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公開日:
2019.06.17
更新日:
2020.05.31

英語のライティング|書き方のコツとおすすめツールを徹底解説

英語のライティングにはルールがある。

単語や文法を学習し、よく使われる表現や言い回しを覚えたとしても、それだけでは「読む人に伝わる」英語は書けない。日本語の作文とは全く違う英語のライティング・ルールを習得して、グローバルに生き抜くためのスキルの一つを身につけよう。

そのライティング・ルールは、メール、レポート(報告書)、企画書、議事録、Webサイト、エッセイ(小論文)、広告、論文、職務経歴書など、あらゆるものを英語で書くときの絶対必要条件だ。

英語のライティングは、単語を並べてセンテンスを作るところから始まる。次に、センテンスを並べてパラグラフを作る。そして、パラグラフを並べて文章を完成させる。その書き方とコツを順番にご説明しよう。

1. 英語のライティング|単語を並べてセンテンスを作る

単語とセンテンスとパラグラフの並べ方

「読む人に伝わる」単語の並べ方についてご説明しよう。英語のライティング・ルールに従った「センテンス」(sentence)の作り方だ。

なお、当たり前だが、英語でセンテンスを作るには、最低でも基本的な単語とその並べ方を学習する必要がある。単語の並べ方とは文法のことだ。単語の学習方法と文法の勉強方法についての詳細は、「英単語の覚え方:みんな実践中!8つの基本トレーニングと25のコツ」と「英文法勉強法|科学的トレーニング法8選と8つの基本的な注意点」を参考にしてほしい。

1.1. 単語は「結論が先・説明は後」で並べる!

結論が先で説明は後

英語のセンテンスは、「結論を先、説明は後」に書く。英語は、この順番で書くことを前提とした言語だ。この順番で書くと表現しやすい言語であるとも言える。当然、読み手もこの前提で読むので、このルールに反した書き方だと書き手の意図が通じない場合もある。

I’ve bought the projector that you suggested we use during our presentations at next week’s investors’ meeting in Tokyo.

例えば上のセンテンスを読んでほしい。「I’ve bought the projector」と、一番伝えたい「何」を買ったかを述べてから、それがどの様な「projector」なのかを関係代名詞を使って説明している。「結論を先に、説明は後に」のルール通りだ。

ちなみに、上の文を自然な日本語で表現すると「来週東京で行う投資家向けミーティングでのプレゼン用に、あなたが提案していたプロジェクターを買った。」と、説明が先、重要なことが後になる。今度は、この日本語を「この順番のまま」英語に訳してみてほしい。不可能だということがわかるだろう。英語は結論を先に書くようにできている言語なのだ。

A woman is waiting at the airport counter because she wants to check her luggage.

また、上のセンテンスでは、「女性が空港のカウンターで待っている」の理由を「because」以下で説明している。このセンテンスは下記のように「because」以下を前に持ってきても全く問題はない。しかし、何か特別な理由がない限り、「結論を先に、説明は後に」の上記が好まれる。特別な理由とは、例えば「Because」以下を強調したい場合などだ。

Because she wants to check her luggage, a woman is waiting at the airport counter.

1.2. 英語のセンテンスは「簡潔な表現」を目指す

完結な表現

簡潔な表現でセンテンスを書くことは絶対条件のライティング・ルールではない。しかし、特にビジネスの場においては重要視されるポイントだ。グローバルな流れでもある。簡潔な表現のためのルールを5つご紹介しよう。

1.2.1. 一つのセンテンスは2行以内

英語のセンテンスは2行以内で書くようにする。どうしても2行以上になった場合は、不必要な単語を削除したり、言い回しを換えたり、2つのセンテンスに分けることを考える。

一つのセンテンスの単語数は15〜20が適当であると指摘する専門家もいる。センテンスが長くなればなるほど、読みにくくなり、読み手への負荷が増す。読みやすくするためには、複雑で長いセンテンスではなく、簡単で短いセンテンスをつなげた方がよい。

1.2.2. 受動態ではなく能動態

動作を受けた主体を主語にする「受動態」ではなく、動作を起こした主体を主語にした「能動態」を使うようにすること。

日本語をそのまま英語に訳そうとすると受動態になってしまうことが多い。受動態は読み手にとって理解しづらくなり、センテンスが長くなってしまう傾向があるので、特別な理由がない限り避けた方が無難だ。

① This machine was repaired by our engineers.
この機会は我々のエンジニアによって修理された。

② Our engineers repaired this machine.
我々のエンジニアがこの機会を修理した。

上記の例では、①よりも②の方が読みやすく文章も短い。

ただし、受動態を使った方がよい場合もある。例えば、動作主体が不明な場合や、強調したくない場合だ。

③ This building was built about 50 years ago.
このビルは約50年前に建てられた。

④ The sales have declined because some production delays were caused.
製造の遅れがもたらされたため、売り上げが下がった。

上記の例では、③は動作主体が不明な場合、④は動作主体を強調したくない場合だ。④は「誰」が「製造の遅れ」を引き起こしたのかを指摘することを意識的に避けている。

1.2.3. 不要な語は削除

不要な語が多いと、本当に言いたいことや重要なことがぼやけてしまう。その語がなくても全く意味が変わらない場合や、あまり重要ではない場合は、削除してシンプルにすること。日本語から英語にした文は特に注意しよう。

At work, you may frequently find yourself in a high-stress environment, but (a supportive network of) coworkers can (help to) ease your tension.

仕事においては、ストレスに満ちた環境にいることにしばしば気づくかもしれないが、同僚(の協力的なネットワーク)が緊張をほぐす(のに役立つ)ことがある。

上記の例では、カッコ内の語句がなくてもほとんど意味は変わらない。削除した方が、シンプルでわかりやすい文章になる。

1.2.4. 句ではなく単語

単語1つで表現できることは句にはしない。全く意味が同じ語句であれば、短ければ短いほどよい。

① 句 ② 単語
in order to to
in the event that if
subsequent to after
prior to before
as a consequence consequently
despite the fact that although
owing to the fact that because

①の方が格式が高い表現に感じるかもしれないが冗長な表現だ。明瞭で簡潔な②の方が主流である。

1.2.5. 名詞ではなく動詞

名詞と動詞の両方の形がある単語は、動詞や動名詞を使うようにすること。一般的に、名詞を使うと「固い」表現になりやすく、「動詞」や「動名詞」を使うと単純でわかりやすい英語になる。

① 名詞を使った表現 ② 動詞を使った表現
On completion of the task,….
その業務の終了時、
When the task is complete,…
その業務が終了したら、
We had a discussion.
我々は議論を持った。
We discussed.
我々は議論した。
She made a suggestion.
彼女は提案をした。
She suggested.
彼女は提案した。

上記の例では、①よりも②の方が文章も短くなり理解しやすい。

2. 英語のライティング|センテンスを並べてパラグラフを作る

次は「読む人に伝わる」パラグラフ(paragraph)の書き方だ。英語を書くときには、この「パラグラフ」が非常に重要となる。断言する。パラグラフの書き方を知らないと、レポートや論文などのある程度長い文章のみならず、メールすら読んでもらえなくなる。

パラグラフの構造

パラグラフは、「トピック・センテンス」「サポート・センテンス」「コンクルーディング・センテンス」「リンキング・センテンス」の最大4つの種類のセンテンスから構成される。ただセンテンスを並べればよいというものではなく、この4種類のセンテンスをルールに従って並べなければならないのだ。

パラグラフの書き方は、欧米では当たり前のこととして、エレメンタリー・スクール(小学校)の頃から徹底的に教え込まれるライティングの基礎中の基礎スキルである。そのルールを詳しくご説明しよう。

2.1. 「パラグラフ」と「段落」の違い

パラグラフと段落

英語の「パラグラフ」は日本語の「段落」とはその役割が全く異なる。「パラグラフ」には明確なルールがあるが、「段落」にはないといっても過言ではない。

「段落」は読みやすくするための「区切り」の役割が強い。センテンスをつなげていき、ある程度の量のセンテンスが続いたときに、読みやすくするために段落を変える場合が多いだろう。当然、話題を変えるときにも段落を変えるが、そこに明確なルールはない。

一方で「パラグラフ」には「1つのパラグラフには1つのトピック」という厳格なルールがある。

2.2. 1つの「パラグラフ」には1つの「トピック」

1つのパラグラフに1つのトピック

1つのパラグラフには1つのトピックのみを書く。トピックとは、主張、話題、意見などのことだ。1つのパラグラフに2つ以上のトピックは書かない。また、2つ以上のパラグラフにまたがって、1つのトピックを書くこともしてはいけないのだ。

1つのパラグラフで1つのトピックのみを書き、それら複数のパラグラフを組み合わせることで論理展開していく。このような文章の書き方を「パラグラフ・ライティング」といい、欧米での基礎的なライティング技術なのだ。

2.3. 「パラグラフ」で中心となる「トピック・センテンス」

トッピック・センテンス

1つのパラグラフには、そのパラグラフで一番言いたいことや重要なことを要約した一文を必ず書く。その一文を「トピック・センテンス」(topic sentence)という。通常、そのパラグラフの主題(トピック)と書き手の主張が含まれる。

パラグラフの冒頭にこのトピック・センテンスを置くことで、その段落で何を伝えたいのかが簡単に理解できる。読み手にとって読みやすくするためだ。

2.4. センテンスも「結論が先・説明は後」で並べる!

結論が先で説明は後

単語は「結論が先・説明は後」で並べてセンテンスを作るが、センテンスも「結論が先・説明は後」で並べてパラグラフを作ることになる。

通常、パラグラフの最初にトピック・センテンス(結論)を置く。その次に、トピック・センテンスをサポートするセンテンス(説明)を書くことになる。

2.5. トピック・センテンスを支える「サポート・センテンス」

サポート・センテンス

トピック・センテンスをサポートするセンテンスを「サポート・センテンス」(support sentence)という。トピック・センテンスで言ったことの定義や根拠、事例や手順などを述べる役割を持つ。

下記の例文では、太字がトピック・センテンスで、下線が引いてある文がサポート・センテンスになっている。

There are many benefits to eating fruit such as apples, oranges, and bananas on daily basis. Fruit contain various vitamins and minerals which are important to your body, and can help people avoid various diseases such as diabetes, heart disease and cancer, and to fight various infections, as well as to help repair cells.

この例では、「フルーツを食べることは有益である」というトピック・センテンスの主張を、サポート・センテンスで具体的な理由を挙げて説明している。

2.6. 「コンクルーディング・センテンス」と「リンキング・センテンス」

コンクルーディング・センテンスとリンキング・センテンス

トピック・センテンスとサポート・センテンスのほかに、「コンクルーディング・センテンス」(concluding sentence)や「リンキング・センテンス」(linking sentence)を書く場合もある。

コンクルーディング・センテンスとは、パラグラフが長くなった場合など、トピック・センテンスを言い換えたり、パラグラフ全体をまとめるセンテンスだ。読み手に自分の主張を再度強調するために書く場合が多い。

リンキング・センテンスとは、パラグラフとパラグラフとを論理的につなぐ役割を果たすセンテンスのことだ。通常パラグラフの最後に付け加えるが、次のパラグラフの最初に書く場合もある。

2.7. 「ディスコース・マーカー」の使い方

ディスコース・マーカー

「ディスコース・マーカー」とは、文脈の流れや構造や、文と文との論理関係を表す単語や句のことだ。読み手に自分の主張を正確に伝えるためには、このディスコース・マーカーを効果的に使い、論理展開を明確にする必要がある。

重要なディスコース・マーカーは以下のようなものがある。

種類 ディスコース・マーカー
対比
(Contrast)
but, while, however, nevertheless, although, on the contrary, on the other hand
強調
(Emphasis)
especially, particularly, in particular, above all
因果関係
(Cause & Effect)
so, therefore, consequently, hence, as a result, as a consequence, accordingly
追加
(Addition)
also, in addition, additionally, furthermore, moreover, besides

(Example)
for example, for instance, such as, in the case of

下記の例文では、「However」(しなしながら)というディスコース・マーカーを使い、書き手の主張はそのあとに書いている。

In my professional life, I have worked on many projects, both alone and together with colleagues. I have found that it is sometimes possible to complete tasks more quickly on my own than when collaborating with others, because I do not need to explain my plans or negotiate decisions with others. However, that small advent is greatly outweighed by the many benefits of working with a helpful group of coworkers. If I had a choice, I would always prefer to work in a team than to work alone.

*出典:「TOEIC Speaking & Writing 公式テストの解説と練習問題」(IIBC)

ちなみに、上記のパラグラフのトピック・センテンスは、パラグラフの最後の太字のセンテンスだ。通常トピック・センテンスはパラグラフの最初の置くことが多い。なぜなら読み手にとって論理展開がわかりやすくなるからだ。しかし、この例文のように、トピック・センテンスを最後、もしくは中盤に置くこともある。その場合は、ディスコース・マーカーを効果的に使うことで、どの文がトピック・センテンスなのかを読み手に明確に示す必要がある。

2.8. 〈参考〉「パラグラフ・ライティング」の重要性

パラグラフ・ライティング

パラグラフ・ライティングはグローバル・スタンダード化している。なぜなら、パラグラフ・ライティングのルールを基に書かれていないものはGoogleが評価しないからだ。

日本語でどんなに良い情報を書いたとしても、パラグラフ・ライティングのルールに従って書いていないものはGoogleの検索結果で上位表示されない。その影響は非常に大きい。今後は日本でも「パラグラフ・ライティング」がスタンダードとなっていくことが予想されているのだ。

3. 英語のライティング|パラグラフを並べて文章を完成する

次は「読む人に伝わる」パラグラフの「並べ方」だ。英語にはこのパラグラルの並べ方にもルールがある。そのルールに従わないと、読み手にとって非常に読みづらくなり、結果、最後まで読んでもらえない確率が高くなる。

日本語では、「起承転結」で文章を書くように習ってきた。しかし、グローバル・スタンタードのパラグラフ・ライティングと比較すると、「起承転結」は論理的な書き方ではないと指摘されているのだ。

3.1. パラグラフも「結論が先・説明は後」で並べる!

結論が先で説明は後

単語は「結論が先・説明は後」で並べてセンテンスを作る。センテンスも「結論が先・説明は後」で並べてパラグラフを作る。パラグラフも「結論が先・説明は後」で並べて文章を完成することになる。

一般的な英語の文章は、通常3つの種類のパラグラフから構成される。「導入」(introduction)、「メイン」(body)、そして「結論」(conclusion)だ。読み手が理解しやすい文章にするためには、それぞれのパラグラフの役割を明確にして書く必要がある。

パラグラフの構造

3.2. 導入(Introduction)

導入

「導入」(introduction)は、最も重要な主題と主張を示すパラグラフである。パラグラフ内でのトピック・センテンスに似た役割を担うパラグラフと言える。「導入」と呼ばれるが、実際は「結論」と考えた方がいい。通常、この「導入」は1つのパラグラフからなる。

導入のパラグラフのトピック・センテンスが最も重要なセンテンスであることが理解できるだろう。

3.3. メイン(Body)

メイン

「メイン」(Body)は、「導入」をサポートするパラグラフである。パラグラフ内でのサポート・センテンスに似た役割を担う。導入のパラグラフで示した主題と主張を、具体的な根拠、事例や手順などを述べることでサポートする役割を持つパラグラフだ。この「メイン」は通常複数のパラグラフからなる。

「1つのパラグラフには1つのトピック」のルールを忘れないでほしい。具体的な根拠や事例、手順などは、複数のことを同じパラグラフで述べてしまうと理解しづらくなる。

3.4. 結論(Conclusion)

結論

「結論」(Conclusion)のパラグラフは、総まとめのパラグラフである。パラグラフ内でのコンクルーディング・センテンスに似た役割を担う。「導入」のトピック・センテンスを言い換えて再度強調したり(restatement)、全体の要約(brief summary)を書く。自分の主張を強調して最後に書く場合も多い(final statement)。この「結論」は通常1つのパラグラフからなる。

パラグラフ内ではコンクルーディング・センテンスは書かない場合が多いが、結論のパラグラフは必ず書く。

4. 英語のライティング|〈ご参考〉SDS法とPREP法

SDS法とPREP法

SDS法とPREP法とは、特にビジネスでの文書やプレゼンテーションなどを作成する際によく使われる構成方法である。

SDS法とは「Summary」(概要)・「Details」(説明)・「Summary」(まとめ)の頭文字と取ったもの。PREP法とは「Point」(結論)・「Reason」(理由)・「Example」(事例)・「Point」(結論)の頭文字と取ったものだ。

両方とも、上記で説明した「トピック・センテンス」・「サポート・センテンス」・「コンクルーディング・センテンス」や、「導入」・「メイン」・「結論」と同じことを言っていることがご理解できるだろう。ただ、「SDS」や「PREP」だと覚えやすいかもしれない。

5. 英語のライティング|メールも「導入」「メイン」「結論」が重要

emailの書き方>

英語のメールでも、「結論が先・説明は後」、「トピック・センテンス」と「サポート・センテンス」、それから「導入」「メイン」「結論」の考え方は同じだ。

下記の例を見てみよう。①「導入」②「メイン」③「結論」の順番でパラグラフが並んでおり、①ではこのメールで一番伝えたい主張「トピック・センテンス」(下線)が書かれている。②では、①の結果に基づいた、すべきことを説明している。そして最後に③で、結びの言葉と共に、すべきことをまとめている。

To: Hanako Suzuki
From: John Smith
Subject: RE: Tuition reimbursement request
Date: May 10

Dear Ms. Suzuki,

① Thank you for providing me with a copy of your tuition receipt and your reimbursement form. Unfortunately, since you did not submit all of the required documents, our policy prevents us from reimbursing your tuition at this time.

② The deadline for returning all of the relevant documentation is two months after the end of the course. So that you don’t miss this deadline, I would suggest that you contact Wilson’s office of continuing education as soon as possible. Its Web site indicates that most requests of this type can be handled online, so an extra visit to the school probably won’t be necessary.

③ I look forward to hearing from you once you have the remaining paperwork in order.

Sincerely,
John Smith
Director of Personnel

②を見ると、「結論が先・説明は後」の原則も守られていることがわかるだろう。「締め切りが2ヶ月以内」であるという重要なことを述べてから、すべきことを説明している。

仕事で毎日数多くのメールを受け取るだろう。それを全部読むことだけでも大変だ。「結論が先・説明は後」の原則に沿って書かないと読んですらもらえなくなる。

なお、英語のビジネスメールで良く使用される定型表現や言い回しについては、「ビジネス英語メール|件名・書き出しから結びまで!使える例文100選」が参考になるはずだ。

6. 英語のライティング|書く際に注意すべき5つのこと

英語で文章を書く際の注意点と、書く能力を向上するための注意点を5つご紹介しよう。

6.1. 文章を書くときは最初に戦略を立てよう!

注意点-01

長い文章を書くときは、書き始める前にできる限り詳細な戦略を立てよう。このコラムでは、センテンスの書き方から始まり、パラグラフの書き方、そしてその並べ方を順番に説明してきた。しかし、実際に文章を書くときは、全く逆の流れになることを忘れないでほしい。

つまり、当たり前のことだが、最初にパラグラフ構成(流れ)を決め、次にそのパラグラフで書くことを決め、そしてパラグラフ内での書き方を決めてから、センテンスを書き始めることになる。そのセンテンスを書き始める前の戦略立案が最終的に出来上がった文章の良し悪しを決定する。

6.2. 簡単な単語と単純な文法で書こう!

注意点-02

英語のライティング力をアップするために、自分の言いたいことをなるべく簡単な単語と単純な文法で表現できるようしよう。そのためには言いたいこと自体を単純化する必要がある。下の例文をみて欲しい。

英語表現単純化方法

「この本は私を成長させてくれた。」ということを英語で表現したいとする。でも、ちょっと難しいと感じた場合、他の表現を考えてみる。「私はこの本で成長した。」が浮かんだが、これでも自分の英語力では表現できそうにない。もうちょっと考えてみる。「私はこの本から色々学んだ。」が浮かんだ。これなら自分の英語力で表現できそうだ。作った英文は非常に簡単で単純だ。

最終的に作った英文は、最初に言いたいと思ったこととは若干ニュアンスが異なるかもしれない。しかし、時間をかけて複雑で難解な英文を作り出すより遥かによい。

6.3. 「訳す」ことから脱却しよう!

注意点-03

日本語で考えたことを英語に「訳す」プロセスから脱却しよう。日本語と英語は全く違う言語だ。そのため日本語を英語に訳す際、またはその逆の場合でも、直訳すると意味がわからなくなることや不自然な言い回しになることがよくある。

例えばオフィスにお客様がいらした際、「お座りになってください。」という日本語は自然だが、それを英語に直訳した「Please sit down.」は非常に失礼な言い方だ。「うろうろしていないで座っていろ!」のニュアンスが含まれているからだ。

「Please have a seat.」が自然な言い方である。しかし、今度はそれを日本語に直訳すると「どうぞ座席を持ってください。」になり、これもまた不自然だ。英語を使う際、日本語と英語を「訳す」作業が全く役に立たない場合が多い。

6.4. 定型表現を覚えよう!

注意点-04

ビジネスでよく使われる定型表現や言い回しを覚えて、自然な表現で文章を書けるようにしよう。文法的に正しい英語でも、ネイティブ・スピーカーにとっては奇妙な英文はいくらでも作れる。例えば下記の例をみてほしい。

Your marring me is desired by me.
あなたが私と結婚することが私によって希望されている。

この英文は文法的には全く問題ないが、ネイティブ・スピーカーにとっては非常に不自然で奇妙な文章だ。しかし、我々日本人にはどのような表現がネイティブにとって自然かどうかを判断することは非常に難しい。文法の範疇を超えているからである。ちなみに上記の例文を自然な表現にすると下記になる。

I want you to marry me.
私はあなたに私と結婚してほしい。

米ピッツバーグ大学言語学科教授の白井氏は、「単語と文法だけでは自然な英語を取得できないことは明らか」だと指摘している。よく使用される表現や言い回しを覚えることは、この問題を克服する近道なのだ。

6.5. インプットなしにアウトプットはできない!

注意点-05

空っぽの箱の中からは何も出すことはできない。英語の学習も同じだ。頭の中に英語があまり入っていないのに英語がスラスラと書けるわけがない。まずは英語を入れることだ。英語の習得はインプット(読む・聞く)の理解なしには起こらない。第二言語習得研究が指摘する厳然たる事実だ。

明治大学教授の廣森氏は、「もともとのインプットの量が少なければ、アウトプット(書く・話す)できる量はそれよりもはるかに少なくなる。」と指摘している。

7. 英語のライティング|無料チェックツールを活用しよう!

メール、レポート(報告書)、企画書、議事録、エッセイ(小論文)や論文など、英語でのライティングの際に役立つおすすめ英文チェックツールを3つご紹介しよう。全て無料でも使えるが、有料版ではより高度な機能が使えるものもある。是非、実際に使ってみてその感想をコメントに残してほしい。

7.1. Google検索のかしこい使い方

Googe

Google検索はかしこく使えば、英語のライティングに非常に役立つ。「フレーズ検索」と「ワイルドカード検察」の2つの方法をご紹介しよう。

7.1.1. フレーズ検索

フレーズ検索は、フレーズを一つのまとまりとして検索する方法。フレーズの前後に「“ ”」(半角のダブル・クォーティション・マーク)を付ければよい。自分が作ったフレーズが合っているかどうか、ネイティブも使うかどうかを確認するには便利な方法だ。

例えば、「It would be appreciated if you could 〜」というフレーズを確認したい場合、そのまま検索すると、それぞれの単語がバラバラに使用されているページも出てくる。しかし「“It would be appreciated if you could”」で検索すると、そのフレーズが使用されているページしか出てこない。

7.1.2. ワイルドカード検索

ワイルドカード検索は、あるフレーズ内の単語を検索するのに便利な方法だ。使いたいフレーズがあるが、どのような単語を入れたらいいかわからないときに、その部分に「*」(半角のアスタリスク)を入れればよい。

例えば、メールでいつも「It would be appreciated if you could 〜」というフレーズを使っているが、いつも同じ言い方なので別な単語を使いたいとする。その場合、フレーズ検索との合わせ技で「“It would be * if you could”」と検索すると、その部分には「grateful」「helpful」「nice」なども入ることがわかる。

7.2. 英文校正ツール「Grammarly」

grammarly

Grammarly(グラマリー)は、英文ライティングの自動校正ツールだ。スペル・文法チェック等が自動で行われる。ネイティブの使用も想定しているのでかなりの完成度だ。無料版では下記の機能が使える。筆者も使い出してまだ間もないが、無料版でもかなり使える印象だ。特に文法チェックは役に立つ。

  • スペルチェック機能
  • 文法チェック機能(単数形と複数形、冠詞、前置詞などの間違いや漏れなどのチェック)

有料版では、下記の機能が使えるそうだが、筆者はまだ使用していないので使用感はご報告できない。使用した方がいらしたら是非コメントに残してほしい。

  • 無料版より高度な文法チェック機能
  • 別の単語や言い回しの提案
  • 盗用のチェック

7.3. プロ仕様の英文校正ツール「ProWritingAid」

ProWritingAid

ProWritingAid(プロ・ライティング・エイド)は、ネイティブのプロ向け英文校正ツールだ。スペルや文法チェックはもちろん、同義語、スタイル、読みやすさや構成などについての提案をしてくれる優れものだ。機能とワード数によって無料版と有料版がある。英語でレポートや論文、長めのメールを頻繁に書く必要がある方には役に立つツールだ。

8. 英語のライティング|文章を書く力を向上させる「ディクトグロス」

勉強する人

英語のセンテンスを作れるようにするためのとっておきの練習方法をご紹介しよう。ディクトグロス(Dictogloss)という方法だ。これは、アナハイム大学言語学教授のルース・ワジャイブ氏(Ruth Wajnryb)が考案したトレーニング方法だ。

ディクトグロスは、意味を理解することに意識を集中して英文を聴き、聞き取れた単語を書き取る。それをもとに、書き取れなかったところを想像しながら英文を復元するライティングとリスニングのトレーニングだ。

8.1. ディクトグロスのやり方

  1. 自分のレベルに合った音源付きの英文を用意。
  2. 一文ずつ音源を再生し、スクリプトを見ないで、意味を理解することに集中しながら聞き、聞き取れた単語を書き取る。
  3. 理解した意味と書き取った単語を基に英文を復元する。
  4. スクリプトをみて自分が再現した英文と比較し分析する。

8.2. ディクトグロスの効果

ディクトグロスは、聞き取れなかったところを想像しながら文章を組み立てることにより、単語や文法の知識を自分でも使えるようにするトレーニングだ。書きながら文章を組み立てることにより、自分の使えるフレーズを脳にしっかりと定着させることができる。ライティング力に加えてスピーキング力やリスニング力の向上にも有効なトレーニングだ。

9. 英語のライティング|まとめ

祝福
  • 英語のセンテンスは「結論を先、説明は後」に書く。そして、英語のセンテンスは「結論を先、説明は後」に並べてパラグラフを作る。最後に、英語のパラグラフは「結論を先、説明は後」に並べて文章を完成する。
  • 1つのパラグラフには1つのトピックについてのみ書く。そのパラグラフで一番言いたいことをトピック・センテンスとして書き、サポート・センテンスで説明を加える。論理展開を明確にするためにディスコース・マーカーを有効に使おう。
  • パラグラフは、最も重要な主題と主張を示す「導入」、「導入」をサポートする「メイン」、そして、総まとめの「結論」の順番に並べる。レポートや論文だけではなく、メールでも考え方は同じだ。
  • ライティングの注意点は「文章を書くときは最初に戦略を立てること。」「簡単な単語を単純な文法で書くこと。」「「訳す」ことから脱却すること。」「定型表現を覚えること。」そして、「インプットの量を増やすこと。」の5つ。
  • 英語のライティングの基礎力を向上させるには、文章チェックツールを賢く使うことと、「ディクトグロス」というトレーニングがおすすめ。
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執筆者プロフィール
小柳 恒一
  • 1999年ロンドン大学大学院ロンドン・ビジネス・スクールにてMBA取得。1997年TOEFL630点取得。2003年TOEIC990点取得。2004年米国公認会計士試験合格。2010年4月中小企業診断士登録。
  • 2000年よりリーマン・ブラザーズ等にて13年以上M&Aのアドバイザリー業務に携わる。
  • 2010年より中堅・中小企業を対象とした事業継承M&Aコンサルティング事業を開始。
  • 2013年よりThe English Clubの前身となるEnglish Tutors Network事業を開始。
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