日本の高校で習う英語の「仮定法」は、下記の例文の「仮定法過去」(〜なら、…なのになあ。)と「仮定法過去完了」(〜だったなら、…だったのになあ。)がメインである。
この他にも知っておくと便利な「仮定法」は色々ある。初心者の皆さま向けに、「仮定法」の基本から発展まで徹底的に図解する。図を見て頂き、理解できなければ文章を読んでほしい。上級者の皆さまにとっても「そっだったのか!」と思っていただけることも少なくないだろう。
一方で、仮定法は必ずしも自分でも使えるようにする必要はない。仮定法を使わない、より簡潔な表現で全く同じことを表現できるからだ。したがって、仮定法は聞いたり読んだりしたときに理解できさえすればよいので、あまり難しく考えないで気楽に読んでいただきたい。
目次
1. 英語の仮定法|【基本】「仮定法過去」
まずは高校で習った「仮定法過去」をおさらいする。
1.1.「仮定法過去」の「形」と「意味」は?
「仮定法過去」は、現実とは異なることを「仮定」するときに使われる。「もし〜なら、〜なのになあ/〜だろう。」が基本の意味になる。
「仮定法過去」の「形」は、「If + 主語 + 動詞の過去形, 主語 + would + 動詞の原形」が基本となる。下の例文を見てほしい。
上の例文は、実際は「私」は彼女の電話番号を知らないのだが、「もし知っていたら」という現実とは異なることを「仮定」している。このような場合は、「If + 主語 + 動詞の過去形」で、「もし〜なら」という意味を表現する。
現実とは異なることを仮定する場合は、「if」が含まれる「節」に「動詞の過去形」が使用されるので「仮定法過去」と呼ばれる。
「もし〜なら」を表現する「if節」の次に、「〜なのになあ/〜だろう。」と表現する節を加える場合は、上の例文のように「主語 + would + 動詞の原形」になる。
1.2.「仮定法過去」を使わないで同じことを表現するには?
我々日本人は無理して「仮定法過去」を使えるようにする必要は全くない。「仮定法過去」を使わなくても、単純な英語で同じことを表現できるからだ。「仮定法」は、聞いたり読んだりしたときに理解できれば十分である。そのように割り切ることで使える英語を効率的に習得していっていただきたい。
上の例文を「仮定法過去」を使わずに表現すると下の例文になる。中学で習う単語と文法を使ったシンプルな英語で表現できることが理解できるだろう。
「仮定法過去」を使った場合と使わない場合とでは、若干のニュアンスの違いがある。しかし、無理して仮定法を使い、使い方を間違って異なるニュアンスで伝わってしまったり、途中で詰まって何も言えなくなるよりも、はるかに「まし」である。
1.3.「仮定法過去」は「起こり得ない未来のこと」も仮定する!
「仮定法過去」は「現実とは異なること」を「仮定」する場合に使われることが基本だ。しかし「起こり得ない未来のこと」を「仮定」する場合にも使われる。
下の例文をみてほしい。
上の例文では、「私」は車を買う意思はないのだが、「もし買うとしたら」という「起こり得ない未来のこと」を仮定している。このような場合も「仮定法過去」が使われる。「〜だろう」を表現するために「would」を使用することも同じだ。
この「起こり得ない未来のこと」も仮定法過去を使わないでシンプルに表現できる。我々はそれが言えれば十分である。下の例文をみてほしい。
文脈により、「I won’t buy a car because I don’t want to borrow the money.」(お金を借りたくないので車は買わない。)の方がよい場合もあるだろう。いずれにしろ「仮定法過去」を使わずにシンプルな英語で表現できる。ちなみに、「won’t」は「will not」の短縮形だ。
1.4.「仮定法過去」と「単なる条件」
「仮定法過去」は「起こり得ない未来のこと」を「仮定」するときに使われることを説明した。ここでは、「起こり得る未来のこと」を表現する場合と比較してみる。
下の例文をみてほしい。
上の一つ目の例文は「仮定法過去」で「起こり得ない未来のこと」を仮定している。つまり「車を買うつもりは全くないが」というニュアンスが含まれる。
一方で、二つ目の例文は「起こり得る未来のこと」、つまり「単なる条件」を表現している。「車を買うかどうかわからないが、もし買うとしたら」のニュアンスであり、車を買う可能性もある。
1.5. 色々な例文で色々な「仮定法過去」に慣れておこう!
仮定法過去の形と意味に慣れるために、色々な例文を紹介する。参考までに、仮定法過去を使わない表現も紹介しておく。
If I had the choice, I would live in the country.
(もし選択の余地があるならば、私は田舎に住む。)
≒ I am living in the city because I don’t have the choice.
(選択の余地がないので、私は都市に住んでいる。)
I wouldn’t call you in the middle of the night if it wasn’t / weren’t important.
(もし重要でなければ、このような夜中にあなたに電話しない。)
≒ I’m calling you in the middle of the night because it is important.
(重要なので、このような夜中にあなたに電話している。)
仮定法過去の場合、上の例文のように、「if節」の主語が三人称単数でも、「was」ではなく「were」を使う場合も多い。
If I were you, I would call her right now.
(もし私があなたなら、今すぐ彼女に電話する。)
≒ I suggest that you should call her right now.
(今すぐ彼女に電話することを勧める。)
上の例文のように、「if節」の主語が「I」の場合、「was」ではなく「were」を使う場合が多い。
If you were in my position, what would you do?
(もしあなたが私の立場なら、どうしますか?)
≒ What do you suggest I should do?
(あなたは私が何をすべきだと思いますか?)
上の例文のように「if節」のあとに疑問文が来ることもよくある。
I would be surprised, if they got married.
(もし彼らが結婚すれば、私は驚くだろう。)
≒ I’m sure they won’t (will not) get married.
(彼らが結婚しないことは確かだ。)
上の例文では、「私」は「彼らが結婚すること」は「起こり得ない未来のこと」だと思っているので仮定法過去になっている。
Would you be nervous if you met a famous person?
(有名人会ったら緊張する?)
≒ I don’t think it will happen, but will you be nervous if you meet a famous person?
(起こるとは思わないが、有名人会ったら緊張する?)
上の例文は「起こり得ない未来のこと」を仮定している疑問文だ。
What would you do if you got fired?
(解雇されたらどうする?)
≒ I don’t think it will happen, but what will you do if you get fired?
(起こるとは思わないが、解雇されたらどうする?)
上の例文は「起こり得ない未来のこと」を仮定している疑問詞を使った疑問文だ。
2. 英語の仮定法|【基本】「仮定法過去完了」
次に、高校で習った「仮定法過去完了」をおさらいする。
2.1.「仮定法過去完了」の「形」と「意味」は?
「仮定法過去完了」は、過去の事実とは異なることを「仮定」するときに使われる。「もし〜だったなら、〜だったのになあ/〜だっただろう。」が基本の意味になる。
「仮定法過去完了」の「形」は、「If + 主語 + 動詞の過去完了形, 主語 + would(助動詞の過去形)+ have + 動詞の過去分詞形」が基本となる。下の例文を見てほしい。
上の例文は、実際は「私」は彼女の電話番号を知らなかったのだが、「もし知っていたら」という過去の事実とは異なることを「仮定」している。このような場合は、「If + 主語 + 動詞の過去完了形」で、「もし〜だったなら」という意味を表現する。
過去の事実とは異なることを仮定する場合は、「if」が含まれる「節」に「動詞の過去完了形」が使用されるので「仮定法過去完了」と呼ばれる。
「もし〜だったなら」を表現する「if節」の次に、「〜だったのになあ/〜だっただろう。」と表現する節を加える場合は、上の例文のように「主語 + would(助動詞の過去形)+ have + 動詞の過去分詞形」になる。
2.2. 「仮定法過去完了」を使わないで同じことを表現するには?
「仮定法過去完了」も無理して使えるようにする必要は全くない。「仮定法過去完了」を使わなくても、単純な英語で同じことを表現できる。
上の例文を「仮定法過去完了」を使わずに表現すると下の例文になる。我々はこれが言えれば十分だ。
2.3. 色々な例文で色々な「仮定法過去完了」に慣れておこう!
仮定法過去完了の形と意味に慣れるために、色々な例文を紹介する。参考までに、仮定法過去完了を使わない表現も紹介しておく。
If I had had your email address, I would have sent you an email.
(もし私があなたのメールアドレスを持っていたら、あなたにメールを送っていただろう。)
≒ I didn’t send you an email because I didn’t have your email address.
(私はあなたのメールアドレスを知らなかったのでメールを送らなかった。)
ちなみに、「if節」の最初の「had」は助動詞、2つ目の「had」は「持っている」の意味の一般動詞である。
I would have forgotten to do my homework if you hadn’t reminded me.
(もしあなたが思い出させてくれなかったら、私は宿題をすることを忘れていただろう。)
≒ I didn’t forget to do my homework because you reminded me.
(あなたが思い出させてくれたので、私は宿題をすることを忘れなかった。)
If he had been wearing a seat belt, he wouldn’t have been injured.
(もしシートベルトをしていたら、彼は怪我をしなかったであろう。)
≒ He was injured because he wasn’t wearing a seat belt.
(シートベルトをしていなかったので、彼は怪我をした。)
What would have happened if you hadn’t helped me?
(もしあなたが私を助けてくれなければ何が起こっていただろう。)
≒ I didn’t know what to do without your help
(あなたの助けがなければ何をすべきかわからなかった。)
If you had had breakfast, you wouldn’t be hungry now.
(もし朝食を食べていれば、あなたは今お腹は空いていないだろう。)
≒ You are hungry now because you didn’t have breakfast.
(あなたは朝食を食べなかったので、今お腹が空いている。)
上の例文は「if節」は「仮定法過去完了」だが、次の節は「主語 + would(助動詞の過去形)+ have + 動詞の過去分詞形」ではなく、「主語 + would + 動詞の原形」の形になっている。これは、「if節」では「過去」の事実と異なることを仮定しているが、次の節では「今」のことを言っているからだ。「(過去)もし〜だったなら、(今)〜なのになあ」の意味になる。
3. 英語の仮定法|【基本】「wish」を使った仮定法
「wish」を使った「仮定法過去」と「仮定法過去完了」を説明する。
3.1.「wish」を使った「仮定法過去」
「wish」を使った「仮定法過去」は、現実とは異なることを「願望」したり、現実を「後悔」するときに使われる。「もし〜ならなあ。」が基本の意味になる。
「wish」を使った「仮定法過去」の「形」は、「I wish + 主語 + 動詞の過去形」が基本となる。下の例文を見てほしい。
上の例文は、実際は「私」は彼女の電話番号を知らないのだが、「もし知っていればなあ」という現実とは異なることを「願望」している。このような場合は、「I wish + 主語 + 動詞の過去形」で、「もし〜ならなあ」という意味を表現する。
現実とは異なることを願望する場合は、「wish」に続く「節」に「動詞の過去形」が使用されるので「仮定法過去」と呼ばれる。
「仮定法過去」を使わないで同じことを表現するには?
上の例文を「仮定法過去」を使わずに表現すると下の例文になる。中学で習う単語と文法を使ったシンプルな英語で表現できることが理解できるだろう。我々はこれが言えれば十分だ。
色々な例文で色々な「wishを使った仮定法過去」に慣れておこう!
wishを使った仮定法過去の形と意味に慣れるために、色々な例文を紹介する。参考までに、仮定法過去を使わない表現も紹介しておく。
I wish I were you.
(私があなたならなあ。)
≒ I regret that I’m not you.
(私があなたではなくて残念です。)
「wishを使った仮定法過去」の場合も、「wish」に続く節では「was」ではなく「were」が使われる場合が多い。上の例文では「I were」となっている。「he were」など、三人称単数の場合も「were」がよく使われる。
Do you wish you were married?
(あなたは結婚していればなあと思いますか?)
≒ Do you regret that you’re not married?
(あなたは結婚していなくて残念ですか?)
I wish there weren’t so many people.
(こんなに人が多くいないならなあ。)
≒ I regret that there are so many people.
(こんなに人が多くで残念です。)
I wish I didn’t have to go to work today.
(今日仕事に行かなくてよかったらいいのになあ。)
≒ I regret that I have to go to work today.
(今日仕事に行かなければならなくて残念です。)
I wish I could go with you.
(あなたと一緒に行ければなあ。)
≒ I regret that I can’t go with you.
(あなたと一緒に行けなくて残念です。)
3.2. 「wish」を使った「仮定法過去」と「単なる望み」
「wishを使った仮定法過去」は、現実とは異なることを「願望」したり、現実を「後悔」するときに使われることを説明した。ここでは、「単なる望み」を表現する場合と比較してみる。
下の例文をみてほしい。
「wish」を使って「単なる望み」を表現する場合は、上の例文のように「I wish you a happy new year.」(良い新年をお迎えください。)とする。
「単なる望み」の場合は、「wish」のあとに「節」を続けることができないので、「節」を続ける場合は、「hope」を使って「I hope you have a happy new year.」とする。
「wish」の次に「節」を続けられるのは「仮定法」の場合だけなので注意してほしい。
3.3.「wish」を使った「仮定法過去完了」
次に「wish 」を使った「仮定法過去完了」を説明する。
「wish」を使った「仮定法過去完了」は、過去の事実とは異なることを「願望」したり、過去の事実を「後悔」するときに使われる。「もし〜だったならなあ。」が基本の意味になる。
「wish」を使った「仮定法過去完了」の「形」は、「I wish + 主語 + 動詞の過去完了形」が基本となる。下の例文を見てほしい。
上の例文は、実際は「私」は彼女の電話番号を知らなかったのだが、「もし知っていたらなあ」という過去の事実とは異なることを「願望」している。このような場合は、「I wish + 主語 + 動詞の過去完了形」で、「もし〜だったならなあ」という意味を表現する。
過去の事実とは異なることを願望する場合は、「wish」に続く「節」に「動詞の過去完了形」が使用されるので「仮定法過去完了」と呼ばれる。
「仮定法過去完了」を使わないで同じことを表現するには?
上の例文を「仮定法過去完了」を使わずに表現すると下の例文になる。中学で習う単語と文法を使ったシンプルな英語で表現できることが理解できるだろう。我々はこれが言えれば十分だ。
色々な例文で色々な「wishを使った仮定法過去完了」に慣れておこう!
「wish」を使った仮定法過去完了の形と意味に慣れるために、色々な例文を紹介する。参考までに、仮定法過去完了を使わない表現も紹介しておく。
I wish I had seen her.
(彼女に会えていたらなあ。)
≒ I regret that I couldn’t see her.
(彼女に会えなかったことが残念です。)
I wish I hadn’t eaten so much.
(そんなに食べなければよかったなあ。)
≒ I regret that I ate too much.
(私は食べ過ぎたことを後悔している。)
I wish it had been warmer.
(もっと暖かかったならなあ。)
≒ I regret that it wasn’t warmer.
(もっと暖かくなかったことが残念だ。)
I wish we had had more time to talk yesterday.
(昨日もっと話す時間があったらよかったのに。)
≒ I regret that we didn’t have enough time to talk yesterday.
(昨日十分に話す時間がなかったことが残念です。)
4. 英語の仮定法|【基本】「would」「could」の仮定法
「would」や「could」だけで「仮定」のニュアンスを表す場合を説明する。上記で説明した「仮定法過去」と「仮定法過去完了」の、「if節」が省略されていると考えれば理解しやすいだろう。
4.1. 「would」を使った「仮定」の表現
「would」だけで、「〜だろう」という「推量・想像」を表現することができる。下の例文をみてほしい。
上の2つ目の例文では、「仮定法過去」の「もし〜なら」の節(if 節)がないが、「〜だろう」の「would」を含む節だけがある。つまり、「would」単独でも「〜だろう」という「現在」の「推量・想像」の意味を表すことができるのだ。このような場合は「もし〜なら」の「if 節」が省略されていると考えると理解しやすい。
今度は「仮定法過去完了」の場合を説明する。下の例文をみてほしい。
上の2つ目の例文では、「仮定法過去完了」の「もし〜だったなら」の節(if 節)がないが、「〜だっただろう」の「would + have + 動詞の過去分詞」を含む節だけがある。つまり、「would + have + 動詞の過去分詞」単独でも「〜だっただろう」という「過去」の「推量・想像」の意味を表すことができるのだ。このような場合は「もし〜だったなら」の「if 節」が省略されていると考えると理解しやすい。
4.2. 「Would you 〜?」と「Could you 〜?」の表現
丁寧な言い方をする際は「would」(や「could」)を使う場合が多い。それは、上記で説明したように、「would」(や「could」)には「もし〜なら」という「仮定」のニュアンスが含まれているからだ。下の例文をみてほしい。
上の例文では、「Would you do me a favor?」は「もしよろしければ」という「仮定法過去」のニュアンスが含まれるため、「Will you do me a favor?」よりも丁寧な表現になる。
「could」の場合も同じだ。下の例文をみてほしい。
上の例文では、「Could I use your car?」は「もしよろしければ」という「仮定法過去」のニュアンスが含まれるため、「Can I use your car?」よりも丁寧な表現になる。
4.3. 色々な例文で色々な「would」と「could」に慣れておこう!
「もし〜なら」のニュアンスを含む「would」と「could」に慣れるために、色々な例文を紹介する。
It would be nice to buy a new house.
(新しい家を買えばいいだろうなあ。)
≒ It would be nice if we bought a new house.
(もし新しい家を買えばいいだろうなあ。)
I wouldn’t say anything in your situation.
(あなたの立場では私は何も言わないだろう。)
≒ I wouldn’t say anything if I were you.
(もし私があなたなら何も言わないだろう。)
I had a great party last night. I think you would have enjoyed it.
(昨夜は素晴らしいパーティーだった。あなたは楽しめたと思う。)
≒ If you had come to the party last night, I think you would have enjoyed it.
(もしあなたが昨夜パーティーに来ていたら、あなたは楽しめたと思う。)
She would have been very pleased to see you.
(彼女は、あなたに会うことを非常に喜んだだろう。)
≒ She would have been very pleased if she had met you.
(もしあなたに会っていたら、彼女は非常に喜んだだろう。)
Would you mind opening the window?
(窓を開けてもいいですか?)
≒ Would you mind if I opened the window?
(窓を開けてもいいですか?)
Would you like some coffee?
((もしよろしければ、)コーヒーはいかがですか?)
≒ (カジュアル)Do you want some coffee?
(コーヒーでもどうですか?)
Would it be OK to use your PC?
((もしよろしければ、)あなたのPCを使ってもいいですか?)
≒ (カジュアル)Is it OK to use your PC?
(あなたのPCを使ってもいいですか?)
Could I have some coffee?
((もしよろしければ、)コーヒーをいただけますか?)
≒ (カジュアル)Can I have some coffee?
(コーヒーをもらえますか?)
You could meet her when you go to London.
(ロンドンに行ったら彼女に会えるだろう。)
It couldn’t be better.
(より良いという可能性はないだろう。→ 最高だよ。)
5. 英語の仮定法|【発展】「色々な形」の仮定法
特殊な仮定法や慣用的に使われている仮定法を紹介する。
5.1.「if you were to」
「if you were to 〜」は「未来」のことを「仮定」するときに使われる。全く可能性がないことを仮定する場合もあるし、可能性があることを仮定する場合もある。可能性は文脈で判断することになる。
If you were to die tomorrow, what would you do today?
(もし明日死ぬとしたら、今日何をする?)
5.2.「if + 主語 + should」
「if + 主語 + should」も「未来」のことを「仮定」するときに使われる。この形は、全く可能性がないことを仮定する場合には使えない。
If I should lose you, I would be single for the rest of my life.
(もしあなたを失ったら、私は生涯一人だろ。)
一方で、この「if + 主語 + should」は「仮定」ではなく「単なる条件」の意味でも使用される。
If you should have any questions, please feel free to ask me.
(もし質問があれば、私に聞いてください。)
5.3.「if」の省略
「if 節」の「if」が省略されると、後ろの語順が疑問文の語順になる。これらの形の仮定法はあまり出会わないであろう。 出会ってもびっくりしない程度の理解でいい。
Were I you, I would call her right now.
= If I were you, I would call her right now.
(私があなたなら、今すぐ彼女に電話するだろう。)
Had I been so tired, I wouldn’t have gone out.
= If I had been so tired, I wouldn’t have gone out.
(もし疲れていたら、出かけなかっただろう。)
Should I lose you, I would be single for the rest of my life.
= If I should lose you, I would be single for the rest of my life.
(もしあなたを失ったら、私は生涯一人だろ。)
下の例文は「仮定法」ではなく「単なる条件」を表しているが、この「Should you 〜」は口語でもよく使われる。
Should you have any questions, please feel free to ask me.
= If you should have any questions, please feel free to ask me.
(もし質問があれば、私に聞いてください。)
5.4.「as if 〜」
「as if + 主語 + 動詞の過去形」で「(主語)があたかも〜のように」のような、「現在の事実とは異なることの空想」を表す。口語でもよく使われるので自分でも使えるようにしておきたい。
He talks to me as if he were my father.
(彼はあたかも私の父のように私に話す。)
「過去」の事実とは異なることの空想を表す場合は、「as if + 主語 + 動詞の過去完了形」になる。
You looked as if you had lost everything.
(あなたは全てを失ったかのように見えたよ。)
5.5.「I wonder if 〜」
「I wonder if 〜」で丁寧な依頼を表現することができる。
I wonder if you could help me.
(手伝って頂けますか?)
上の例文では、「could」という過去形を使うことにより、「もしよろしければ」という「仮定法過去」のニュアンスが含まれるため、「I wonder if you can help me.」よりも丁寧な言い方になる。
I wondered I you could help me.
(お手伝い頂けますか?)
上の例文では、「wonder」を過去形にすることによって、更に丁寧さを増している。
I was wondering if you could help me.
(お手伝い頂けますでしょうか?)
上の例文では、「wonder」を過去進行形にすることによって、更に更に丁寧さを増している。
5.6.「if only 」
「if only + 主語 + 動詞の過去形」で、「〜でありさえすればいいのになあ。」という、現在の事実とは異なることの「願望」を表すことができる。
If only I had her number.
(彼女の電話番号を(今)持っていさえすればなあ。)
「過去」の事実とは異なることの「願望」を表す場合は、「if only + 主語 + 動詞の過去完了形」になる。
If only I had met you 10 years ago.
(あなたに10年前に会っていさえすればなあ。)
5.7.「if it were not for 〜」
「if it were not for 〜」は、「もし〜がなければ」という意味で、現在の事実と異なることを仮定する。
If it were not for your help, my dog would be dead now.
(あなたの助けがなければ、私の犬は死んでいただろう。)
「過去」の事実とは異なることの仮定する場合は、「if it had not been for 〜」になる。
If it had not been for your advice, I couldn’t have completed it.
(あなたの助言がなかったら、私はそれを完成できなかっただろう。)
5.8.「it’s time 〜」
「it’s time + 主語 + 動詞の過去形」で「もう〜してよい時間だ」という意味になる。動詞の過去形を使うことにより、「〜しているであろう時間だ」という仮定の意味から「もう〜してよい時間だ」というニュアンスになる。
It’s time we went home.
(我々はもう家に行ってもいい時間だ。)
= It’s time for us to go home.
上の言い換えの例文のように、全く同じことが「to不定詞」を使って言える。我々はこちらが言えれば十分である。
6. 英語の仮定法|【超発展】「仮定法現在」
「仮定法現在」とは、「suggest」や「demand」などの「提案」「要求」「願望」を表す動詞に続く「that節」の中では、動詞が原形になることだ。
I suggest that the meeting be postponed.
(私はミーティングを延期することを提案する。)
上の例では、「that節」の中の主語「the meeting」は「三人称単数」だが、動詞は「be動詞」の「原形」になっている。このように動詞が原形になることを「仮定法現在」と呼ぶ。
また、下の例文のように「It is 〜 that …」の形の場合も「仮定法現在」になる。
It is necessary that he do it right away.
(彼はそれをすぐにやる必要がある。)
なお、「仮定法現在」は主にアメリカで使われる。イギリスでは、下の例文のように、動詞の前に「should」を入れる。つまり、「should」が省略されていると考えることもできる。
I suggest that the meeting (should) be postponed.
(私はミーティングを延期することを提案する。)
It is necessary that he (should) do it right away.
(彼はそれをすぐにやる必要がある。)
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