英語の独学を成功させるためには、学習計画を立て、そのスケジュールに沿って勉強していくことが必須です。
英語を習得するには時間がかります。TOEIC 500点前後の方であれば、仕事で使える英語力を獲得するまで最低でも1年半はかかります。このような膨大な時間と労力、そして費用がかかる「長期プロジェクト」を、計画も立てずに始めることはリスクが高すぎると思いませんか。
なんとなく良さそうなテキストを購入し勉強してみたけれど、あまり効果がないのでやめてしまった…。ということを繰り返していませんか?いつまで経っても英語を習得できない一番の理由が計画性のない勉強です。
また、計画を立て、自分の学習の進捗状況を自分で管理することにより、モーティベーションを高く維持するハードルも下がります。勉強を継続し、今度こそ目標を達成するために、あなた専用の学習プランを作ってみませんか。
このコラムでは、あなたの英語学習を成功させるための学習計画の立て方を、順を追って詳細に解説します。今度こそは!
目次
1. 英語学習計画の立て方|6つのステップと5つの注意点
毎日ただ漫然と英語の教材をこなすだけでは、モーティベーションを維持することは難しいでしょう。結果も出にくくなってしまいます。
しっかりとした学習計画を立てて実行する。そして学習状況を振り返り、必要があれば計画を改善・修正し、また実行する。このようなPDCA(Plan Do Check Action)を回すことで効率的に結果を出していきましょう!
それでは、6つのステップに沿ってあなた専用の英語学習計画を作成していきましょう。学習計画を立て、そしてそれを実行する上での5つの注意点も解説します。
なお、ここで解説する英語学習計画の立て方は、The English Club の有料サービスである「英語学習プラン作成サービス」の手順になります。ご自身で作成することが難しいと感じた方は是非当サービスの利用をご検討ください。
2. STEP ❶:現状の英語力を確認
現在の英語力のレベルを把握しなければ学習計画を作ることができません。ご自分で判断することはなかなか難しいとは思いますが、単語と文法の知識レベルや英語資格試験の結果を目安にするとよいでしょう。
2.1. 基礎力の確認
言語の基本要素は、単語・文法・発音の3つしかありません。まずはこれらの知識を頭に入れなければ何も始まりませんので、単語・文法・発音の知識レベルを確認しましょう。
なお、単語・文法の知識は十分あっても、発音の知識が足りない方が多いので注意してください。日本の学校教育では発音は重視されていませんが、単語と文法と同様に、英語を習得する上で非常に重要なので決してあなどらないでください。
単語と文法については、自分の知識レベルが中学の何年生の教科書レベルを超えているかどうか、もしくは高校の何年生の教科書レベルを超えているかどうかを確認するとよいと思います。発音については、英語の母音と子音の中で日本語にないものの発音について、口の動かし方ができているかというところから確認するといいでしょう。
2.2. 英語脳のレベルの確認
英語の語順に順応しているか、英語の音は体得しているか、英語を英語のまま理解できているかの3つの度合いも確認しておきましょう。
英語の語順は日本語のそれとは全く逆です。それを戻り訳すことなく、前から理解できることが第一段階です。また、日本語にない英語の発音は、最終的には無意識的に正確に発音できるようにする必要があります。そして最も重要なのが、英語を使うときには日本語を頭の中から排除するということです。これらの3つは、英語脳(英語回路)を作っていくことでクリアしていくことになります。
英語の語順に慣れているかどうかと、英語を英語のまま理解できているかの確認は、音読が一番わかりやすいです。どんな英文でも音読しながら意味が頭にスッーと入ってくる状態であれば、かなり進んでいる状況です。発音については、ナチュラルスピードの英文のシャドーイングで確認するとわかりやすいです。
2.3. 実践力の確認
英文を作成する能力、表現を単純化する能力、そして定型表現をどの程度覚えているかを確認しておきたいです。
スピーキングの実践力を向上させるためには、頭の中で、日本語を介入させずに、シンプルで正しい英文を作る能力を上げることと、よく使用される定型表現と言い回しを覚えて使えるようにしていく必要があります。後者だけを勉強している方が多いのが現状です。
英文を作成する能力と表現を単純化する能力については、難しい表現が使われている英文を、中学英語を目標としたシンプルな英文に言い換える「リフレーズ」で確認できます。定型表現については、まずは単純な挨拶がスムーズにできるかどうかから確認するといいでしょう。
3. STEP ❷:目標の英語力を設定
目標の英語力を設定する際、TOEICや英検などの英語資格試験を目安にすることに問題はありません。しかしながら、それらはあくまで英語力を測る指標の一つでしかありません。それ自体が目標にはなり得ないということです。例えば、「アメリカ人エンジニアとの会議で仕事上の意思疎通がスムー ズに行えるレベル」など、より実質的な目標を設定していただきたいと思います。
TOEICや英検などの英語の試験は、それぞれ「癖」(特徴)があります。例えば、TOEIC (L/R) は、インプット(読む・聞く)の能力しか測定できないとか、英検1級の語彙問題はありえない問題が出題されるとかです。ですので、ある特定の試験の点数だけを目標にすると、偏った英語力になってしまうリスクが高くなってしまいます。特定の試験を目標にする場合でも、あくまで目安という感覚を忘れないでください。英語力という非常に曖昧なものを、試験で測定することなど、そもそも不可能なのですから。
3.1. 基礎力の目標レベル
目標の英語力獲得のために必要な単語数や文法(及び発音)知識のレベルを理解しておくとモーティベーションを維持しやすくなります。
自分の目標とする単語力と文法力は、中学レベルの基礎力で十分なのかどうか、それともTOEIC (L/R) ○○点レベルが必要なのかはご自身で判断できると思います。発音については、たとえ目標英語レベルがあまり高くなくても、ある程度高いレベルまで持っていく必要があります。
3.2. 英語脳の目標レベル
英語脳については、全てのレベルの英語学習者の皆さまに、その完成を目標としてもらいたいと思います。なぜなら、中途半端な英語脳を目標とすることができないからです。英語脳の完成を目標としつつ、完成するまで頑張るかどうかはご自身で決めていただければと思います。
3.3. 実践力の目標レベル
日本人の英語学習者のスピーキング実践力の最終目標は、中学レベルの単語・文法を組み合わせて無限な文章を無意識的に自動的に、日本語を介入させずに作れるようになり、それをネイティブが理解できる発音で発声できるようにすることです。
この実践力のご自身の目標レベルを設定するには、中学レベルの単語と文法(と基本の発音)をどの程度自由自在に使えるようにするのか、そして、よく使う定型表現や言い回しをどの程度覚えて使えるようにするのかというレベル感を持つことが必要となります。
4. STEP ❸:英語教材の検討
現状の自分の英語レベルを確認し、目標の英語力が決まったら教材を選定します。英語学習の効 率性は教材によって大きく左右されるので慎重に選びましょう。単語集・文法書・英語脳構築(兼定型表現習得)用の最低3冊を準備することになります。
4.1. 基礎力強化用の教材
自分のレベルと目標に適合した音源が付いた単語集と、豊富な問題が載った音源が付いた文法書を選びましょう。1冊では目標のレベルに届かない場合もあるでしょう。その場合は複数の教材を順番にこなしていく必要があります。発音については、単語を覚える際に確認することをベースとして、必要に応じて発音専用の教材も準備しましょう。
基礎力強化用の、英語レベル別のおすすめ教材と学習方法は下記のコラムで紹介しているので参考にしてください。
単語の教材と学習方法について:「英単語の覚え方|科学的勉強法で暗記を効率化!自動化トレ8選」
文法の教材と学習方法について:「英文法勉強法|基礎から効率的に覚える科学的トレーニング8選!」
発音の教材と学習方法ついて:「英語の発音|初心者向け科学的見地からの6つのコツと練習方法!」
4.2. 英語脳構築用の教材
英語脳構築用の教材は、第二言語習得研究では「i+1」の難易度のものから始めると効率的だと言われています。「i」は今のご自身の英語力で、「+1」は、それより若干難しめのものという意味です。具体的には、わからない単語が2〜3%以内のものが理想的だといわれています。また、比較的長い文章が含まれているものがよいでしょう。短い文章が多い会話文は、英語脳構築用には適しません。
英語脳構築用の、英語レベル別のおすすめ教材と学習方法は下記のコラムで紹介しているので参考にしてください。
英語脳構築用の教材と学習方法ついて:「英語脳の作り方|8つの自動化トレーニングで英語回路を構築する」
4.3. 実践力強化用の教材
実践力強化用の教材は、よく使用するフレーズを覚えて使えるようにする目的と、頭の中で英語の文章を作るようにする目的で使用するので、自分がよく使用するであろう表現が多く含まれてるもの、かつ、頭の中で英語の文章を作るメインのトレーニングである「リフレージング」がやりやすいものを選ぼう。
なお、現実的には「英語脳構築用の教材」と「実践力強化用の教材」は同じものを使用することをおすすめします。学習が煩雑になることを避けるためです。
実践力強化用の、英語レベル別のおすすめ教材と学習方法は下記のコラムで紹介しているので参考にしてください。
実践力強化用の教材と学習方法ついて:「英語スピーキング|話せない方必読!科学的練習法と5つの注意点」
5. STEP ❹:総学習時間の確定
教材を選定したら、それらを全部終了するために必要な総学習時間を計算します。目標のレベルに到達するには何冊もの教材をこなす必要があるかもしれません。すべての教材の学習時間を計算し、総学習時間を把握しておきましょう。
注意点:英単語は、単語集を1回まわしただけでは不十分です。最低でも3回はまわすことを前提に学習時間を計算しよう。
注意点:文法書は繰り返す必要性は低いですが、定着が悪いと感じたときは2回まわしましょう。文法はある程度理解した後は辞書的に使用した方が効率的です。
注意点:英語脳構築(兼定型表現習得)用の教材は、繰り返すことと量をこなすことの2つが重要です。初心者は繰り返すことを重視し、レベルが上がるにつれて徐々に量をこなすことを重視していきます。その前提で学習時間を計算しましょう。
6. STEP ❺:学習スケジュールの決定
STEP1:総学習時間が確定したら、目標の学習終了日を設定します。そして学習終了日までのスケジュール(全体学習スケジュール)を作成します。
STEP 2:総学習時間と学習終了日までの日数から、1日当たりの必要学習時 間を割り出し、1日のうちで、いつ、どこで、何を、どのように学習(トレーニング)するかを決定し、1日の学習スケジュールを作成します。
STEP 3::全体学習スケジュールはガントチャート(下記上図参照)、1 日の学習スケジュールは円グラフ(下記下図参照)で作成することをおすすめします。
7. STEP ❻:PDCAサイクルを回す
学習計画は定期的に見直す必要があります。学習がスケジュール通りに進んでいない時はもちろん、順調に進んでいる場合も頻繁に確認し必要に応じ見直しましょう。そうすることでモーティベーションを維持しやすくなります。
学習レベルは自分に合っているか、学習の量は適切か、学習法は大丈夫かなど、学習状況を振り返ってみて、改善できるところを貪欲に探しましょう(Check)。そして学習計画を改善(Action)、修正(Plan)し、また実行(Do)します。
なお、英語の学習計画を立てる際は、効率的な英語の独学方法を解説した無料eBook「英語独学完全マニュアル」が参考になると思います。是非ダウンロードしてみてください。
8. 英語学習計画を立てる際の5つの注意点
8.1. 隙間時間とながら時間を細かく積み上げること
英語習得のための時間を確保するコツは、1日のうちで、10分、15分を細かく積 み上げることです。言語の習得は「勉強」ではなく、繰り返す「学習」です。それは通勤中の電車の中、歩きながら、運転中など、何かを「やりながら」でもできます。そして昼休みの残った15分などの細切れの「隙間時間」にでも可能です。
8.2. 1日の中で学習する時間帯を固定化し習慣化すること
毎日の英語学習を習慣化するには、学習する時間帯を固定することが有効です。例えば、通勤中の電車の中の30分、昼食後の15分、寝る前の15分など、この時間帯にはこれをやると決め、習慣にしていきましょう。最初はきついですが、そのうちやらなければ気持ち悪くなります。そこまで習慣化できたら英語習得のための時間を確保しやすくなります。
8.3. 無理のないペースで進められるようにすること
最初はモーティベーションが高いので無謀な学習スケジュールをつくりがちです。しかし、まずは習慣にすることを第一の目標にしましょう。そのためにも、最初は1日の学習量を控え目にし、習慣化できてきた頃に必要があれば見直すことをおすすめします。難易度も同じです。やさしめの教材がから始めることが続けるためのコツの一つです。
8.4. 予備日を設けスケジュールにはフレクシブルに
スケジュールは必ず狂います。電車の中で30分学習するつもりが、同僚とばったり会ってできなかった場合など、予備の時間や予備日をあらかじめスケジュールに組み込んでおくとよいでしょう。学習を継続させるには気持ちに余裕を持つことも重要です。余裕があるときは15分の予定を30分に変更するなど、1日のスケジュールもフレクシブルに対応していきましょう。
8.5. 学習スケジュールは定期的に見直すこと
学習スケジュールは定期的に見直しましょう。その際、役に立つのが学習記録。毎日学習していてちょっとでも気になったことを、学習時間とともにメモに書いておくことがおすすめです。それを基に自分の学習を振り返り、改善点を洗い出し、学習スケジュールを作り直し、実行する。これも英語学習を継続するコツの一つです。
なお、英語の学習を効率的に続けるために、学習習慣について脳科学から様々な指摘がされています。興味のある方は、「年齢と英語|何歳からでも習得可能!脳科学からの根拠と勉強法」をご参照ください。
9. プロが作成する英語学習計画をすすめる理由
このコラムを読んで、英語学習計画を自分で作ることは難しいと感じた方も多いと思います。実はその通りです。これから英語の勉強を始めようとしている皆さまが、自分にとって一番効率的な学習計画を自分で作成することは非常に難しいことなのです。ほとんど不可能といっても過言ではありません。
例えば、料理の初心者が美味しい料理を作りたいと思ったら、プロのシェフが作ったレシピ通りに作れば効率的ですよね。これから英語の勉強を始めようとしている方が、自分の学習計画を作るというのは、料理の初心者が美味しい料理を作るためにレシピを最初から自分で作ろうとすることと同じことです。とっても非効率だということが理解できるでしょう。
レシピを自分で最初から作るには、失敗を繰り返しながら徐々に理想に近づけていく必要があります。英語の学習計画を作るために、失敗を繰り返す時間と労力とお金の余裕はありますか?英語学習を非効率にする最大の要因は「悩み」です。「このテキストでいいの?」「この勉強方法で合っている?」など、英語学習には「悩み」がつきものですが、この「悩み」が、学習を非効率にする最大要因です。
料理も英語学習も、プロが作ったレシピ(学習計画)に従って料理(勉強)すれば最も効率的に美味しい料理(英語の習得)を達成できます。
ちょっと宣伝になりますが、The English Club では、皆さまに悩まず英語の勉強を続けていただくために、必ず、「これなら間違いない!」と思っていただける英語学習プランを作成するサービスを提供しております。
The English Club の英語学習プランは、第二言語習得研究と脳(神経)科学研究の知見をベースとしており、個々の英語学習者の現在英語力と目標とする英語力、目標達成時期と1日に取れる学習時間、英語力の特性や個性などを加味した、完璧にカスタマイズされたプランになっています。効率的に独学を進めていただくためのサービスです。選択肢の一つとしてご検討ください。
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- 学習計画の立て方と効率性を上げるための学習習慣
そろそろ本気で英語を習得したいとお考えの方におすすめです。また、「英会話スクールに通っているけど思うように上達しない…」「TOEICで高得点を取ったけど話せない…」などでお悩みの皆さまも是非ご一読ください。