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公開日:
2019.06.04
更新日:
2019.06.16

英語のシャドーイング|4種類のやり方と効果&6のコツを徹底解説!

英語学習にシャドーイングを取り入れる方が最近多くなってきた。シャドーイングの効果が認められてきたということだ。しかし、見よう見まねで、なんとなくシャドーイングをやっていないだろうか?

シャドーイングはやり方によって効果が変わってくる。また、効果を意識してやると効率性も変わってくる。シャドーイングの効果は4技能におよぶ。あなたの英語力を飛躍的にアップさせることができる最強の英語トレーニング法の一つだ。科学的に正しいシャドーイングのやり方を理解し、効率的に英語力を向上していってほしい。

1. 英語のシャドーイングとは?

シャドーイング

シャドーイング(shadowing)とは、音源の後1~2語遅れて、影(shadow)の様に音源通りに声に出して追っかけていく練習だ。基本、英文は見ないで行う。同時通訳のプロを目指す人たちの基本中の基本トレーニングだ。第二言語習得研究などでその高い効果が認められ、一般の英語学習者にも広がってきた。

シャドーイングは、「耳」と「口」を使って「音声」と「意味」を結びつける練習である。つまり、音声を聴いて意味を理解できるようにする練習だ。そして、単語と文法の知識を無意識的、自動的に使えるように「自動化」するための練習でもある。つまり、英語脳(英語回路)を作るための練習でもあるのだ。

シャドーイングと切っても切れないトレーニング法に「音読」や「リピーティング」があるが、これらも、上記2つの効果は期待できる。しかし、シャドーイングは、聞いた英語の音声をすぐに繰り返さなければならないため、音読やリピーティングに比べて、それらの効果は高いと考えられている。音読やリピーティングは、シャドーイングにはない効果があることも確かだが、シャドーイングの予備的な練習方法という側面もある。

音読の効果とやり方などの詳細については、「英語の音読|正しいやり方で4技能に効果あり!7つのコツと教材選び」が参考になるはずだ。

2. 英語のシャドーイングはどんな効果があるの?

シャドーイングの効果は、「音声」と「意味」を結びつけること、そして単語と文法の知識を「自動化」することの2つに加えて、定型表現を使えるようにする効果もある。それらの効果によって、リスニング、リーディング、スピーキング、ライティングの4技能の能力がアップするのだ。

2.1. シャドーイングの効果|音声と意味を結びつける

音声と文字と意味の統合

日本人は、英文を読めば理解できるが、聴いただけでは理解できないという人が多い。上の図でいうと、音声と意味が結びついていないのだ。これは、日本の学校の英語教育が、音声(発音)を全く重視してこなかったことが原因だ。同時通訳の神様といわれ、英エディンバラ大学客員研究員だった國弘氏もこのことを痛烈に批判している。

シャドーイングは、日本人が弱い発音を強化してくれる最強のトレーニング法である。英語は日本語に比べて音声が重要な言語だ。発音を強化すれば、ネイティブ・スピーカーに理解しやすい英語を話すことができる。

また、自分で発音できない音は聞き取れない。その様な音は脳が音として認識してくれないからだ。発音を強化すればリスニング力も必ず向上する。

英語の発音は下記の5つの要素がある。これらを攻略することがシャドーイングの目的の一つなのだ。

2.2. シャドーイングの効果|単語と文法の知識の自動化

シャドーイングは、単語と文法の知識を無意識的に自動的に使えるようにするための最強のトレーニングでもある。処理を速くすることで、英語の4技能全ての能力をアップさせることができるのだ。

単語・文法・発音の統合

我々日本人は、受験英語のおかげで単語と文法の知識はあるが、話せない。その理由は、それらの知識を使えるようにしていないからだ。日本人の最重要課題といっていいだろう。知識を「自動的」に使えるようにすることを、第二言語習得研究では「自動化」という。

シャドーイングはこの自動化を促進する。自動化すれば、英語を英語のまま理解でき、英語を英語の語順のまま、前から理解できるようになる。つまり英語脳(英語回路)を構築できるということだ。そうすれば4技能の能力も当然向上する。英語脳の詳細については、「英語脳の作り方|8つの自動化トレーニングで英語回路を構築しよう!」も参考になるはずだ。

2.3. シャドーイングの効果|定型表現を使えるようにする

表現

シャドーイングを繰り返し行うことにより、よく使用される表現や言い回しを覚え、使えるようにすることができる。結果、スピーキング力とライティング力をアップすることができるのだ。ただし、シャドーイングの素材を選ぶときに、自分が使えそうな表現が多く含まれた英文を使用する必要がある。

英語を習得するには、単語と文法と発音の知識を習得し、それらの知識を自動化すること、そしてそれら3つを組み合わせて無限の文章を作れるようにすることが基本の学習方法である。しかし、よく使用される表現や言い回しを覚えることも重要だ。なぜならば、話すたびに英文を一から作る必要がなくなる。そして、ネイティブ・スピーカーにとって自然な表現を使えるようになるからだ。

3. プロソディ・シャドーイングとコンテンツ・シャドーイング

シャドーイングの3つの効果をご説明した。3つの効果を得るためには、下記のようにそれぞれ別の方法で行う必要がある。

  • 音声と意味を結びつける - プロソディ・シャドーイング/コンテンツ・シャドーイング
  • 単語と文法の知識の自動化 - コンテンツ・シャドーイング
  • 定型表現を使えるようにする - フレーズ・シャドーイング
シャドーイング・トレーニング

シャドーイングは、行うときに何を意識するのかによって効果が変わる。発音を意識する「プロソディ・シャドーイング」、意味(内容)を意識する「コンテンツ・シャドーイング」、表現や言い回しを意識する「フレーズ・シャドーイング」だ。

プロソディ・シャドーイングとコンテンツ・シャドーイングは、関西学院大学応用言語学教授の門田氏が提唱しているシャドーイングの方法だ。フレーズ・シャドーイングは、それらを参考にThe English Clubが提唱している。

3.1. プロソディ・シャドーイングのやり方

プロソディ

プロソディ・シャドーイングとは、発音(音声)だけに意識を集中して行うシャドーイングだ。意味(内容)は意識しなくてよい。母音と子音、単語のアクセントの位置、リエゾン、リズム、イントネーションの5大発音要素に注意して、音源とそっくりにシャドーイングできるまで繰り返し練習してほしい。スピードにも注意が必要だ。

このプロソディ・シャドーイングを繰り返し行なえば、発音矯正が進みスピーキング力とリスニング力が向上する。

第二言語習得研究では、リズムやイントネーションのことを「プロソディ/prosody」というので、発音に意識を集中して行う場合をプロソディ・シャドーイングという。

3.2. コンテンツ・シャドーイングのやり方

コンテンツ

コンテンツ・シャドーイングとは、意味(内容/contents)だけに意識を集中して行うシャドーイングだ。発音は意識しなくてよい。音源のスピードについていきながら、英文の意味がスーッと頭に入ってくるようになるまで繰り返し練習しよう。

このコンテンツ・シャドーイングを繰り返し行えば、音と意味をつなげることに加え、英語を英語のまま(日本語に変換することなく)、英語の語順で理解する力がつく。ナチュラル・スピードに近い音源を使用すれば、処理スピードをアップすることもできる。つまり、英語脳(英語回路)を作り、英語の4技能の能力を向上させるのだ。

3.3. フレーズ・シャドーイングのやり方

表現

フレーズ・シャドーイングとは、定型表現や言い回し(フレーズ/phrase)に意識を集中して行うシャドーイングだ。覚えたいフレーズの意味と発音も意識しながら繰り返し練習することにより、そのフレーズを自分でも使えるように定着させることが目的だ。

同じ素材を使用して、上記3つのシャドーイングを別々に行うことが重要だ。なぜなら、人間の脳はマルチタスクが苦手だからだ。例えば、意味と発音を同時に意識しながらシャドーイングすることはできない。人間の脳はどちらか一方しか意識できないのだ。シャドーイングの効果を最大限に引き出すに、目的を明確にして何度も繰り返し行おう。

4. ボトムアップ・シャドーイングとトップダウン・シャドーイング

シャドーイングは、それ単体で行っても効果はある。しかしながら、他のトレーニングと組み合わせて行えばより効果的で効率的だ。

シャドーイング・トレーニング2

シャドーイングをどの段階で行うかの違いで2種類のトレーニング方法がある。最初にシャドーイングを行う「ボトムアップ・シャドーイング」と、最後にシャドーイングを行う「トップダウン・シャドーイング」だ。関西学院大学の門田教授が提唱している方法である。それぞれ効果が異なる。

ただし、下記のトレーニングの流れは、門田氏が提唱するやり方を参考にThe English Clubが若干修正している。

4.1. ボトムアップ・シャドーイングのやり方

ボトムアップ・シャドーイングは、初めてみる素材使用して、いきないシャドーイングから始めるやり方だ。このやり方は、最初のシャドーイングで一生懸命に聞き取ろうとするので、聞いて理解する力をより強化すると門田氏は指摘している。聞き取れない理由を自分で検証できるので、リスニング力アップにつながるのだ。

一つ一つ順番に説明しよう。

ボトムアップ・シャドーイング

4.1.1. シャドーイング(Shadowing)

ステップ-1

いきなりシャドーイングだ。事前に英文(スクリプト)を読まないでシャドーイングする。意味に意識を集中し、内容を理解しながらシャドーイングすることを心がけよう。これ以上聞き取れないというところまで繰り返えそう。余裕があれば発音に意識しながらもう数回繰り返そう。

4.1.2. アイ・シャドーイングと検証(Eye-shadowing)

ステップ-2

スクリプトを目で追いながら音源を聴く。シャドーイングで聞き取れなかったところと、意味が理解できなかったところに注意して何度か繰り返そう。聞き取れなかった理由、意味が理解できなかった理由を自分で検証してほしい。理由がわかれば対策はある。

  • スクリプトを読んでも理解できない場合:単語と文法の知識不足。使っている素材が難しすぎるのかも。
  • スクリプトを読めば理解できる場合:
  • 原因①:英語の語順に対応できていない。意味(内容)を意識するコンテンツ・シャドーイングを繰り返すこと。
  • 原因②:英語の音声に対応できていない。音声(発音)を意識するプロソディ・シャドーイングを繰り返すこと。
  • 原因③:英語のスピード対応できていない。コンテンツ・シャドーイングとプロソディ・シャドーイングを繰り返すこと。

スクリプトを見ても理解できないところと、発音が難しいところに印を付けておくと後で役に立つ。

4.1.3. 音読と意味確認(Reading aloud)

ステップ-3

音読をしながら、英文の意味(内容)を確認する。アイ・シャドーイングで印を付けたところは、何度か音読してそれでも理解できない場合は辞書や文法書で調べよう。

英文全体をできる限り完璧に理解しておこう。理解できないままシャドーイングを行ってもあまり意味がない。発音矯正には効果はあるかもしれないが、単語と文法知識の自動化の効果は低くなる。

4.1.4. リピーティング(開本)(Repeating)

ステップ-4

スクリプトを目で追いながら(開本)音源を一文聴き、一旦音源を止めて音読(リピート)する。最初は意味を意識して、内容が頭にスーッと入ってくるようになるまで繰り返そう。その後、発音を意識して、音源をそっくりまねて、一文一文丁寧にリピートしてみよう。スピードはあまり意識する必要はない。

4.1.5. オーバーラッピング(Overlapping)

ステップ-5

スクリプトを目で追いながら音源を聴き、同時に音源にぴったりと合わせて声を出してついていく。スピードについていくことに注意しながら、最初は意味(内容)に意識を集中して何度か繰り返した後、次に発音に意識を集中して何度か繰り返そう。あまりうまくできない場合は、声を出さないリップ・シンク(口パク)を試してみるとよい。音源がよく聞こえるので発音を確認しやすい。口の動かし方を確認してみよう。

4.1.6. ルックアップ&セイ(Look-up & say)

ステップ-6

スクリプトから目を離す。スクリプトを目で追いながら音源を一文聴き、一旦音源を止めて、顔をあげて(ルックアップ)暗唱(セイ)する。一文が長くなればなるほど難しくなる。長い文でできないのは意味を十分に意識していないから。まずは意味を意識しながら練習し、できるようになったら発音を意識して繰り返し練習しよう。

発音に自信がある場合は、音源を使わずに、黙読してから顔をあげて(ルックアップ)暗唱(セイ)する方法でもよい。

4.1.7. リピーティング(閉本)(Repeating)

ステップ-7

スクリプトを見ない(閉本)で音源を聴き、スクリプトを見ないで繰り返す(リピートする)。ボトムアップ・シャドーイングの仕上げだ。意味に意識を集中して何度か繰り返した後、発音に意識を集中して練習しよう。自分でも使いたい、または使えそうなフレーズがある場合は、そのフレーズを覚える目的で何度かリピーティングしてみよう。

4.2. トップダウン・シャドーイングのやり方

トップダウン・シャドーイングは、シャドーイングを行う前に、他のトレーニングを通じて使用する英文素材の内容をあらかじめ理解しておく方法だ。このやり方は、単語や文の構造(文法)を理解した上でシャドーイングを行うので、単語と文法の知識の自動化に高い効果がある。

トップダウン・シャドーイング

4.2.1. リスニング(Listening)

ステップ-1

まずは聞いてみる。どの程度聞き取れるか確認しよう。スクリプトは事前に見ない。これ以上聞き取れないというくらいまで繰り返し聞いてみよう。

4.2.2. アイ・シャドーイング(Eye-shadowing)

ステップ-2

スクリプトを目で追いながら音源を聴く。リスニングで聞き取れなかったところ、意味が理解できなかったところに注意して何度かやってみよう。スクリプトを見ても理解できないところ、発音が難しいところに印を付けておくと後で役に立つ。

トップダウン・シャドーイングは、単語と文法知識の自動化を主な目的としているので、ボトムアップ・シャドーイングの時のように聞き取れない理由の検証は行わなくてもよい。

4.2.3. 音読と意味確認 ~ リピーティング(閉本)まで

ステップ-3~7

「音読と意味確認」から「リピーティング(閉本)」までのやり方は、ボトムアップ・シャドーイングの場合と同じだ。上記4.1.3.から4.1.7.を参考にしてほしい。

4.2.4. シャドーイング(Shadowing)

ステップ-8

仕上げのシャドーイングだ。意味を意識して繰り返し行った後、発音を意識して繰り返し練習しよう。意味が頭に入ってこない場合はオーバーラッピングに戻ってほしい。自力で音読して確認してもよい。発音がうまくできない場合は、リピーティング(開本)に戻って再確認してから、再度シャドーイングにトライしよう。

シャドーイングはやればやるだけ効果がでる。「これでもか!」というくらい繰り返してほしい。

ボトムアップ・シャドーイングとトップダウン・シャドーイングは、必ずしも分けて行う必要はない。ボトムアップの後に続けてトップダウンを行えば効率的だ。しかし、その場合は何を目的としているかを自分で確認しながら練習してほしい。目的を意識して行えば効果も違ってくる。

5. 英語のシャドーイング|コツと注意点

シャドーイングの効果を最大限に引き出す6つのコツと注意点をご紹介する。

5.1. 自分に合った教材を使うこと!

教材

教材は慎重に選ぼう。自分の学習レベルと目的に合っていない教材を使うと、期待する効果が得られないからだ。ポイントは2つ。

  • 難しすぎる教材は避けること。
  • 自分が使えそうな表現が多く含まれていること。

5.1.1. 難しすぎる教材は避けること

理解不能

シャドーイングの目的は、①「音声」と「意味」を結びつけること、②単語と文法の知識を「自動化」すること、そして、③定型表現を使えるようにすることだ。これらの目的を達成するためには、難しすぎる教材は避けた方がよい。おすすめは知らない単語や文法項目が5%以下の教材。知らない単語も、文脈から意味を推測しながら読めるレベルだ。

難しい教材を使用すると、上記①~③の前段階である「意味(内容)を理解すること」に意識がいってしまい、本来のシャドーイングの目的に意識がいかなくなってしまう。どうしてもそのような教材を使いたい場合は、シャドーイングを行う前に音読を繰り返すことだ。スーッと意味が頭に入ってくるまで音読を繰り返すことで頭を慣らしてからシャドーイングを行なった方がよい。

音源のスピードにも注意が必要だ。最初は、あまりリエゾンが多くない遅めのものから徐々にスピードを上げて、最終的にはナチュラル・スピードのものに挑戦してほしい。

5.1.2. 自分が使えそうな表現が多く含まれていること

表現

英文素材の内容にも注意を払おう。上記①と②が目的だとしても、なるべく自分が使えそうな表現が多く含まれたものを使用すれば効率的だ。

繰り返しシャドーイングを行なっていると、覚えようと意識しなくても表現を覚えてしまう。よく使用される表現や言い回しを覚える目的のフレーズ・シャドーイングを行うときは当然だが、そうでないときでも、自分が使えそうな表現が含まれたものを使用するとスピーキング力とライティング力のアップにつながる。

ビジネスパーソンの上級者の方であれば、ニュース素材やTED の経営者のプレゼンなどがおすすめだ。初級者の方の場合は素材選びが少々難しい。やさしい英語の素材は内容も幼稚なものが多いからだ。その場合は、内容は気にせず、目的①と②のためだと割り切った方がよい。

5.2. 目的と効果を意識してやること!

理解

目的を意識してトレーニングすると効果が変わってくる。何のためにやっているのかわからずに、ただシャドーイングをやっても効果は限定される。

例えば、スポーツジムでマシンやフリー・ウェイトを使って筋力トレーニングを行う際、鍛える筋肉を意識してやると、筋肉のつき方が違うそうだ。シャドーイングも同じこと。常に何のためにやっているのかを意識して効率的に学習を進めよう。

5.3. 単語と文法を理解してからやること!

単語と文法

単語や文の構造(文法)を理解しないでシャドーイングを行なっても、全くといっていいほど効果はない。せいぜい発音が多少よくなるくらいだ。意味がわからないのに発音がよくなっても全く意味はない。

単語と文の構造を理解している割合が高ければ高いほど、シャドーイングを行うことの効果は高くなる。なるべく100%理解してからやろう。そうすれば、効率的に単語と文法の知識を自動化することができ、英語を英語のまま、英語の語順で理解できるようになる。つまり英語脳(英語回路)の土台を効率的に作ることができ、その強化もできるのだ。当然、音声と意味と結びつきやすくなる。

5.4. 音源の発音をそっくりにまねてやること!

シャドーイング

シャドーイングは、音源の発音をできるだけそっくりにまねて行って欲しい。母音と子音、単語のアクセントの位置、リエゾン、リズム、イントネーションの英語の発音5大要素と、スピードを意識することだ。

「ネイティブのように発音できなくても、言ったことが通じればよい。」と反論されるかもしれない。確かにそうだ。我々日本人が英語を話すときは、ゆっくり、はっきり、くっきり自分の言いたいことを言えれば十分だ。しかし、そっくりまねる目的はリスニング力を向上するためだ。

英語が聞き取れなり理由は大きく分けて4つある。

① 単語と文法の知識不足
② 英語の語順に慣れていない
③ 英語の発音に慣れていない
④ スピードに慣れていない

音源をそっくりまねることにより③と④が克服できるのだ。人間の脳は、自分で発音できない音は、音と認識してくれないので聞き取れない。そっくりまねることができればリスニング力は必ずアップする。また、意味を意識しながらナチュラル・スピードのものをシャドーイングできるようになれば、脳の処理スピードが上がる。

5.5. シャドーイングの途中であきらめないこと!

もう少し頑張りましょう

シャドーイングの途中でついて行けなくなったとしても、絶対に途中で諦めないでほしい。必ず、途中からでも再開して最後までやりきろう。

TOEICを受けたことがある方なら、リスニングの問題で、途中で聞き取れなかった部分が気になって、それ以降全く聞き取れなくなったという経験があるだろう。しかし、途中で立ち止まって考えてもわかるはずがないのだ。リスニングは、今まさに聞こえていることに意識を集中し続けることが重要だ。聞き取れないところがあったとしても立ち止まったら終わりだ。

シャドーイングで、途中で諦めないで最後までやりきるようにしていると、上記のように途中で立ち止まることもなくなってくる。つまり、今まさに聞こえていることに集中できるようになる。

5.6. とにかく繰り返すこと!

リピート

英語学習で最も重要なことは「繰り返し」だ。人間の脳は、記憶や自動化には繰り返しを要求する。シャドーイングもとにかく繰り返しやってほしい。どれくらいやればいいのか?それは、使用する教材の難易度や集中度によって変わるので一概にはいえない。

関西学院大学の堀氏の実験によると、シャドーイングは5~6回繰り返すと効果が高くなるという結果が出たそうだ。また、エビングハウスの実験と脳科学の知見を総合すると、最初にトレーニングした日から1週間後に1回目の復習、その復習から2週間後に2回目の復習、そしてさらに1ヶ月後に3回目の復習が最も効率的な復習サイクルだ。

最初のトレーニングに加えて、トータル3回の復習を行うこととし、毎回2回トレーニングを行う。つまり、トータルで8回のトレーニングを行うことを最低目標にしてはどうだろうか。

6. 英語のシャドーイング|スティーブ・ジョブズと練習

スティーブ・ジョブズが2005年にスタンフォード大学の卒業式で行った有名なスピーチを使ってシャドーイングをやってみよう。単語・文法・発音の説明も付けたので、上記3.と4.でご紹介したトレーニング方法を参考に練習してみてほしい。

尚、このスピーチは上級者向けなので、初・中級者の方は下記でご紹介する教材で練習することをおすすめする。

スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学スピーチ

The first story is about connecting the dots. I dropped out of Reed College after the first 6 months, but then stayed around as a drop-in for another 18 months or so before I really quit. So why did I drop out? It started before I was born. My biological mother was a young, unwed graduate student, and she decided to put me up for adoption. She felt very strongly that I should be adopted by college graduates, so everything was all set for me to be adopted at birth by a lawyer and his wife.

単語・文法解説

  • connect /kənékt/ (動) ~をつなぐ
  • dot /dát/ (名) 点
  • drop out of ~: 「~から落ちる」から「~から中退する」の意。 “out of” = “from”
  • Reed College: ジョブズが中退したリード大学
  • stay around: 「周りにとどまる」から「うろうろする」の意。
  • drop-in: “drop in ~” は動詞句で「~ の中に落ちる」から「~に立ち寄る」の意。名詞の “drop-in” は「立ち寄る人」から「大学の聴講者」(正規の学生ではない)の意。
  • ~ or so: 「~もしくはそれくらい」から「~かそれくらい」の意。
  • quit /kwít/ (動) やめる
  • biological /bàiəládʒikl/ (形) 生物学の: “biological mother” は「生物学上の母」から「産んでくれた母親」
  • unwed /ʌ̀nwéd/ (形) 未婚の: “wedding” の “wed”。 “un” は否定の意。
  • graduate student: 大学院生: 大学生は “undergraduate student”
  • adoption /ədápʃən/ (名) 養子縁組 ⇨ adopt /ədápʃən/ (動) 養子にする
  • put me up for adoption: “put ~ up” もしくは “put up ~” は「~を上へ置く」の意。全体の意味は「私を養子縁組のために上へ置く」から「私を養子縁組に出す」の意。
  • graduate /grǽdʒuət/ (名) 卒業生
  • be all set to ~: 「~するために完全に整えられる」の意。: “all” は副詞で「完全に」の意。
  • at birth: 「生まれた時に」の意。
  • everything was all set for me to be adopted at birth by a lawyer and his wife: “for me to be adopted” は「私が養子に出される」の意。 “to”不定詞の主語は “for ~” で表す。全体の意味は「私が生まれた時に、弁護士夫妻に養子に出されるよう全てが完全に整っていた。」の意。

発音解説

  • first story: “first” の “t” は破裂されずに脱落し発音されていない。更に “first” の “s” が “story” の “s” と重なり脱落気味に。結果「ファーストーリー」のように発音されている。
  • is about connecting the: “is” の “s” と “about” の “a” が連結、そして “about” の “t” が脱落して「イザバウ」のように変化。 次の “connecting” の “g” は破裂されずに脱落し発音されていない。
  • dropped out of: “dropped” の “d” と “out” の “o” が連結して、そして “out” の “t” と “of” の “o” が連結して「ドゥロップタゥトヴ」のように変化。
  • Reed College: “Reed” の “d” は破裂されずに脱落し発音されていない。
  • first 6 months: “first” の “t” は破裂されずに脱落し発音されていない。
  • but then: “but” の “t” は破裂されずに脱落し発音されていない。
  • stayed around as a drop-in: “stayed” の “d” と “around” の “a” が連結、“around” の “d” と “as” の “a” が連結し、更に “as” の “s” と、次の “a” も連結して、全体で「ステイダラウンダザ」のように変化。“drop” の “p” と “in” の“i” が連結して「ドゥロッピン」のように変化。
  • did I: “did” の “d” と “I” が連結して、そして破裂させていないため「ディライ」のように変化。“d” は、破裂させずに “l (エル)” (ラリルレロ) の音に変化することがある。 “d” と “l” の舌先の位置が同じため。
  • drop out: “drop” の “p” と “out” の “o” が連結、そして “out” の “t” が脱落して「ドゥロッパゥ」と変化。
  • It started before: “it” の “t”、“started” の “d” が破裂されずに脱落し発音されていない。また、“started” の 2つ目の “t” が破裂させておらず「れ」と発音され「イッスターレッ」のように変化。 “t” は、破裂させずに “l (エル)” (ラリルレロ) の音に変化することも多い。 “t” と “l” の舌先の位置が同じため。例えば “little”「リル」など。
  • My biological mother was a young, unwed graduate student, and she decided to put me up for adoption: 意味的に重要な単語 (オレンジ色) が強くゆっくりめに発音され (オレンジ色の単語の太字の部分がアクセントの位置)、逆にそれ以外の部分 (黒字) は弱く早く発音されている。強く発音するときとは異なって発音されている単語もある。例えば、 “was” は強く発音される場合は /wʌ́z/ だが、ここでは弱く /wəz/ と発音されている。通常母音は、弱く発音されると全て /ə/ となる。
  • was a: “was” の “s” と “a” が連結して「ワザ」のように変化。
  • unwed graduate student: “unwed” の “d” と “student” の最後の “t” は破裂されずに脱落し発音されていない。
  • put me: “put” の “t” は破裂されずに脱落し発音されていない。
  • that I: “that” 最後の “t” と、次の “I” が連結して、そしてその “t” は破裂されずに “l (エル)” (ラリルレロ) の音に変化しているため、「ザ(ダ)ライ」のように変化。
  • should be adopted by: “should” の “d” と “adopted” の 2つ目の “d” は破裂されずに脱落し発音されていない。
  • was all: “was” の “s” と “all” の “a” が連結し、そして “all” の “ll” が脱落気味で「ワゾー」のように変化。
  • at birth: “at” の “t” は破裂されずに脱落し発音されていない。 
  • and his: “his” の “h” が脱落し、前の “and” の “d” と連結し「アンディス」のように変化。

このスティーブ・ジョブズのスピーチ全文の単語・文法解説と発音解説は別途記事にするので参考にしてほしい。

7. 英語のシャドーイング|おすすめ教材

The English Clubがおすすめするシャドーイング教材を3つご紹介する。自分の英語レベルと目的に合った教材を選ぼう。

改訂版 キクタン リーディング【Basic】4000[アルク]¥1,400+税
キクタンリーディングBasic4000

アルクが独自に選定した4000語レベルのBasic語彙から見出し語で720語を掲載。シャドーイングに適した例文が多く掲載されている。音源付属。「Basic」の他に「Entry」「Advanced」「Super」の全4レベル。

公式TOEIC(L&R)問題集[国際ビジネスコミュニケーション協会]¥2,800+税
教材公式TOEIC(L&R)問題集

上級者向け。Section3と4の問題がシャドーイング用素材に適している。ビジネスでよく使われる表現も多く含まれているのでスピーキングにもつなげることができる。TOEICリスニング対策にもなる。

CNNニュース・リスニング[朝日出版社]¥1,000+税
CNNニュースリスニング

ニュース専門テレビ局CNNの放送から短いニュースを20本収録。1本は30秒ほどの長さ。放送のナチュラル音声と、ナレーターがゆっくりと読み直した音声が収録されているので、上級者用のシャドーイングに最適。

それぞれの教材を使った効率的な学習方法の詳細については、順次アップしていく予定だ。

8. 英語のシャドーイング|まとめ

  • シャドーイングとは、音源の後1~2語遅れて、影の様に音源通りに声に出して追っかけていく練習。同時通訳を目指す人たちの基本トレーニングだ。第二言語習得研究で効果が認められた英語のトレーニング法。
  • シャドーイングは、「音声」と「意味」を結びつけること、そして単語と文法の知識を「自動化」すること、加えて定型表現を使えるようにする効果がある。結果、4技能の能力がアップする。
  • 3つの効果を得るためには、プロソディ・シャドーイングとコンテンツ・シャドーイングを使い分ける必要がある。前者は「音」に意識を集中し、後者は「意味」に意識を集中して行うシャドーイングだ。
  • 最初にシャドーイングを行うボトムアップ・シャドーイングと、最後にシャドーイングを行うトップダウン・シャドーイングがある。「音」が目的の場合は前者、「自動化」が目的の場合は後者がおすすめだ。
  • シャドーイングの効果を最大限に引き出すためには教材選びが重要。ポイントは2つ。難しすぎる教材は避けることと、自分が使えそうな表現が多く含まれていること。とにかく繰り返しやることも重要だ。

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2019.06.14
英語学習法
脳科学研究、第二言語習得研究、トレーニング
目次1. 英語脳の科学を簡単に説明しよう!2. 英語脳は「自動化」で作られる3. 英語脳を作る…
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執筆者プロフィール
小柳 恒一
  • 1999年ロンドン大学大学院ロンドン・ビジネス・スクールにてMBA取得。1997年TOEFL630点取得。2003年TOEIC990点取得。2004年米国公認会計士試験合格。2010年4月中小企業診断士登録。
  • 2000年よりリーマン・ブラザーズ等にて13年以上M&Aのアドバイザリー業務に携わる。
  • 2010年より中堅・中小企業を対象とした事業継承M&Aコンサルティング事業を開始。
  • 2013年よりThe English Clubの前身となるEnglish Tutors Network事業を開始。
英語は学習方法で決まる。
徹底して科学的根拠にこだわったThe English Clubの英語学習法は、
今までにない効率的な英語習得を目指します。

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