の詳細については「英文法勉強法|基礎から効率的に覚える科学的トレーニング8選!」を参考にして頂きたい。
「発音」の強化方法
TOEICのリーディング対策にも「発音」は重要な学習項目の一つだ。英語を音読する際、発音がわからなければスムースに読むことはできない。当たり前だ。しかし、実は黙読する際も、発音がわからなければスムースに読めない。声は出さなくても、心の中で音読しているからだ。
ここでいう発音とは、単語の発音の仕方だけではない。単語と単語がつながって発音される音声変化(リエゾン)、リズム(強弱)、イントネーション(抑揚)も含まれる。これらの英語独特の発音を体得することができれば、黙読でも、よりスムースに読むことができるようになる。
英語の発音についての詳細は「英語の発音|初心者向け科学的見地からの6つのコツと練習方法!」を参考にして頂きたい。
4.2. 英語脳の構築
TOEICのリーディングで満点を取るには、英語脳(英語回路)を構築することが必須となる。英語脳の存在は科学的にも証明されている。
Part 5と6では「精読力」が重要だと指摘した。その意味は、多少読む速度が遅くても、何度も読み返すことなく、1回で理解できる力が必要だということ。それにスピードが加われば無敵となる。その力がつけば、当然Part 7にも役に立つ。
英文を1回読んで理解できるようにするには、「英語を英語のまま、英語の語順で理解する」必要がある。つまり、英語は日本語に訳してから理解するのではなく、英語のまま理解すること。そして、英文を後ろから戻り訳したりするのではなく、英語の語順通りに前から理解することが必要なのだ。そうすれば、1回読んで理解できるようになるだけではなく、読む速度も速くなる。
これらのことができるようになれば、「英語脳」(英語回路)を獲得できたといっていい。英語脳の作り方の詳細については「英語脳の作り方|8つの自動化トレーニングで英語回路を構築する」を参考にして頂きたい。
4.3. 受験テクニックの習得
TOEICで点数を取るためのテクニックに傾注しすぎることは決しておすすめしない。テクニックを習得することに時間を費やすのであれば、英語力を上げた方がよい。しかしながら、最低限知っておきたい受験テクニックがあることは事実だ。
ここでは、Part毎に、これだけは知っておいて欲しいという基本的な受験テクニックを紹介する。
Part 5の基本的な受験テクニック
- Partの説明は読むな!当たり前のことだが、初心者の皆さまのために念のため指摘しておく。各Partの最初に、四角で囲まれた説明書きがある。Part 1〜4のリスニング・セクションでは音声で読み上げられるが、Part 5〜7のリーディング・セクションでは読み上げられない。時間の無駄になるので、この説明書きは絶対に読まないこと。
- 問題タイプを把握しろ!文法知識を問う問題なのか、それとも内容(意味)を問う問題なのかは、選択肢を見ればわかる。同じ単語の語形変化や派生語が並んでいたら文法問題、全く違う単語が並んでいたら内容(意味)を問う問題だ。前者の場合は、文の構造を意識して読む。後者の場合は文の意味を意識して読む。文法と内容の複合タイプの場合は両方を意識する必要がある。
- 主語がどれかを理解しろ!英文の意味を正確に理解するには、どこまでが主語なのかを理解しなければならない。内容問題の場合はもちろん、文法問題の場合も必ずどれが主語なのかを理解しながら読むこと。
- 品詞が何かを確認しろ!文法問題の場合、まずは空欄に入る品詞を考える。品詞がわかれば正答を選べる文法問題は多い。複合タイプの場合もまずは品詞を考えた方が選びやすい。一方で、内容問題の場合は、品詞では正答は選べない。
Part 6の基本的な受験テクニック
- 長文の英文を最初から読め!Part 5と同様に、文法問題と内容問題の2つタイプに分かれる。文法問題は、空欄を含むセンテンスだけを読めば正答が選べる場合は多いが、内容問題は、全ての内容を理解しないと正答を選べない問題が多い。したがって、英文を最初から、空欄がないセンテンスを含めて、全ての文を意味を理解しながら読み進めること。
- 英文を読みながら解答しろ!最初から読み進めていき、空欄が出てきたらそこで選択肢を見ながら問題を解く。空欄の後を読まなければ正答を選べない問題もあるが、その場合も前後を読みながら問題を解くこと。わからないからといって後回しにしない。そこで必ず決着をつける。後回しにして、あとでもう一度読んでもわかる可能性は低い。そして時間の無駄。また、英文を全部読んでからまとめて問題に取り掛かるやり方は、英文を繰り返し読むことになるので時間の無駄になる。
- 主語と品詞を意識しろ!Part 5と同様に、穴埋め問題の基本は、「どれが主語か」と、「空欄の品詞は何か」を意識しながら読むことだ。
Part 7の基本的な受験テクニック
- まずは問題を読め!Part 6のように、長文の文書から読まないこと。必ず選択肢の上にある問題を先に読み、次に、文書をスキャンもしくはスキムしながらその答えを探すこと。結果的に文章の全てをスキャンもしくはスキムすることになる問題もあるが、基本的には文章の全ては読まない。
- スキャン → スキム → 精読の順番!まずは問題の答えがありそうな場所をスキャンして見つける。場所を特定したら、そこをスキムする。その場所で間違いないと判断したら、選択肢と見比べながら精読し、正答を探す。
- 1つの問題に時間をかけすぎるな!何度読んでも正答が見つからない問題は必ずある。そのような問題にぶち当たった場合は、早めにあきらめることも一つの戦略だ。Part 7は問題数が多い、1つの問題に多くの時間を費やせば費やすほど、簡単に答えられる問題を取りこぼす可能性が高くなる。
- 最後の1分で取り組めなかった問題のマークシートを塗りつぶす!全ての問題に取り組めるようになるには時間がかかる。取り組めなかった問題のマークシートも最後に塗りつぶしておこう。(A)(B)(C)(D)をランダムに塗りつぶすより、(A)(B)(C)(D)のどれか一つを決めて、全てそれを塗りつぶした方が、統計学的に正答率が一番高くなる。
5. TOEICリーディング対策|満点を取るための勉強法
TOEICリーディング・セクションで満点を取るための勉強法(トレーンング法)を紹介する。公式TOEIC問題集を使用するので、TOEIC730点以上の方向けのトレーニング方法だ。
まだ基礎力が不足している皆さまは、下記のおすすめ教材、もしくは下記で紹介するコラムで取り上げられている教材の中から自分の学習レベルに適したものを選び、それに適した方法でトレーニングして頂きたい。
上図は、The English Clubが推奨している「自動化トレーニング」の一覧だ。「単語」「文法」「発音」の3つの知識を定着させるとともに、それらの知識を無意識的、自動的に使えるようにするトレーニングなので「自動化トレーニング」と呼んでいる。
ここではこれらのトレーニングのうち、TOEIC対策に適したものを、Part毎にご紹介する。なお、ここで紹介するトレーニング方法は、単にリーディング力や文法力を向上するだけが目的ではない。TOEICのリーディング・セクションで効率的に満点を目指すための、「読む」「聞く」「話す」「書く」全ての技能の向上を目指す総合的なトレーニングだ。
ちなみに、公式TOEIC問題集のPart 5〜7の問題の音声はダウンロードできる(問題集「5」以降)。是非その音声を活用して頂きたい。
5.1. Part 5対策トレーニング方法
- 全30問を解く:30問で7分30秒(1問15秒)を目標に、全30問を解いてみる。必ず時間を図ること。
- 正誤確認:間違ったところはなぜ間違ったのか、そして、正解したところを含めて、わからない単語や文法項目があったら徹底的に調べて完璧に理解する。
- 音読:穴を埋めた完全な文を、意味(内容)を意識しながら大きな声で何度か音読する。
- アイ・シャドーイング:音声を聴きながら、意味(内容)と発音を意識しながら英文を目で追う。
- オーバーラッピング:音声を聴きながら、そして英文を目で追いながら、音声にぴったりと合わせて声を出してついていく。発音があいまいなところは口パク(リップシンク)で確認する。
- 音読:音声を止めて、自力で再度音読する。意味(内容)と発音を意識して何度か繰り返す。
- リピーディング(開本):英文を目で追いながら音声を聴いたあと、一旦音声を止めて音読する。意味(内容)と発音を意識して何度か繰り返す。
- ルックアップ&セイ:英文を黙読したあと、顔を上げて(英文を見ないで)暗唱する。
- リピーディング(閉本):英文を見ないで音声を聴いたあと、一旦音声を止めて暗唱する。意味(内容)と発音を意識して何度か繰り返す。
- シャドーイング:英文を見ないで、音声を聴いて、1〜2語あとを自分でも発音しながらついていく。意味(内容)と発音を意識して何度か繰り返す。
5.2. Part 6対策トレーニング方法
- 全16問を解く:16問で8分(1つの設問2分)を目標に、全16問を解いてみる。必ず時間を図ること。
- 正誤確認:間違ったところはなぜ間違ったのか、そして、正解したところを含めて、わからない単語や文法項目があったら徹底的に調べて、全ての英文を完璧に理解しておく。
- アイ・シャドーイング:音声を聴きながら、意味(内容)と発音を意識しながら英文を目で追う。
- 音読:穴を埋めた完全な文を、意味(内容)を意識しながら大きな声で何度か音読する。
- オーバーラッピング:音声を聴きながら、そして英文を目で追いながら、音声にぴったりと合わせて声を出してついていく。発音があいまいなところは口パク(リップシンク)で確認する。
- シャドーイング:英文を見ないで、音声を聴いて、1〜2語あとを自分でも発音しながらついていく。意味(内容)と発音を意識して何度か繰り返す。
- リフレージング:表現方法が難しいセンテンスを、簡単な単語と単純な文法を使って言い換えてみる。全く同じ意味にならなくても、おおよそのニュアンスが同じであればよい。
- サマライジング:文章の3センテンス程度で要約してみる。文章中に使われている表現ではなく、なるべく自分のことばを使うこと。最初は書いてみる。慣れてきたら頭の中で考えて、声に出してみる。なるべく簡単な単語と単純な文法で表現すること。そして、作った英文に間違いがないかよく確認すること。
5.3. Part 7対策トレーニング方法
- 全54問を解く:54問で59分30秒(1問66.1秒)を目標に、全54問を解いてみる。必ず時間を図ること。
- 正誤確認:時間内に取り組めなかった問題は、正解を確認する前に解いてみる。その後、正誤確認し、間違ったところはなぜ間違ったのか、そして、正解したところを含めて、わからない単語や文法項目があったら徹底的に調べて、全ての英文を完璧に理解しておく。
- 音読:すべての文章を、意味(内容)を意識しながら大きな声で音読して、意味があいまいなところがないか確認する。
- アイ・シャドーイング:音声を聴きながら、意味(内容)と発音を意識しながら英文を目で追う。
- オーバーラッピング:音声を聴きながら、そして英文を目で追いながら、音声にぴったりと合わせて声を出してついていく。発音があいまいなところは口パク(リップシンク)で確認する。
- 音読:再度、意味(内容)と発音を意識して何度か音読する。
- シャドーイング:英文を見ないで、音声を聴いて、1〜2語あとを自分でも発音しながらついていく。意味(内容)と発音を意識して何度か繰り返す。
- リフレージング:表現方法が難しいセンテンスを、簡単な単語と単純な文法を使って言い換えてみる。全く同じ意味にならなくても、おおよそのニュアンスが同じであればよい。
- サマライジング:文章の3センテンス程度で要約してみる。複数の文章からなる問題の場合は、それらを総合して、全体で何が起こっているのかを要約してみる。やり方は Part 5で説明した。
文章を速く正確に読めるようになるためには、音読が最も重要なトレーニングとなる。我々日本語が得意な日本人は、日本語の文章を読むとき、意識しているところと、口で発音しているところが若干ずれる。意識が常に前にあり、口が後からついてくる感覚だ。英語でもそのような状態で音読できるようになるまで、繰り返し読んで頂ければ、初見の文章でも徐々に速く読めるようになる。
なお、ここで紹介したトレーニングのそれぞれの詳細なやり方や効果は「英語トレーニング|4技能を独学で習得する科学的自主トレ22選!」を参考にして頂きたい。
6. TOEICリーディング対策|おすすめ教材
ここで紹介する教材は、TOEIC初心者の方で、これから勉強を始めようとしている方向けの最初の一冊だ。言語の基本要素である「単語」「文法」「発音」の3つの基礎を強化していくと同時に、英語脳(英語回路)の土台を作っているために適した教材を紹介する。
なお、初心者の域は脱出したが、上級の域には達していない方は、おすすめ教材を記載したコラムを、下記「6.4. 中級者向けおすすめ教材を紹介するコラム」で紹介しているので是非参考にして頂きたい。
6.1. 単語のおさらい最初の一冊
「DataBase 1700 使える英単語・熟語 3rd Edition」
中学1年で習う最初の1,000語から丁寧におさらいした方におすすめの単語帳。高校生向けに作られた単語帳だが、最重要語は誰にとっても最重要語だ。単語の掲載基準については心配しなくてよい。最重要動詞の句動詞の基礎も丁寧に説明してある。付属のCDには、英単語・日本語訳・フレーズや例文が収録されているので耳で学習するにもよい。
なお、「DataBata」シリーズの詳しい内容や使い方は「データベース|1700 3000 4500 5500の内容・使い方・効果を検証」を参考にして頂きたい。
6.2. 文法のおさらい最初の一冊
「中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。」
中学英文法のおさらい用として、大人の初級者の皆さまにもお薦めできる英文法の超入門書。本書に書かれていることが全ての土台となる。基礎から丁寧に説明しているので理解しやすい。掲載されている多くの練習問題と音源(CD)を活用し、理解するだけではなく、自分で使えるようにして頂きたい。
なお、「中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。」の詳しい内容や使い方は「中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく|内容・使い方・効果を検証」を参考にして頂きたい。
6.3. 発音矯正と英語脳の土台作り最初の一冊
「英会話ぜったい音読【入門編】」
初級者向けの英語の発音の基礎学習と、英語脳の土台作りに適した一冊。音声とそっくりに発音できるまで何度も繰り返し練習してほしい。加えて、意味(内容)を意識して音読やシャドーイングなどの「自動化トレーニング」を繰り返すことにより、英語脳の土台作りができる。中学の英語教材の英文を使用しているので、残念ながら内容は大人向けではない。
なお、「英会話ぜったい音読」シリーズの詳しい内容や使い方は「英会話ぜったい音読|音読教材としての内容・使い方・効果を検証」を参考にして頂きたい。
6.4. 中級者向けおすすめ教材を紹介するコラム
初級者以上、上級者未満の方は下記のサイトでおすすめ教材を紹介しているので、是非参考にして頂きたい。
単語:「TOEIC英単語の勉強法|初心者おすすめ単語帳・覚え方・注意点」
文法:「英文法勉強法|基礎から効率的に覚える科学的トレーニング8選!」
発音:「英語の発音|初心者向け科学的見地からの6つのコツと練習方法!」
英語脳の構築:「英語脳の作り方|8つの自動化トレーニングで英語回路を構築する」
7. TOEICリーディング対策|まとめ
- TOEICのリーディング・セクションで満点を取るための時間配分は、Part 5:7.5分/Part 6:8分/Part 7:59.5分。
- Part 5の「短文穴埋め問題」は知識を問う問題。知識を問う問題は「知っているか、知らないか」で勝敗が決まる。知らなければ時間をかけても無駄。
- Part 6の「長文穴埋め問題」は、知識を問う「知っているか、知らないか」で勝敗が決まる問題と、時間をかければかけるだけ正答率が上がる読解力の問題の両方が混在。
- Part 7は時間をかければかけるだけ正答率が上がるタイプの問題。他のPartに比べて圧倒的に問題数が多い。このPartにどれだけ多くの時間を残せるかが重要なポイント。
- Part 5〜7の特徴や必要とされる能力を整理すると、TOEICリーディングで満点を取るための最重要課題は「基礎知識強化」「英語脳構築」「受験テクニック習得」の3つ。
- 言語の基本要素は「単語」「文法」「発音」の3つしかない。これらの「基礎知識」を強化することがTOEIC学習の第一歩。
- 英語を速く読むためには、一回読んで理解できる「精読力」が必須。それには「英語を英語のまま、英語の語順で理解する」必要がある。つまり「英語脳」の構築が不可欠。
- TOEICで点数を取るためのテクニックに傾注しすぎることは決しておすすめしない。しかし、最低限知っておきたいテクニックがあることは事実。
- ここで紹介したトレーニング方法は、TOEICのリーディング・セクションで効率的に満点を目指すために、「読む」「聞く」「話す」「書く」全て技能の向上を目指す総合的なトレーニング。是非あなたのTOEIC学習に取り入れて頂きたい。
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無料eBookの主な内容
- 単語・文法・発音の効率的な基礎力強化方法
- インプット(読む・聞く)能力向上のための英語脳作りトレーニング法
- アウトプット(話す・書く)能力向上のためのリハーサル・トレーニング法
- 学習計画の立て方と効率性を上げるための学習習慣
そろそろ本気で英語を習得したいとお考えの方におすすめです。また、「英会話スクールに通っているけど思うように上達しない…」「TOEICで高得点を取ったけど話せない…」などでお悩みの皆さまも是非ご一読ください。