英語の「受け身」を徹底解説する。「受け身」は「受動態」ともいう。このコラムで解説する「受動態」の主な例文は以下の通りだ。
基本例文 | The windows are cleaned every day. (窓は毎日掃除される。) |
現在進行形 | The windows are being cleaned. (窓が掃除されている。) |
現在完了形 | The windows have been cleaned. (窓は掃除された。) |
助動詞 | The windows will be cleaned later. (窓は後で掃除される。) |
「get」+ 過去分詞 | Ken got hurt in the accident yesterday. (ケンは昨日事故でけがをした。) |
目的語を2つ取る動詞 | I was given a Porsche (by my father). (私はポルシェ1台を与えられた。) A Porsche was given to me (by my father). (1台のポルシェが私に与えられた。) |
「受動態」の超基本的な「意味」と「形」に加え、「受動態」の「現在進行形」「過去進行形」、「現在完了形」「過去完了形」などの基本を徹底的に解説しよう。
目次
1. 英語の受け身|【超基本】「受動態」の「意味」と「形」
1.1.「受動態」の基本的な「意味」と「形」
「受け身」(受動態/passive)とは、「〜される」という意味の表現のしかたである。下の例文では、「窓」(window)が「掃除される」(are cleaned)となっている。
「受動態」は、上記にように「be動詞 + 動詞の過去分詞」の形になる。
「受動態」(passive)は「〜される」という言い方だが、「〜する」という普通の言い方を「能動態」(active)という。「受動態」と「能動態」の文の作りを比較すると下記になる。
「受動態」は「〜される」という意味なので、「動作の主体」を入れる必要がない。例えば、上の例文では、「受動態」の方は「誰が」窓を掃除するかは書かれていない。一方で、「能動態」の方は「Somebody」という「主語」が入っている。「能動態」は必ず「動作の主体」を書かなければならないので、ここでは「Somebody」(誰か)を入れている。
「受動態」で「動作の主体」(誰だ/誰によって)を入れる場合は、最後に「by (動作の主体)」を付け加えればよい。例えば、下の例文では「by my mother」(私の母によって)を付け加えることで、「窓を毎日掃除する」のは「私の母」であることを表している。
1.2.「受動態」の基本的な「例文」
「受動態」のその他の基本例文も紹介しよう。
This room isn’t used very much.
(この部屋はあまり使われていない。)
上の例文は「否定」の「受動態」だ。
Are we allowed to park here?
(ここで駐車することは許されるの?)
上の例文は「受動態」の「疑問文」だ。
I was born in France in 1990.
(私は1990年にフランスで生まれた。)
上の例文は「過去形」の「受動態」だ。「born」の現在形「bear」は「生む」という意味なので、「生まれた」は「be動詞の過去形 + born」となる。
When was this house built?
(この家はいつ建てられたの?)
上の例文は「疑問詞」を使った「受動態」の「過去」の「疑問文」だ。
This picture was painted by my father ten years ago.
(この絵は10年前に私の父によって描かれた。)
上の例文は「by my father」(私に父によって)を付け加えて、「絵を描いた」のは「私の父」であることを表している。
2. 英語の受け身|【超基本】「be動詞」と動詞の「過去分詞」の形
英語の「受動態」は「be動詞 + 動詞の過去分詞」だが、「be動詞」と「動詞の過去分詞」のそれぞれの「形」について説明しよう。
2.1.「be動詞」の「形」
「be動詞」は「主語」によって「形」が変わる。「主語」は、3つの「人称」(一人称・二人称・三人称)と、「単数形」「複数形」に分けられる。「主語」と「be動詞」の種類をまとめた表が以下だ。
2.2. 動詞の「過去分詞」の「形」
「動詞の過去分詞」は、規則的に変化する「規則動詞」と、不規則に変化する「不規則動詞」の2種類ある。
「規則動詞」は語尾に「-ed」を付けるだけだが、動詞の語尾によって「-d」をつけたり、動詞の語尾の「y」をとって「-ied」をつけたり、動詞の語尾の子音を重ねて「-ed」を付ける場合もある。それらをまとめた表が以下だ。
「不規則動詞」は、その名の通り規則性がないので覚えるしかない。不規則動詞の主な重要な動詞をまとめた表が以下だ。
3. 英語の受け身|【基本】「受動態」の「現在進行形」と「過去進行形」
「受動態」の「現在進行形」と「過去進行形」を説明する。
3.1.「受動態」の「現在進行形」
まずは「受動態」の「現在進行形」を解説する。下の例文をみてほしい。
上の例文のように、「受動態」の「現在進行形」の形は「be動詞の現在形 + being + 動詞の過去分詞」になる。通常の「現在進行形」は「be動詞の現在形 + 動詞の -ing形」なので、「受動態」では「be動詞の現在形 + being」のあとに「動詞の過去分詞」を付けることになる。
「受動態の現在進行形」は、「受動態の現在形」の「be動詞」と「動詞の過去分詞」の間に「being」を挿入すればよいことになる。
なお、現在進行形についての詳細は「英語【現在進行形】※話すための英文法!基本〜発展を徹底解説」をご参照ください。
下記は、「受動態の現在進行形」と「能動態の現在進行形」との比較である。
「能動態の現在進行形」は、「be動詞の現在形 + 動詞の -ing形」だが、「受動態の現在進行形」は、それに「be動詞 + 動詞の過去分詞」を付け加える。
「受動態」と「能動態」とでは主語が異なるので「be動詞」の形が変わることがある。上の例文では、「The windows」では「are」、「Somebody」では「is」である。
ちなみに、「受動態」の方の末尾に「by somebody」を付けると、「能動態」と全く同じ意味になる。
3.2.「受動態」の「過去進行形」
「受動態」の「過去進行形」は、上記の「現在進行形」の「be動詞」を「過去形」にするだけだ。下の例文をみてほしい。
下記は、「受動態の過去進行形」と「能動態の過去進行形」との比較である。
4. 英語の受け身|【基本】「受動態」の「現在完了形」と「過去完了形」
「受動態」の「現在完了形」と「過去完了形」を説明する。
4.1.「受動態」の「現在完了形」
まずは「受動態」の「現在完了形」を解説する。下の例文をみてほしい。
上の例文のように、「受動態」の「現在完了形」の形は「have/has + been + 動詞の過去分詞形」になる。通常の「現在完了形」は「have/has + 動詞の過去分詞」なので、「受動態」では「have/has + been」のあとに「動詞の過去分詞」を付けることになる。
ちなみに、「過去形」の「受動態」は、過去のある時点に起こったことを意味する。一方で「現在完了形」の「受動態」は、過去のある時点に起こったことが今も続いていることを意味する。
上の例文の【過去形】の意味は、「窓が昨日掃除された」という事実だけで、今も「掃除された状態」(きれいな状態)かどうかはわからない。一方で【現在完了形】は、過去のある時点で「窓が掃除されて、今もきれいな状態」ということを意味する。
なお、現在完了形についての詳細は「英語【現在完了形】※話すための英文法|基本〜発展を徹底解説」をご参照ください。
下記は、「受動態の現在完了形」と「能動態の現在完了形」との比較である。
「能動態の現在完了形」は、「have/has + 動詞の過去分詞」だけだが、「受動態の現在完了形」は、それに「be動詞 + 動詞の過去分詞」を付け加える。
「受動態」と「能動態」では主語が異なるので「動詞」の形が変わることがある。上の例文では、「The windows」では「have」、「Somebody」では「has」である。
ちなみに、「受動態」の方の末尾に「by somebody」を付けると、「能動態」と全く同じ意味になる。
4.2.「受動態」の「過去完了形」
「受動態」の「過去完了形」は、上記の「現在完了形」の「have/has」を「過去形」にするだけだ。下の例文をみてほしい。
ちなみに、「現在完了形」は、過去のある時点に起こったことが今も続いていることを意味するが、「過去完了形」は、過去のある時点に起こったことが、その後の過去のある時点まで続いていることを意味する。上の【過去完了形】の例文では、過去のある時点において「窓が掃除されて」、その状態が「私が昨日家に着いたとき」まで続いていたという意味になる。
下記は、「受動態の過去完了形」と「能動態の過去完了形」との比較である。
5. 英語の受け身|【基本】「受動態」と「助動詞」
「受動態」に「助動詞」が使用される場合を説明する。
5.1.「助動詞」+「受動態」
まずは「助動詞」+「受動態」を解説する。下の例文をみてほしい。
上の【未来形】の例文は、助動詞「will」を使用した「未来」を表す「受動態」だ。助動詞の後は「動詞の原形」をおくので、「be動詞」の原形である「be」がくる。「助動態」は「be動詞 + 動詞の過去分詞」なので、その後に「動詞の過去分詞」をおく。
「will」以外の助動詞を使った「受動態」の例文をいくつか紹介しよう。
A decision should be made right now.
(決定は今すぐなされるべきだ。)
「should」は「〜すべき」の意味の助動詞だ。「主語 + should make a decision right now.」(今すぐ決定するべきだ。)を「受動態」にしている。
Something must be done before it’s too late.
(手遅れになる前に何かがなされなければならない。)
「must」は「〜しなければならない」の意味の助動詞だ。「主語 + must do something before it’s too late.」(手遅れになる前に何かをしなければならない。)を「受動態」にしている。
Your voice could be heard from outside the office.
(あなたの声がオフィスの外からも聞かれた。)
「can」は「〜することができる」の意味の助動詞だ。「主語 + could hear your voice from outside the office.」(オフィスの外からあなたの声を聞くことができた。)を「受動態」にしている。
5.2.「助動詞」+「完了形の受動態」
つぎに「助動詞」+「完了形の受動態」を解説する。下の例文をみてほしい。
上の【現在完了形】の例文は、「should + 現在完了形」(〜すべきだった)の「受動態」だ。【現在形】の「掃除されるべきだ」(should be cleaned)を、「掃除されるべきだった」のように「過去」の意味にするには、「should」のあとを「現在完了形」の「受動態」にすればよい。
「should」以外の助動詞を使った「助動詞」+「完了形の受動態」の例文をいくつか紹介しよう。
The letter might have been sent to the wrong address.
(その手紙は間違った住所に送られたのかもしれない。)
「might」は「〜かもしれない」の意味の助動詞だ。「間違った住所に送られるかもしれない。」(might be sent to the wrong address)を「送られたかもしれない」のように過去形の意味にするには、「might」のあとを「現在完了形」の「受動態」にすればよい。
My bike must have been stolen.
(私の自転車は盗まれたにちがいない。)
「must」は「〜にちがいない」の意味の助動詞だ。上の例文のように「〜されたにちがいない」を表現するには、「must」のあとを「現在完了形」の「受動態」にすればよい。
You wouldn’t have been arrested if you hadn’t escaped.
(あなたは逃げなかったら、逮捕されなかっただろう。)
「would」は「will」の過去形であり、そのあとに現在完了形が続くと「〜だっただろう」という意味になる。上の例文では「受動態」になっているので「〜されなかっただろう」という意味になる。この例文は「仮定法過去完了」の例文で、過去に起こった事実とは反対のことを仮定する場合の表現方法だ。
「仮定法過去完了」の詳細については「英語【仮定法】※話すための英文法|基本から発展を徹底図解!」を参考にしてほしい。
6. 英語の受け身|【発展】「get」を使った「受動態」
「受動態」の「形」は「be動詞 + 動詞の過去分詞」であると説明したが、「be動詞」の代わりに「get」を使う場合がある。「get」を使うのは「動作」を表す「動詞」の場合に限られる。下の例文をみてほしい。
Ken got hurt in the accident yesterday.
(ケンは昨日事故でけがをした。)
Ken is liked by everybody.
(ケンは誰からも好かれている。)
「Ken got hurt 〜」は、「hurt」(傷つける)という「動作」を表す動詞なので、「get」を使うことができる。当然「Ken was hurt」と言い換えることもできる。一方で、「Ken is liked 〜」は「like」(好き)という「状態」を表す動詞なので、「get」を使うことはできない。
「get」を使った「受動態」の例文をいくつか紹介しよう。
I don’t get paid very much.
(私はあまり多くを支払われていない。)
I haven’t got invited to the party.
(私はパーティに招待されていない。)
Judy got offered the job yesterday.
(ジュディは昨日その仕事をオファーされた。)
最後の例文の動詞「offer」は2つの目的語をとることができる。そのような動詞の受動態について説明しよう。
7. 英語の受け身|【発展】「目的語を2つ取る動詞」の「受動態」
英語の動詞には「目的語」を2つとる動詞が多くある。それらの動詞を使った「受動態」の作り方を説明しよう。
「受動態」は、「能動態」の文の「目的語」を「主語」にして作られる。下の例文では、能動態の文の「the window」という目的語を主語にして受動態の文を作っていることがわかるだろう。
上の例文の「clean」(掃除する)という動詞は目的語を1つしかとらないが、「ask」「give」「tell」「offer」などの動詞は目的語を2つとることができる。目的語を1つしかとらない動詞の場合は、1つの受動態の文しか作れないが、目的語を2つとることができる動詞の場合は、2つの受動態の文が作れることがある。下の例文をみてほしい。
上の【能動態】の例文のように、動詞「give」は目的語を2つ取ることができる。例文では「me」(私に)と「a Porsche」(1台のポルシェ)の2つが目的語である。
目的語「me」を主語にした「受動態」の文が【受動態①】であり、目的語「a Porsche」を主語にした「受動態」の文が【受動態②】である。【受動態②】の場合は、「me」の前に「to」が入ることに注意してほしい。
なお、目的語を2つ取る動詞の文を「受動態」にする場合は、【受動態①】のように「人」を主語とすることが多い。
目的語を2つ取る動詞の「受動態」の例文をいくつか紹介しよう。
【能動態】The company offered me the job.
【受動態①】I was offered the job (by the company).
【受動態②】The job was offered to me (by the company).
(その会社は私に仕事をオファーした。)
【能動態】He showed me a picture.
【受動態①】I was shown a picture (by him).
【受動態②】A picture was shown to me (by him).
(その会社は私に仕事をオファーした。)
【能動態】She told me that Ken wan on the phone.
【受動態】I was told that Ken wan on the phone.
(彼女は私にケンは電話中だと言った。)
※ 上の例文の場合は、2つ目の目的語である「that節」を主語にした受動態は作れない。
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